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[うちゅうけん!+]ミミズロボットが宇宙へ?!

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皆さん、夏休みを満喫しているでしょうか??

夏休みといえば、オープンキャンパス!どこの大学のオープンキャンパスに行こうか迷っているアナタに、今日から少しずつ、大学の紹介をしていきます!第一回は中央大学です!

 

いきものからヒントを得たロボット

皆さんは「バイオメカトロニクス」という学問をご存知でしょうか?
バイオロジー(生物)+メカニクス(機械)+エレクトロニクス(電気)という三分野を融合させた分野であり、生き物にヒントを得たロボットを作るという学問です。
そのバイオメカトロニクスという研究をしているのが中央大学 中村太郎教授その人!
先生はミミズやアメンボ、カタツムリなどのいきものからヒントを得たロボットの開発を行っており、その一つであるミミズ型ロボットが宇宙開発へと利用されようとしているのです。

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写真:中央大学 中村教授

 

ミミズ型ロボットってどんなの?

一見気持ち悪いうごきをするミミズですが、この動きには実はすごい秘密が隠されているのです。
動きをよく見てみると、短い部分で身体を支え、細く長い部分で土の中を進むというような動きをしています。




図:ミミズの進み方

つまりミミズはヘビのように横幅を必要とせず最小の面積で前に進むことができるのです。

また、ミミズは土を食べそのままお尻から排出して進むため中身がほぼ空洞でよいので、ミミズのかたちをしたロボットを作る際、中に様々な機械を内蔵させられるというメリットも。

ミミズを見つけたときは気持ち悪がらずよーく観察してみると、さらなる面白い発見があるかもしれません!

ミミズ型ロボットが宇宙へ?

このミミズ型ロボットを月の地震(月震)の研究へと応用することを目指し、現在中村教授はJAXA(宇宙航空研究開発機構)と共同研究を行っています。

今までの宇宙に関する埋没型ロボットは深さ数十センチが限界でしたが、このミミズ型ロボットは先ほど説明したミミズの動きを用いる全く新しい方法で掘ってゆくため、理論上はどこまででも掘り続けられるのです。(少なくとも1メートルは実証済み!)

JAXAが設置しようと検討している月震計ほどの大きさの穴を掘るのは十分可能であるとされ、さらに月の砂(レゴリス)の採取などにも応用が見込まれています。

このミミズロボットが月の地中を走り回る日も近いかもしれません!

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アポロの探査車に巻き上げられるレゴリス (c)NASA

研究室はどんな感じ?

たまに開催されるスポーツ大会に中村教授自ら参加されることもあるそうで、研究室の雰囲気は非常に和気あいあい。
また、「人に迷惑をかけなければなにをしてもよい」というのがモットーで、「○時には研究室に来る」という決まりがないくらい自由!(朝が弱い人にはうってつけかも!)

もちろん15,16社の企業やJAXA、JAMSTEC(海洋研究開発機構)との共同研究など研究に関しても積極的で、一線の研究者、技術者とバリバリ関わってきたという経験は就職してからもかなり強い経験になります。

また、この研究室では「既製品を使っていては新しい発想は生まれない。ゼロからつくるからこそ、自分の発想ができる」という中村教授の方針のもと3Dプリンターなど充実した設備を使ってほとんどゼロから自分のロボットを作っています。
それにはもちろん苦労は多くあるけれど、初めて自分のロボットが動いたときの感動はなかなか味わえるものではないそう。

大学院生を中心に国際会議にも積極的に学生を派遣しており、普通の研究室ではできないようなこともたくさんできるのがアピールポイントのようです。

まとめ

筆者はじめての取材ということで緊張しっぱなしだったのですが、中村教授はすごくやさしくユーモアに富んだ先生でとても面白い方でした。ですが研究分野についてや学問というものに関してお話されるときのまなざしは真剣そのものですごく真面目にとりくんでらっしゃるんだ、ということを感じました。
ミミズ型ロボットはすごくユニークで変わった動きのロボットですが、しっかりと理にかなっていてきちんと研究された結果だということがわかりましたし、いきものというものの不思議さについても改めて考えさせられました。(今回紹介しきれなかったアメンボロボットやカタツムリロボットも公式HPでぜひチェックしてみてくださいね)

「こうだから出来ないではなく、どうすれば出来るかを考える学生に来て欲しい」という先生の言葉通り自由な発想、いままでの発想にとらわれない考え方ができる人こそがこれからの日本の宇宙産業を引っ張ってゆくのかもしれません。

ミミズ型ロボットが宇宙へと旅立つ日を楽しみにしましょう!

アクセス

〒112-8551 東京都文京区春日1-13-27
TEL 03-3817-1711
中央大学 後楽園キャンパス 2号館7階2721号室
HP:http://www.mech.chuo-u.ac.jp/~nakalab/

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