2017年宇宙ゆく年くる年

皆様、年末年始はどう過ごされてますでしょうか。
さて、毎年の恒例企画となった「宇宙ゆく年くる年」。宇宙開発から天文まで、2017年の宇宙ニュースを振り返ります。
それでは1月からスタートです!

 

1月 JAXAの超小型ロケット「SS-520」の打上げ失敗

1月

SS-520 4号機の打上げの様子 Image Credit : JAXA

JAXAが挑戦した超小型・超軽量の衛星打上げロケットSS-520の4号機。第3段ロケットによる人工衛星の軌道投入に失敗しました。原因は、これまで実績のある第2段ロケットで電線が断線してしまったことでした。今回うまくいかなかった部分だけでなく、うまくいった部分もその原因を調査することで更なる改良を加えたSS-520の5号機が、2018年度初めに打ち上げられる予定です。一年越しの再挑戦に目が離せません!

 

 

2月 地球からわずか39光年、7つの地球サイズの惑星発見

2月

TRAPPIST-1のイメージ図 Image Credit : NASA

太陽系からずか39光年の距離に7つもの地球サイズの惑星があることが確認されました。7つの惑星のうち3つが水の存在しうるハビタブルゾーンに存在することがわかりました。このTRAPPIST-1惑星系のポイントは、恒星と惑星の相対的な大きさが生命の誕生に理想的である点と、太陽系に近いため惑星の大気を調べることができる点です。惑星の大気を調べることで、生命体に必要な元素や化合物が惑星上に存在するかを調査することができます。

 

 

3月 SpaceX社初の再使用ロケット打上げ&着陸成功

3月

Falcon 9 の打上げの様子 Image Credit : SpaceX

SpaceXがついにロケット第一段の再使用に成功しました!これまで何度も第一段の着陸に成功していましたが、再使用ロケットの打上げと着陸に成功したのは初めてのことです。今後、ロケットを繰り返し利用することで大幅なコストダウンが期待されています。第一段の着陸だけでなく再使用も当然のこととみなされる時代が来ることを10年前に考えられた人は、果たしてどれほどいたのでしょうか。

 

 

4月 土星衛星「エンケラドス」に熱水噴出孔存在か

4月

土星探査機カッシーニがとらえたエンケラドス Image Credit : NASA

2017年4月13日に開かれた記者会見で、土星探査機カッシーニがエンケラドスから水素分子が噴き出していることを確認したと発表しました。この水素分子はエンケラドスに生命の熱水噴出孔が存在する証拠となります。地球の熱水噴出孔が生態系を育んでいることから、エンケラドスにも生命が存在する可能性があると考えられています。人類待望の地球外生命体発見の候補地としてエンケラドスにも大きな注目が集まっています。

 

 

5月 カナダの大学、ダークマター可視化に成功

5月

ダークマターを可視化した画像 ImageCredit: S.EPPS&M.HUDSON / UNIVERSITY OF WATERLOO

質量はあるのにほかの物質と相互作用しない「ダークマター」。わたしたちが観測できる物質だけでは銀河が形を保持する重力が足りないことから、存在が提唱されるようになりました。ダークマターは光を吸収・反射することもないため、直接観測することはできません。カナダのウォータールー大学の研究者たちは、「弱い重力レンズ」を用いてこの謎の物質の可視化に成功しました。重力レンズとは、観測者と星の間にある巨大な重力源によって時空が曲げられ、対象となる星が歪んで見える現象です。研究者たちは膨大な画像を合成し、弱い重力レンズの影響を解析しました。その結果、ダークマターが蜘蛛の巣のような巨大構造を成していることが分かったのです。

 

 

6月 LIGO、重力波検出に成功-3度目の快挙

6月

衝突した2つのブラックホールのイメージ図 ImageCredit:AURORE SIMONNET, LIGO, CALTECH, MIT, SONOMA STATE

