「あらせ」定常運用へ移行

2016年12月20日に打ち上げられたジオスペース探査衛星「あらせ」が、軌道上で衛星システムの確認と、搭載していた九つの観測機器の立ち上げを完了したため、観測を開始しました。

「あらせ」の目的は、ジオスペースにあるヴァン・アレン帯と呼ばれる領域で高エネルギー粒子を観測することです。ジオスペースとは地球周辺の宇宙空間のことです。太陽が放出するプラズマの流れである太陽風の影響を、ダイレクトに受ける場所でもあります。その中でもエネルギーの高いイオンや電子が集まっている放射線帯を、発見者の名前をとってヴァン・アレン帯と呼びます。ヴァン・アレン帯についてはまだはっきりとわかっていない部分があり、「あらせ」はそれを明らかにするための衛星です。

何故ヴァン・アレン帯を調べるのかというと、宇宙天気予報に役立てるためです。宇宙天気は主に人工衛星に影響を与えます。例えばヴァン・アレン帯で太陽風が乱れると、高エネルギー粒子に囲まれた人工衛星は異常動作を起こすことがあります。人工衛星は天気予報や通信など、私たちの生活に欠かせないものとなっています。ヴァン・アレン帯の調査、高エネルギー粒子の変動メカニズムの解明は人工衛星の安全な運用につながり、私たちの生活に役立ちます。

ヴァン・アレン帯での調査における重要な課題の一つに放射線があります。「あらせ」は強い放射線に耐えつつ高精度の観測を行うために放射線耐性の高い部品や材料、放射線シールドの採用などの工夫をしています。

あらせによるヴァン・アレン帯の調査は、未来の人工衛星の安全な運用につながります。また、「あらせ」に搭載された九つの観測機器と放射線対策には、最先端の技術が詰め込まれており、ヴァン・アレン帯の調査だけでなく将来の宇宙開発にも大いに役立つことでしょう。あらせの今後に期待ですね。