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宇宙食について その10:宇宙食の歴史って?

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 宇宙開発の歴史を彩った数々のスペースシップ。その移り変わりと共に、宇宙食の形態も進化してきました。

 

 有人宇宙開発黎明期の1962~1963年、マーキュリーの時代にはチューブに入ったクリーム状やゼリー状の離乳食のようなものと、ゼラチンでコーティングされた一口サイズの固形スナックが宇宙食でした。チューブ式の宇宙食には、ビーフグレービーや野菜ペースト、アップルソースなどが入っていましたが、その食感と食べ方が宇宙飛行士に不評でした。また、1日に必要な2800kcalを摂取するのに1日2kgもの量を食べなくてはなりませんでした。

 

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宇宙開発黎明期のマーキューリージ時代のチューブ状の宇宙食

© NASA

 1963~1968年のジェミニの時代には、一口サイズの宇宙食の他、中程度の水分を含んだものや乾燥食品が登場し、不評だったチューブ式の宇宙食は姿を消しました。牛肉、イチゴシリアルキューブ、ビーフサンドなどがパッキングされ、それを開封するためのハサミや乾燥食品に水を加えるためのウォーターガンが携行されました。

 

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ウォーターガンの登場したジェミニ時代の宇宙食

© JAXA

 

 1969~1972年のかの有名なアポロの時代には、宇宙食の種類も大幅に増え、お湯が使えるようになったことで、お湯で戻した食品をスプーンですくって食べられるようになりました。地上での自然な食事スタイルに少し近づきました。また、一日分のカロリーを摂取するのに食べなくてはならない量は600gに軽量化され、マーキュリー時代の1/3になりました。

 

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加水食品が登場したアポロ時代の宇宙食

© NASA

1973~74年のスカイラブの時代には加水食品に加えて、レトルト食品、自然のままの食品、調理済みの冷凍食品など、より地上の食品に近いものが登場しました。容器はフタつきのアルミ缶になり、加熱用のトレーにセットして、温めてから食べました。冷凍庫や冷蔵庫も設置され、ダイニングテーブルナイフやフォークやスプーンも使えるようになり、食事スタイルもより地上のスタイルに近づきました。この時代は生医学実験が行われたため、食事内容や食事環境はかなり改善されました。

 

宇宙食 加熱用トレー.jpg

加熱用トレーの登場したスカイラブ時代の宇宙食

© JAXA

スペースシャトル以降、現在のソユーズに至るまで、現在の宇宙食は更にバラエティ豊かになり、更に地上の食事に近いものとなりました。スペースシャトルで食べられた宇宙食はプラスチックの容器に入っており、水やお湯を加えて戻したり、オーブンで温めたりして食べられました。NASAの宇宙食は、スペースシャトル内での短期ミッション用と国際宇宙ステーション内での長期ミッション用にそれぞれ180種類以上のメニューがあります。ロシアの宇宙食はボルシチなどの郷土料理も含めて100種類以上のメニューがありますが、ロシアの宇宙食は缶詰が多いです。半乾燥食品、加水食品、レトルト食品、自然形態食品、フリーズドライ食品、そして新鮮食品。こうして、最初のトピック「I. 宇宙食の形態」で紹介した宇宙食の形態が出揃いました。

 

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近年引退したスペースシャトルや現役のソユーズで食べられる宇宙食

© JAXA

 

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