30億年前、はるか彼方の球状星団で衝突した2つの大質量ブラックホール。この衝突・融合によって解放された膨大なエネルギーは、時空を歪めさざ波のように宇宙に広がりました。
この「さざ波」すなわち重力波を、地球のレーザー干渉計重力波観測所(LIGO)が捉えました。地球に届いた重力波は、陽子の直径よりもはるかに小さい空間の歪みを引き起こしました。人間が気付くことはもちろん不可能ですが、高感度のLIGOはこの小さな歪みをとらえたのです。
LIGOは過去2回に渡って重力波を検出しており、今回で3回目の検出成功となりました。LIGOのデータは、謎の物質ダークマターの概念に疑問を投げかけているといいます。今後のさらなる重力波の検出により、この疑問への答えが導き出されるはずです。

 

7月 ジュノーが木星の大赤斑を至近距離から撮影

7月

木星に接近するジュノー探査機のイメージ図 ImageCredit: NASA/JPL-Caltech

NASAの木星探査機ジュノーが木星の上空わずか9000kmを通過し、大赤班を撮影しました。赤い目玉のような大赤班の正体は、地球が収まってしまうほどの巨大な嵐です。大赤班は数世紀にわたって続いていますが、この150年ほどは縮小する傾向にあるといいます。今回撮影されたような画像は、嵐にエネルギーを供給したり奪ったりする木星内部の力学の解明に役立つことが期待されています。

 

 

8月 民間宇宙ロケットMOMO初号機打ち上げ

8月

完成したロケット「MOMO」とインターステラテクノロジズの稲川貴大社長 ImageCredit:時事通信社

民間宇宙ベンチャー企業インターステラテクノロジズが開発した観測ロケット、MOMO初号機が北海道から打ち上げられました。MOMOは全長10メートル、重さ1トンの液体燃料一段式のロケット。人工衛星は搭載せず、先端部の観測機器で高度や位置を確認する予定でした。
濃霧や機体トラブルによる度重なる延期の後打ち上げられたMOMOですが、目標としていた高度100km以上の宇宙空間には到達せず、30~40kmにとどまりました。インターステラテクノロジズの創設者、堀江貴文氏はTwitterで「無事ロケットは離床して飛んで行きましたが、残念ながら宇宙までは到達できませんでした。しかしながら貴重なデータが取れたのでリベンジして宇宙まで飛ばす日も近いです。」と発言しています。

 

 

9月 ありがとう、さようなら、カッシーニ

9月

土星を周回するカッシーニのイメージ Image Credit : NASA

2004年に土星探査を開始し、13年にわたって活躍したNASAの土星探査機カッシーニが、2017年9月15日に土星の大気圏に突入し、その任務を終えました。カッシーニは、土星とその衛星の素晴らしい画像の撮影、土星の衛星であるエンケラドスやタイタンの生命可能性に関する大発見など、人類に計り知れない科学的進歩をもたらしてくれました。そんなカッシーニのグランドフィナーレには多くのファンが、感謝と敬意をもってその死を悼んでいました。

 

 

10月 月周回衛星「かぐや」が発見した月の地下空洞

月の地下空洞の外観 Image Credit : JAXA

JAXAは月周回衛星「かぐや」から得られたデータから、月の地下数10~100 m付近の深さに地下空洞が存在することを発見しました。地球と異なり大気がほぼない月では、強い宇宙線が降り注ぎます。地下空洞はそのような宇宙線を遮断してくれることから、月に人が住める可能性が高くなりました。少し前まではSFとしてしかみなされなかった月面都市計画が実現するための大きな一歩となった発見でした。

 

 

11月 「遠方からの初めての使者」太陽系外の小惑星オウムアムア

Artist’s impression of the interstellar asteroid `Oumuamua

オウムアムアのイメージ画像 Image Credit : NASA

NASAが発見した小惑星は葉巻型の奇妙な形状をしており、今まで見たことのない明るさの変化を見せました。この小惑星は私たちの太陽系に太陽系外から速いスピードで接近し、通り過ぎていきます。そのため、ハワイ語で「遠方からの初めての使者」を意味する「オウムアムア」と命名されました。これは太陽系外から接近してくる天体を初めての発見、観測でした。系外惑星の形成についての手がかりを得られるとして天文学者には今後も強く注目されていくでしょう。

