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第15回 砂の衛星、月

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こんばんは。満月の夜がやってきました。最近は空気も澄んで、月が綺麗になってきましたね。
私たちが生まれるずっと前、アポロ計画によって地球に持ち帰られた「月の砂」や「月の石」。今夜は、それらの正体についてお話しします。



「レゴリス」とは?
夜空を見上げると見える、月。
月を見たとき、“あ、今日の月は黄色っぽい!” “今日の月は痩せてるなぁ”などと思うことがあると思います。
しかし、遠い昔のある人は、そんな月を見て、“月は、砂で覆われているのではないだろうか?”そう考えたらしいのです。

まさに、それが「レゴリス」。天体の表面を覆う土壌、岩石の細粒物、月のあのグレーの細かい砂のことです。「月の石」は、砂まで砕けきる前の直径2mm以上の礫(れき)のことをいいます。

レゴリスのできかた
なぜ、レゴリスが月に堆積することになったのか?それは、地球と月の違いからひもとかれます。注目する点は、地球にあるプレート運動と大気が、月にはないということ。

宇宙では、常に微小粒子などが超高速(6〜15km/h)で飛び交っていて、地球にも月にも、それらが降り注いできます。
地球の場合、大気があるため、断熱圧縮や摩擦によって上空で燃え尽きてしまうのですが(これが流星です)、
月の場合、そのまま表面に衝突します。
微小粒子とはいえ、速度がとてつもなく大きいためエネルギーが大きく、硬い岩石でも粉々に砕くことができます。
それが何度も繰り返された結果、砂だらけの表面になっていったのです。

また、地球はプレートの運動により、地殻が長い年月の中で循環したり火山活動を行うことで、もとある岩石が溶岩になります。
しかし、月にはプレートの運動がないので、溶岩に変化することもありません。
砕かれた砂がそのまま残されどんどん堆積していくというわけです。

レゴリスの特徴
なんと、月のレゴリスには、生命の源であるアミノ酸が含まれているのです!
その理由は、正確には解明されていませんが、地球からやってきたという説が有力だそうです。
アミノ酸が存在できるのなら、人間も生活できるのでは…?そう考える人もいるかもしれません。
しかし月のレゴリスは、非常に小さく(約65〜70μm)、形状も尖っており、高い電気伝導性と強い磁性も持っています。
そのため、宇宙服にくっついてしまったり、誤って吸い込んでしまうと危険だったり、その存在だけで電気製品に影響を及ぼしたりします。
実際、アポロ計画でも、何度払っても宇宙服にまとわりつき、精密機器に入り込んで故障させてしまったらしいです。
水や大気のことも考えると、月に人間が住むことはとてもとても難しいのかもしれませんね。

まとめ
第13夜(リンク: http://spacemgz-telstar.com/3445)でもお話したように、月には「海」があります。そこはクレーターのくぼ地であり、内側は比較的新しい地形で、砂の厚さはは2〜8m程度です。
一方、「陸」や「山」の部分は比較的古い地形で、砂の厚さは20〜30mにもなります。
月の公転周期は地球の自転周期と同じなため、地球に常に同じ面を見せています。
月の裏側は見えませんよね。月の裏側は、地球という壁がないため表側よりたくさんの塵が衝突します。
では、月の裏側のレゴリスはどのようになっているのでしょうか?
月を眺めながら、色々なことを考えてみるのも楽しそうですね!
では、また。満月の夜に。

what’s 満月記事
TELSTARは日本で皆既月食が2度見れる2018年を“W皆既月食year”と名付けました。
私たちは日本中の皆さんが、月に様々な思いを巡らせて見上げられるように満月記事をお届けしてまいります!

参考:jaxa PDF (https://edu.jaxa.jp/himawari/pdf/2_moon.pdf)
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