第20回「月面X」とは??

皆さんこんばんは。今月も、満月の夜がやってきました。徐々に春めいてきて、暖かく快適になってきましたね。しかし夜はまだまだ冷えるので、観測時は油断大敵ですよ。しっかり防寒して下さいね。

さて、今夜は「月面X」についてお話しましょう…。

【「月面X」とは?】

月面には、無数のクレーターが存在します。また、13夜でお話したように(http://spacemgz-telstar.com/3445)、吹き出たマグマ(地球の海の岩盤と同じ玄武岩質)が巨大クレーターを満たして形成された「月の海」もあります。

そんな凹凸たちの中に、「X」に見えるものがあります。下の写真の白い丸で囲った中にあります。探してみてください!

IMG_8842

これが「月面X」です。これは、ブランキヌス、プールバッハ、ラカイユという3つのクレーターの外壁によって作られた地形です。

月の欠けていく部分、つまり明るい部分と暗い部分の境界線は、光の加減により凹凸がよく分かりますよね。「月面X」を形作るクレーターたちも、実は満月のときなど太った月の時も姿を現しているのですが、上の写真状態、月面南緯25.5度東経1.1度の地点が光の境界になった時、およそ上弦の月の頃に最もはっきり姿を見せてくれるのです。

 

【月面Xの楽しみ方】

残念ながら、「月面X」は肉眼では確認することができません。ただ、小さな望遠鏡や望遠レンズのカメラであれば見ることができます。場所さえ知っていれば、倍率が大きい双眼鏡でもなんとか見ることができます。

最近は、「X」の北に少しいたところにある「V」のような地形「月面V」も注目されています。

 

【月面Xの見頃】

さて、そんな「月面X」ですが、つい最近の3月5日20時45分頃に見頃を迎えました。次の見頃は5月3日の19時半頃です。

 

…と、ここで何か不思議な点に気づきませんか?そう、月は約1ヶ月(29.27~29.84日)に1回満ち欠けをしているから、「月面X」はその度に見られるのではないのか…?

実際はそうではないのです。「月面X」が綺麗に見られるのは1.2時間程度であるのに加え、上弦の月であったとしても月が日本から見えやすい位置になかったり、昼間であったりすると「月面X」は姿を現してくれません。それゆえ「月面X」が綺麗に見えるのは、年に数回ほどに限られてしまうのです。また、その時の天気、雲量も「月面X」が見えるかどうかの重要な一因になります。

 

2017年のこれからの見頃は、先ほどご紹介した5月3日(19時半前後)、7月1日(18時半前後)8月29日(18時前後)、10月27日(20時半前後)です。

 

ぜひ、この日時を目安に「月面X」を発見してみてください!この満月記事を読んだ皆さんはもう「月面X」のありか・時間を知っているので、きっとすぐに見つけることができるはずですよ!

 

ではまた、満月の夜に…。

 

【what’s 満月記事】

TELSTARは日本で皆既月食が2度見れる2018年を“W皆既月食year”と名付けました。

私たちは日本中の皆さんが、月に様々な思いを巡らせて見上げられるように満月記事をお届けしてまいります!!

(参考)http://weathernews.jp/s/topics/201701/040055/

第19回 太陽を食べる月

皆さんこんばんは。
今月も、満月の夜がやってきました。まだまだ寒さが厳しいので、冬の星空を楽しむときはしっかり防寒をして下さいね!

さて、私は最近天文系のお仕事をされている方とお話しました。その方は、日食をたいへん好んでいて、海外の皆既日食や金環日食に何度も足を運んでいるそうです。「あれを生で見てもたら、もう抜け出されへんで!」と言われ、動画を見せていただきました。太陽が月に隠れている数十秒間にぞくぞくしました!ぜひ、生で見てみたいものです。

IMG_6583

【日食とは】
ところでみなさん、日食の仕組みについてはもうご存じですか?これを機会に、少し確認しておきましょう。

まず、日食「日を食べる」と書きますが、正しくは旧字体で日蝕「日を蝕(むしば)む」と書きます。日食とは、月が太陽を覆い隠し、まるで太陽がなくなってしまったかのように見える現象です。
太陽・月・地球の順番に並んだときに起こる現象なのですが、それぞれの大きさや距離により、“月”によって“日”の全範囲が蝕まれる皆既日食が見られるのは、ごく限られた範囲です。また、地球の公転軌道と月の公転軌道が微妙にずれているため、月の影が地球の表面上にくることは少なく、たいていは地球の外側に影ができます。