 

 

12月 日本の金井宣茂宇宙飛行士、ISSへ

12月

ソユーズに搭乗する前の金井宣茂宇宙飛行士 Image Credit : JAXA

2017年12月17日、金井宇宙飛行士が搭乗するソユーズ宇宙船がカザフスタン共和国にあるバイコヌール基地からISSへ向けて出発しました。金井宇宙飛行士はISSに長期滞在する日本人として7人目で、訓練も非常に順調に進んだといいます。宇宙で乳酸菌を摂取することによる免疫向上など、医学実験を予定しているとのことです。ツイッターやブログで毎日のISSをユーモラスに発信されていますね。

以上で終わりです。この他にも様々な宇宙ニュースがありました。来年も楽しみですね!
本年はお世話になりました。来年もTELSTARをよろしくお願いいたします。(TELSTAR一同)


 

第18夜 太陽系外から来た天体!?

こんばんは。新月の夜がやってきました。
もうすっかり冬らしくなりましたね。冬の星座もすっかり見ごろとなりました。

今日は宇宙のお話...

皆さんは10月19日にハワイ・パンスターズ望遠鏡によって発見された小天体「C/2017 U1」(仮符号)をご存知ですか?
この仮符号は彗星と思われたため頭文字にCometのC、発見年の2017、10月16日以降に見つかった1つ目の小天体(彗星)という意味です。
その後、尾などの彗星活動が見られないことから小天体「A/2017 U1」と仮符号が変わりました。

この天体を詳しく調べると太陽系外からやって来たらしいということになり、観測史上初となる「太陽系外から飛来した天体」を観測したと大きなニュースとなりました。ここまでは耳にした人も多いと思います。

その後も詳しい観測が続けられ、太陽系内の天体であるなどの疑いの目が向けられましたが、観測史上初の恒星間天体(太陽系外から飛来した天体)として認められたのです。
国際天文学連合(IAU)は11月7日にこのような恒星間天体に対する新たな仮符号として「I」を使うこと、この小天体を「1I/2017 U1」と改め、名称はハワイ・パンスターズの研究チーム推薦のハワイ語に由来する「Oumuamua(オウムアムア)」とすることを決めました。

こと座のほうから飛来したこの天体は、今現在、ペガスス座の方向へ高速で飛び去っています。果たしてこの天体の正体は何だったのか?どの恒星系から飛来してきたのか?これからの観測成果を期待するとともに、考えれば考えるほど宇宙の面白さを感じずにはいられません。

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NASA/JPL-Caltech/IAU


皆さんも夜空を眺める際は、何か一つ思いを馳せてみてみてはいかがでしょうか?
もしかしたら、何か見る目が変わるかもしれませんよ!

それではまた新月の夜に...

参照:
MPEC 2017-V17 : NEW DESIGNATION SCHEME FOR INTERSTELLAR OBJECTS
http://www.minorplanetcenter.net/mpec/K17/K17V17.html

新月記事 第17夜 ガイド撮影

こんばんは。新月の夜がやってきました。
ここ数日は天気が悪いうえに肌寒いですね。星を観るにも寒さ対策が重要な時期となってきました。
寒さ対策をしっかりしたうえで秋の夜長に星空を見てみてはいかがでしょうか?

さて、今夜はちょっとマニアックなオートガイド撮影(ガイド撮影)のお話を…

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第8夜や第9夜で扱った望遠での追尾撮影。望遠での追尾撮影は様々な難しさがありますが、最も難しいのは長時間撮影していると星が流れてしまうことです。どれだけしっかりと極軸を合わせ(第7夜「極軸合わせ」)していても、赤道儀そのものでは完璧に星を追尾しきれず、星が流れてしまうことがあります。
第7夜:http://spacemgz-telstar.com/4143
第8夜:http://spacemgz-telstar.com/4259
第9夜:http://spacemgz-telstar.com/4334

無題の図形描画

長時間露光ではよく見ると星が流れてしまうことも... 


