宇宙が膨張しているという事実が分かったのは1929年。宇宙望遠鏡の名前にもなっているアメリカの天文学者「エドウィン・ハッブル」が銀河間の距離を測定したことにより、世界で初めて明らかになりました。それから約80年、宇宙観測技術の向上によりドイツの研究グループが、宇宙の膨張の速度は予想以上に速かった、ということを明らかにしました。

この発見には宇宙レンズ(重力レンズ)という原理が関わってきます。宇宙レンズとは、天体の重力がレンズのような役割を果たし、光の進路を曲げるというものです。宇宙レンズによって曲げられた光は、まっすぐ進んで来る光よりも遅く進みます。この時の速さの差から、宇宙の膨張速度にかかわる膨張率(ハッブル定数)を確かめることができるのです。

2017年、ドイツの研究グループが、この方法で強い重力レンズ効果のある5つの天体を観測してハッブル定数を測定しました。しかしこのときの値は、従来の観測方法で得られたハッブル定数の値とは一致しませんでした。2011年、宇宙が加速膨張しているということが明らかになりましたが、今回の発見により、宇宙の膨張速度はこれまで想定されていたよりずっと速かったということが分かったのです。

では、そもそもなぜ宇宙は加速膨張しているのでしょう?その答えは、ダークエネルギーと呼ばれる謎のエネルギーにあると考えられています。

宇宙の膨張image

宇宙の誕生から現在までの宇宙の膨張

Image Credit:国立科学博物館

宇宙にはこの謎のエネルギーが充満していて、そのエネルギーの総量は一定しています。一方宇宙が膨張するにつれ、物質同士の引力は徐々に小さくなっていきます。その結果、はじめは引力の影響で減速していた膨張の速さが、あるところからダークエネルギーの影響の方が強くなり、宇宙は加速膨張に転じたと考えられています。

宇宙の膨張についてわかっていることはまだまだ一部にすぎません。今後の研究によるさらなる未知の発見が期待されます。