たとえ部分的であっても日本で日食が見られるのは、5年に1度あるかないかのたいへん稀なことなのです。

【日食の新しい楽しみ方】
ここで1つ、先ほどの天文のお仕事をされている方から教わった、日食の新しい楽しみ方をご紹介します。

月が太陽を隠すということは、もちろん太陽の光が遮断され、空が暗くなるということを指します。欠けていくにつれ、明るい星たちがぼんやりと見えてくるのですが、ここで見える星たちが日食の時にしか味わえないものです!
…というのは、私たちが見ている星たちは、その季節の星々です。今の時期であれば、夜オリオン座やこいぬ座などの冬の星座が見られ、夕方には秋の星座から明け方には春の星座が少し見られるかと思います。

日食は太陽が昇っている間に起こる現象なので、昼間。ということは、太陽が隠れて暗くなった時、見える星たちは夜の間見えない星たち、季節が逆転した星たちなのです!冬にさそり座やこと座や、はくちょう座など夏の星座が見られるなんて、なんだか神秘的ですね。

【まとめ】
次に日本で部分日食が見られるのは2019年です。地球全体に目を向けると2017年2月26日チリやアルゼンチンなどの国で金環日食、2017年8月21日アメリカ合衆国で皆既日食が見られます。直接現地には行けなくても、中継やニュースなどでチェックする方法はたくさんあります!是非、「太陽を食べる月」の感動を味わってみて下さい!その時は、欠けていく太陽だけでなく、周りの星たちも見てみてくださいね!

【what’s 満月記事】
TELSTARは日本で皆既月食が2度見れる2018年を“W皆既月食year”と名付けました。
私たちは日本中の皆さんが、月に様々な思いを巡らせて見上げられるように満月記事をお届けしてまいります!!

参考:http://www.nao.ac.jp/phenomena/20090722/

第18回 月が震える

こんばんは、今月も満月の夜がやってきましたね。遅らばせながら、新年明けましておめでとうございます!今夜は2017年の満月初めです。

さて、今夜は月震についてお話しします。
“月震”という言葉、みなさん聞いたことはありますか?
英語では“moonquake”。地球で起こる“地震”(英語では“earthquake”)の月バージョンのことです。

IMG_5444

【地震とは??】

地震は、地球のプレートの移動や火山の活動の影響によって起こります。日本列島は世界最大の海溝である日本海溝のすぐ近くに位置しているため、地震が頻繁に起こり「地震大国」と言われています。

ここでプレートのでき方を確認しておきましょう。まず、地球はH2Oが固体液体気体の3態で存在することができる“ハビタブルゾーン”という領域に位置しています。太陽系の惑星のうち唯一、水が液体として存在する惑星です。この水が、プレートのでき方に大きく関わってきます。

SiO2など、地球の岩石・岩盤は水と接触することでその部分の強度が下がり、岩盤に小さなひびが入ります。そして、ひびに水が侵入していくこと、マグマが対流していることの影響でそのひびを大きくしていくようになります。こうしてプレートが沈み込む海溝ができ、マグマが冷えてプレートが形成される海嶺ができます。その循環プレートの移動が起こり、地震・火山活動の原因となるのです。

【月震とは??】

ということは、液体の水が存在しないためプレートの移動も存在しない月では、月震は起こり得ないのではないでしょうか…?
実際は、そうではありません。月震と地震のメカニズムは大きく違っており、月は地球とは違った原因で大地を震わせるのです。
その震わせ方は、大きく分けて4つあります。
まず1つ目は、「深発月震」。文字通り、月の深いところで起こる月震です。原因はよくは分かっていませんが、小さな地震が月の自転公転と同じ29.5日の周期で起こるため、地球の潮汐力と関係があるのではないかと言われています。
2つ目は、「浅発地震」。月の表面の浅いところで起こる月震です。こちらも原因はよく分かっていません。観測例が少なく、規模は地球でいうマグニチュード3〜4と大きいことが特徴です。
3つ目は、「熱月震」。震え方がとても小さいのですが、月の昼と夜の温度差によって、月の表面が音を出しながら起こる月震です。月は大気がほとんどないため、地球のように保温効果がなく、月の表面温度は昼は摂氏約123度、夜は約-223度、その温度差約300度にもなります。
4つ目は、「隕石の衝突」。厳密にいうと、外部からの影響のため月震とは言い難いかもしれませんが、月の大地を震わせる一因です。月に大気がほとんどないため、隕石が燃焼しないまま表面に衝突するのです。