それを根本的に防止するのが、ガイド撮影と呼ばれる手法です。端的に説明すると、カメラを2台用意し1台は星の追尾状態を監視し、赤道儀に追尾状態を伝えて修正し、もう一台のカメラで星を撮影するというものです。

最近では、機器がコンパクトかつ安価になってきたため用いている人も増えてきています。しかし、ケーブルが増えてしまったり、電源をより多く必要としたりと準備が大掛かりになってしまいます。

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PC使用タイプガイダーを取り付けた撮影風景

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PC不使用(スタンドアロン)タイプのガイダー



ガイド撮影をすることによって3分の追尾撮影にしか耐えられなかったものが、5分もしくは10分以上などの撮影にも耐えることができるようになります。そうなるとより淡い天体を撮影しやすくなるため撮影の幅が大きく広がる手法です。

なかなかここまでの手法を用いた撮影まで行いたいという人は多くないですが、是非知識の一つに入れていただければと思います。

ではまた新月の夜に。。。

written by Shohei Utsumi

第15回 スマホで天の川は撮れるのか?

こんばんは。新月の夜がやってきました。
もうすぐ夏が終わりますが、天気が良くない日が続きますね。。。
天の川をほとんど撮ることなく終わりそうです。
中には今日、アメリカでの皆既日食を撮影しに行ってる人もいるかもしれませんね。

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ペルセウス座流星群の夜に…@岡山県備前市

今夜は先月号に続き、スマホで天体写真についてご紹介したいと思います。
先月から、スマホで星空を撮りながら様々な条件で検証してきました。

その結果がこちらです。画像処理は施していません。
天の川の姿を真ん中に捉えることができました。

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格安スマホ×100均の三脚で撮影した天の川

ペルセウス座流星群の時も多くの方々が手持ちでスマホを夜空に向けていましたが、それでは撮影することができません。星を撮るには三脚が必要です。

三脚といっても100均のスマホ用三脚があれば十分です。
あとは、第14回でご紹介した手順で撮影すれば問題ありません。
(新月記事第14回→http://spacemgz-telstar.com/4762
無題の図形描画

撮影手順(android)

ただし、機種によって撮影できないものもあります。
私のスマホはandroidの格安スマホですが、友人のiPhone(旧式)ではノイズが多く長時間露光(星空撮影)には不向きな印象でした。

夏休み、まだまだ星空撮影のチャンスはあります。是非お手持ちのスマホと100均の三脚で撮影してみてください。
ではまた新月の夜に。。。

Written by Shohei Utsumi

ispaceがルクセンブルク政府と連携、月面探査が活発に

日本の民間宇宙企業ispaceが、ルクセンブルクの「SpaceResources.lu」計画に参加することを発表しました。宇宙資源開発の分野で外国政府と連携するのは日本で初めてのことです。

ispaceは”宇宙を人類の生活圏にする”というビジョンを掲げています。月にある水や月面を覆うレゴリスという砂などの調査を行い、月資源の活用を目指しています。現在は主に、月面探査車(ローバー)の開発に取り組んでいて、月面探査レース「Google Lunar XPRIZE」に出場中の日本チーム「HAKUTO」の運営も行っています。

「SpaceResources.lu」計画は、ルクセンブルク政府による、宇宙資源を商業に利用するための支援計画です。ルクセンブルク科学技術研究所(LIST)が中心となり、諸外国と連携して月や小惑星などにある宇宙資源の開発を行っています。今回の発表によると、LISTが開発した、物質を特定しその質量も測ることができる質量分析計を、ispaceが開発するローバーに搭載します。月にある水の分布をマッピングしたり、レゴリスの成分を測定したりすることが目的です。

では、月の資源はどのように利用されるのでしょうか?例えば、水を水素と酸素に分解することで、月面から打ち上げるロケットの燃料に利用できます。また、レゴリスは焼き固めることで、レンガやガラスとして月面基地の資材に利用できます。他にも鉄やアルミニウムといった鉱物があり、月での利用はもちろん、地球に届けて使うことも考えられます。

ispaceとルクセンブルクのように国際的な協力や技術の進歩によって、月面開発は急速に進んでいます。月に採掘場やロケットの発射台ができ、宇宙船が地球と月を行き来する時代は近いかもしれません。そんな時代を目指すispaceの活躍に期待です。
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アポロ11号から見た、地球が月の水平線から昇る瞬間
Image Credit:NASA

