はじめに

はじめまして‼TELSTER新メンバーの溝尾峻(みぞお しゅん)です。神奈川大学で物理学を学んでいる大学3年生です。趣味はランニングとギターと読書、そして“宇宙”です。21歳になった今でも、宇宙飛行士の講演や宇宙の写真集を見たりすると気分が高まります。“ホーキング放射によるブラックホールの蒸発”なんてたまらないですね(自分だけかもしれませんが)。
この記事を読んでくれている皆さんに宇宙の面白い話をお届けできるように頑張ります。よろしくお願いします!

金星と女神

さて、今回は“金星と女神”についてお話しをさせていただきます。金星を英語で何と言うか知っていますか?そう“Venus”(ヴィーナス)ですね。しかし、ヴィーナスというと他の言葉も思い浮かびませんか?ヴィーナスは“愛と豊穣と美の女神”を表す言葉でもあります。「ミロのヴィーナス」などがありますよね。つまり金星“Venus”は女神という意味も持っています。
なぜそう呼ばれているのでしょうか?金星と女神にはなにか繋がりがあったのでしょうか?夜空に輝く星たちはそれぞれ違いがあるけれど、みんな綺麗に輝いているように見えます。古代人には金星だけひときわ美しい光に見えたのでしょうか?
実は、金星と女神の英訳が同じなのは、面白い理由がありました。今回はそれを、歴史とともにお話ししたいと思います。

金星の軌道

まずは金星と地球の公転についてお話します。中学校の理科で「水金地火木土天海」という言葉を暗記させられませんでしたか?金星は太陽から2番目に近い太陽系で地球よりも内側を周っていますね。これにより、金星は地球から見て太陽とかぶることがあるのです。これを「金星の太陽面通過」と呼びます。太陽面通過は約1.6年周期で起こり。この周期のことを会合周期とよびます。つまり金星は8年間で5回の太陽面通過をするのです。そして、金星が太陽面通過をしているときの地球を直線で結ぶと、美しい星型を描きます。

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図 青が地球、黄色が金星、真ん中が太陽。金星の太陽面通過によって、星型が導かれる

五芒星の話

金星が星型を描くことをお分かりいただけましたでしょうか?次はその星型についてお話させていただきます。実は星型のマークには“五芒星”という名前があります。皆さんが一筆書で描くあのマークにはずいぶんとカッコいい名前が付いていますね。

実はこのマークは、世界で最も古いマーク(象徴)の一つで、「神聖な女性」や「聖なる女神」という意味を持っていました。しかし歴史の流れで意味が変えられてしまい、現代ではアメリカ空軍などで戦争の象徴とされたり、ホラー映画などで悪魔召喚のための魔法陣に描かれています。
 本来、五芒星が持つ意味は女神の象徴でした。このことから「金星」と「女神」が同じ言葉になったのです。

金星→女神へ

古代人は長期間の観測によって、金星が星型=五芒星を描くこと知り、金星に五芒星の持つ“女神”という意味の名前をつけたのです。他にも金星は五芒星を描くことから“完璧さ”、“美しさ”、“循環”の象徴とされています。金星は“Venus”という言葉によって女神と同格になっているのです。

おわりに

「金星と女神の英訳が同じ理由」、お楽しみいただけましたでしょうか?自分が今回この記事を書こうと思ったきっかけは家の本棚を整理していた時に「ダヴィンチ・コード」という小説を見つけた事でした。この小説の本筋ではありませんが、重要なキーワードとして“金星と女神”、“五芒星”の話が出てきます。
自分はそれを読んだ時に、今まで自分たち理系のものだと思っていた天文学に科学以外の視点、宗教や思想から見る宇宙があることを知り、さらに宇宙の興味が深まりました。そして、いわゆる文系の人に宇宙の面白さを知ってもらいたい、理系の人に難しい計算式を使わない宇宙もあることを知ってもらいたいと思いました。これを読んでくれた人が「宇宙って面白い」と思ってくれること、これ以上うれしいことはありません。

参考文献
「ダヴィンチ・コード」 著者 ダン・ブラウン  訳 越前敏弥
「金星を追いかけて」 著者 アンドレア・ウルフ  訳 矢羽野薫
「王 神話と象徴」 著者 ジャン=ポール・ルー  訳 浜崎 設夫