こんばんは。今月も満月の夜がやってきましたね。
今回は前回の「かぐや」に引き続き、日本の月探査機「ひてん」ついてご紹介します。

工学実験衛星「ひてん」(MUSES-A)は日本で初めて月に向かった衛星で、1990年1月に鹿児島にある内之浦宇宙空間観測所からM-3SⅡロケットによって打ち上げられました。ひてんは将来の月や惑星探査に必要な技術を試験するための衛星です。軌道の変更や衛星の制御、効率よくデータを送る技術を確立することなどを目的とし、1993年のミッション終了までにいくつかの重要な実験が行われました。

「ひてん」による実験

ひてんが行った主な実験に、月の重力を利用したスイングバイ実験と地球の大気によるエアロブレーキ実験があります。難しそうな名前ですが、どちらも月惑星探査に欠かせない技術です。スイングバイは惑星の重力を、エアロブレーキは大気を利用して加速や減速を行い、衛星の軌道を変更します。
ひてんはミッション中に計10回のスイングバイを行っただけでなく、世界で初めてエアロブレーキに成功しました。エアロブレーキは探査機が惑星の大気に突入する際に生じる大気抵抗を用いて軌道変更を行いますが、大気抵抗が大きすぎると探査機は消滅してしまいます。あまり知られていない「ひてん」ですが、月惑星探査にとても大切な技術を実証したということが分かりますよね。

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「ひてん(MUSES-A)」©JAXA

孫衛星「はごろも」

地球の周りをまわる月のように、惑星の周りをまわる星を衛星と言い、さらにその衛星の周りをまわる天体を「孫衛星」と言います。ひてんには「はごろも」という人工の孫衛星が搭載され、1990年3月に月周回軌道に投入されました。ひてん自身も2年後に月周回軌道に投入されています。はごろもの月周回軌道への投入は、ひてんの成果の一つですが、当初の計画に、はごろもの搭載はありませんでした。ひてんの開発現場の研究者が計画し搭載したことで、はごろもは打ち上げ前に正式な計画となりました。

日本の月探査というとやはり「かぐや」が有名ですが、ひてんはかぐやより10年以上も前に月へ向かっていたのですね。下の写真でもわかるように、ひてんは高さが79cm、直径1.4m(円筒形)と小さな人工衛星です。人工衛星というともう少し大きいイメージがあったので、今から20年以上前にこんなに小さな衛星が月へ向かっていたとは驚きでした。

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「はごろも」(左)と「ひてん」©JAXA

参考
宇宙情報センター「ひてん」
http://spaceinfo.jaxa.jp/ja/hiten.html
ISAS工学実験衛星「ひてん」
http://www.isas.jaxa.jp/j/enterp/missions/hiten.shtml
ISAS日本の宇宙開発の歴史
http://www.isas.jaxa.jp/j/japan_s_history/chapter06/03/index.shtml