凍りづけから動物を守るタンパク質
~ISS「きぼう」における氷の結晶成長実験~

2013年11月から約半年間、ISSの「きぼう」船内実験室において、JAXAと北海道大学は宇宙の微重力環境で氷の結晶がどのように成長するかを観察する実験を行いました。この実験によって、寒冷環境に住む動物体内の水が凍らないしくみが明らかになろうとしています。

結晶成長
図1 左から右へと氷の結晶が成長していく様子。氷の結晶が成長していく過程は非常に複雑で、それゆえに世にも美しい形状を作り上げることが知られている。Image Credit: JAXA

 氷点下の環境に住む魚が凍結せずに生きられるしくみの謎を解き明かすためには、”不凍糖タンパク質”と呼ばれるタンパク質が大きな鍵を握っています。今回の実験から、不凍糖タンパク質を含んだ水はある特定の方向に対して純水の3~5倍の速さで結晶が成長することが分かりました。「結晶の成長を速くする」と聞くと一見、水の凍結を促進しているように思えるかもしれません。しかし、ある一点に向かう方向に結晶成長を押し進めることで氷の結晶を小さく収め、結果的に凍結を抑制しているのです。

結晶成長 模式図
図2 不凍糖タンパク質を含む水中で氷の結晶が成長する速さを表した図。矢印の方向が異なる3種類の面は成長する速度がそれぞれ異なり、不凍糖タンパク質の作用で氷の結晶が小さく収まるように調整される。Image Credit: JAXA

 今回のような実験を地上ではなく、あえて宇宙で行うことには大きな理由があります。氷の結晶が成長するのを観察するにあたって、外部からの刺激は天敵です。特に問題となる「対流」は熱を伝えるために起こる流体の流れであり、地上の重力が原因で起こる現象です。このような理由から、微重力下で実験を行うことで、より精密な結果を得られるのです。
 今後、凍結を防ぐ働きを持つタンパク質のメカニズムが解明されることによって様々な分野への活用が期待されています。まず、寒冷環境に住む動物がいかに寒さに負けず生き残るか、その戦略を解明するための第一歩となります。また、食品分野や医療分野においても、冷凍食品の品質や臓器移植における臓器などの保存に利用できると考えられています。
 宇宙から私たちの生活へ。遠い存在に思える宇宙が身近に感じられる仕事の一例として、これからいっそう注目が集まるトピックとなるでしょう。

国際宇宙ステーション(ISS)の根幹を支える日本の技術を使ったバッテリの取り付け、起動完了!

 「こうのとり」6号機(HTV6)によってISSに運ばれた新型バッテリー6個すべてが無事取り付けられ、2017年1月14日午前4時15分に起動したことが確認されました。このバッテリーには日本の技術により開発されたリチウムイオン電池が使用されており、今後のISSの電力の供給源を日本技術が支えていくことになります。

 「こうのとり」は、日本のISS補給機です。食料や研究用資材等、必要物資の輸送はISS参加各国が協力して行っており、日本の補給機がこの「こうのとり」です。H-ⅡBロケットによって打ち上げられ、ミッションを終えると大気圏に再突入させて燃やします。各任務で新しい機体が使用されるため、今回は6号機と名前がついていたのです。

 そして今回、日本の企業であるGSユアサ製のリチウムイオン電池を使用したバッテリーがISSへ運ばれました。

 リチウムイオン電池とは、リチウムイオンの移動により充放電を行う、小型で軽量の電池です。携帯電話やパソコンなど充放電が必要な機器に主に使用されており、他にもロケットや深海調査船、病院や工場の非常時用電力等にも使用され、用途は多岐に渡ります。近年、電気自動車への応用で高い注目を集めています。

 これまでISSで使用されてきたニッケル水素電池と比較し、非常に効率良く充放電が出来、高密度の電力の蓄電が可能です。また、度重なる充放電による消耗が少なくバッテリーの寿命が長いため、交換サイクルの長期化が期待されています。 

 なお、今後こうのとり9号機までに、ISSで使用されている48個のニッケル水素バッテリーを全て24個のリチウムイオンバッテリーに交換していく予定です。

 ISSで使用される電力のバッテリーを日本の技術が担う日が来るのは、そう遠くないでしょう。

第14回 スマホで星空撮影

こんばんは!新月の夜がやってきました。
広い範囲で梅雨明けし、いよいよ夏本番ですね。
もうすぐ3台流星群の一つペルセウス座流星群も極大を迎えます。
今年の極大日(最も流れる日)は8月13日4時頃となっています。月がやや明るいので月没頃に観察することをお勧めします!
詳しいことは国立天文台のページをご覧ください。

国立天文台 星空情報2017年8月ペルセウス座流星群が極大
https://www.nao.ac.jp/astro/sky/2017/08-topics03.html
さて今夜の本題はほとんどの方がお持ちのスマートフォンで撮る星空です。
近頃、スマホに付いているカメラはかなり高性能になっています。カメラを趣味とする人からは「天体写真以外はスマホで問題なく撮影できる。」といわれるほど高性能です。(できないとすればあと望遠撮影ですかね。)それほどスマホのカメラと一眼レフカメラで撮影した写真との差は着実に縮まっており、技量差によってはスマホのほうが上に出てもおかしくありません。しかし、天体写真に限っては一眼レフの圧勝です。その勝因はノイズの少なさにあります。

スマホのイメージセンサー(人間でいう網膜のようなもの)は一眼レフのイメージセンサーよりも小さいため光を受け取る面積が小さくなります。そして、ノイズがセンサー内で一つ発生するとしたとき、小さいほうが大きいより影響を受けやすくなります。スマホの写真でノイズが多くなるイメージはこのような形です。

ノイズ量では一眼レフに適いませんが撮れないわけではありません。うまくいけば天の川を撮ることも可能です。
スマホで撮影する際に必要なものは二つ。「スマホ本体」と「スマホを取り付けられる三脚」です。
この2点を用意し、スマホのカメラを起動します。
起動をしたらまず、撮影設定をオートからマニュアルにしましょう。(※機種によってはなかなか設定画面にたどり着けないまたはない場合があります。)
マニュアルにしたらまずシャッタースピード(S)を最も長く、そして感度(ISO)を最も高くします。あとはピント合わせですが、これはある程度の慣れが必要です。三脚に固定したうえで遠くの鉄塔の明かりや月、明るい星を用いて光源が最も小さくなるようにピントを調整します。
ピント調整ができたら後はシャッターを押すだけです。このとき、ブレてしまわないよう、遠隔でシャッターを切るかタイマーできるようにするとブレずに撮ることができます。
無題の図形描画

何度も根気強く撮影していると流星やISS(国際宇宙ステーション)をも撮影することができるかもしれません。
是非、この夏休みに挑戦してみてください。

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スマホで撮影した夏の大三角(気持ち天の川も)
中央やや右がこと座のベガ、左下がわし座のアルタイル、中央上が白鳥座デネブ

いつか、スマホでも簡単に美しく星空を撮れる日が来るかもしれませんね。
ではまた新月の夜に!

宇宙の膨張は予想以上に速かった!重力レンズから考える宇宙の膨張

宇宙が膨張しているという事実が分かったのは1929年。宇宙望遠鏡の名前にもなっているアメリカの天文学者「エドウィン・ハッブル」が銀河間の距離を測定したことにより、世界で初めて明らかになりました。それから約80年、宇宙観測技術の向上によりドイツの研究グループが、宇宙の膨張の速度は予想以上に速かった、ということを明らかにしました。

この発見には宇宙レンズ(重力レンズ)という原理が関わってきます。宇宙レンズとは、天体の重力がレンズのような役割を果たし、光の進路を曲げるというものです。宇宙レンズによって曲げられた光は、まっすぐ進んで来る光よりも遅く進みます。この時の速さの差から、宇宙の膨張速度にかかわる膨張率(ハッブル定数)を確かめることができるのです。

2017年、ドイツの研究グループが、この方法で強い重力レンズ効果のある5つの天体を観測してハッブル定数を測定しました。しかしこのときの値は、従来の観測方法で得られたハッブル定数の値とは一致しませんでした。2011年、宇宙が加速膨張しているということが明らかになりましたが、今回の発見により、宇宙の膨張速度はこれまで想定されていたよりずっと速かったということが分かったのです。

では、そもそもなぜ宇宙は加速膨張しているのでしょう?その答えは、ダークエネルギーと呼ばれる謎のエネルギーにあると考えられています。

宇宙の膨張image

宇宙の誕生から現在までの宇宙の膨張

Image Credit:国立科学博物館

宇宙にはこの謎のエネルギーが充満していて、そのエネルギーの総量は一定しています。一方宇宙が膨張するにつれ、物質同士の引力は徐々に小さくなっていきます。その結果、はじめは引力の影響で減速していた膨張の速さが、あるところからダークエネルギーの影響の方が強くなり、宇宙は加速膨張に転じたと考えられています。

宇宙の膨張についてわかっていることはまだまだ一部にすぎません。今後の研究によるさらなる未知の発見が期待されます。

TELSTAR CLUB第2回開催決定!!

こんにちは。

TELSTAR CLUBの第2回の開催が決まりましたのでお知らせします!

今回のTELSTAR CLUBは、なんと…..!

月面宇宙レースでも有名な「HAKUTO」に取材に行くことが決まりました!!

HAKUTOは、「『夢みたい』を現実に。」を合言葉に民間の力だけで宇宙開発を進めいている組織です。

Googleがスポンサーの月面探査レース「Google Lunar XPRIZE」に日本から唯一参戦しているチームであり、

今年の打ち上げに向けてただいま最終調整を行なっています。

HAKUTO:https://team-hakuto.jp

宇宙学生:https://koyamachuya.com/column/telstar/24061/

第2回TELSTAR CLUB 日程

取材日:8月8日(火) 15:00~17:00

事前研修:8月4(金),5(土),7(月) 各15:00~17:00

事後研修:8月10日 15:00~17:00
8月11日 15:00~18:00 (打ち上げ含む)
(7,8,11日のみの参加で参加できます!他の日にちでもご相談ください!)
対象:中高生

募集人数:定員10名(先着順を予定)

募集期間:7/25(火)

申し込みフォーム:https://goo.gl/forms/PPw5BFTMmf8SPRSM2

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TELSTAR CLUB とは?

TELSTAR CLUBではどんな活動を行なったの?と疑問に思う方、

まだイマイチどんなイベントなのか想像できないという方もいらっしゃると思います。

そんな方のために前回の活動についてご紹介したいと思います。

———研究者に突撃!!———

第1回TELSTAR CLUBは三鷹にある国立天文台に取材に行ってきました。

事前研修では、質問事項やマナーなどを確認しました。(人生初?名刺を作成します)

当日は、南米のチリにある最先端の望遠鏡である、アルマ望遠鏡の話をしていただいたり、
高校生自らが記者となり取材を行なったりしました。目の前にいる研究者の方に直接質問を
ぶつける経験は、貴重な経験となったはずです。TELSTAR CLUBの魅力はリアルな体験を通し
て知識を深めるのはもちろんのこと、学校や学年の垣根を超えた宇宙仲間との出会いは、か
けがえのないものとなることでしょう。
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高校生記者が書いた記事はTELTARのデザイナーによってデザインされWEBに公開されます。

貴重なこの機会をお見逃しなく!!

参加高校生が第1回TELSTAR CLUBで執筆した記事についてはこちら↓
PDF1
PDF2
(アップロードサイズの問題で、2つに分けています)

お問い合わせはこちらより

宇宙広報団体TELSTAR 関根 匠志

mail:sekine.telstar@gmail.com