IMG_5443

また、地球の地盤には水分が含まれているため、クッション代わりとなって揺れの規模を小さくしたり、揺れの継続時間を短くしてくれます。対して、月の地盤には水分が含まれていないので、揺れが減衰せず時には数時間揺れがおさまらないこともあるようです。それが月面上のミッションや月面生活などに支障をきたしてしまうこともあります。

【まとめ】

こんなに身近な天体、月でさえも、分からないことがあるんですね。幾度かのアポロ計画で月に5つ月震計が置かれ、1977年まで月表面の振動や音を測定していました。現在もそれらのデータの解析が行われています。
月震のデータをもとに、これからどんどん月のことが分かっていくのかもしれませんね!これからの発展に期待しましょう!

【what’s 満月記事】

TELSTARは日本で皆既月食が2度見れる2018年を“W皆既月食year”と名付けました。
私たちは日本中の皆さんが、月に様々な思いを巡らせて見上げられるように満月記事をお届けしてまいります!!

第17回 月の正月

こんばんは。今月も満月の夜がやってきました。はやいもので、今年ももう12月を迎えてしまいました。2016年が終わろうとしています。ただ、これは太陽暦(西暦、新暦)の話。今日12月14日太陰太陽暦(旧暦)でいうとまだ11月16日ということになります。太陰太陽暦だとまだ12月にもなっていないんですね…

今夜はその“太陰太陽暦”についてお話しましょう。
(こちらのリンクから、月齢・旧暦が見られます。 http://www.ajnet.ne.jp/diary/)

 

【太陰太陽暦とは】
“太陰太陽暦”。それは、月の満ち欠けのリズムを基本とし、太陽の一年の中の節目である二十四節気を含む、お月様とお日様の暦。立春(西暦2月4日または5日)に最も近い新月を一年の始まりとして、月の満ち欠けによって日付けが決められています。“太陰太陽暦”は、130年以上前の1872年に公式に廃止されましたが、農村などの民間では、この月の暦のリズムは長く存続していました。

wallpaper-moon-photo-01

昔の人は、月を見れば今日が何日か分かったということですね。

 

【日常に潜む太陰太陽暦】
実は、私たちが日常的に使う言葉の中には、“太陰太陽暦”でしか理解できない言葉がたくさんあるのです。
まず、「ひと月」という言葉。
「ひと月」「1ヶ月」などという言葉、現在の一般的な西暦のカレンダーでわたしたちは使いますよね。しかし、旧暦で使われる本当の「ひと月」は29.5日強のサイクルをもつ1サイクルのことを言い、現在の意味とは異なります。その半端な数より、「ひと月」は29日か30日で構成されることになります。29日ある月を「小の月」といい、30日の月を「大の月」といいます。西暦は「ひと月」を無理矢理に31日にしたり28日にしたもので、リズムの裏付けがありません。月に「1年」という尺度がないのと同様、太陽には本来「ひと月」という尺度がないからです。
太陰太陽暦の場合、1年が29.5×12=354となり、太陽暦よりも11日少ないことになります。そのため、3年に1度、“閏月(うるうづき)”を入れて1年を13ヶ月にし、調整しています。太陽暦でいう、4年に1度ある2月29日と同じ役割をしています。
次に、「晦日(みそか)」という言葉。これは、“暗い”という意味で、月が地球の陰に隠れてしまって月が見えない、新月であるということです。昔は、現在の“12月31日”という意味では使われていなかったんですね。旧暦でいうひと月の最後の日という意味もあり、この日は必ず新月になります。「晦日に月」ということわざをご存知ですか?これは、「あり得ない」ということを表現することわざですが、それも西暦が使われ、西暦の30日や31日を「晦日」と読んでしまったために、意味を失ってしまいました。西暦では、晦日に月があることはしょっちゅうですし、今年の31日「大晦日」も月齢表を見ると月齢1.8ではありますが、うっすら月が出ることになっています。ただ、30日は本当に新月”晦日”になります!

 

【月の正月】
来年2017年のお正月は、1月1日の大正月と1月28日の旧正月の両方を楽しんでみてください!もちろん、クリスマスも楽しんで下さいね!

 

参考:『月的生活』志賀勝 (新曜社)

 

【what’s 満月記事】
TELSTARは日本で皆既月食が2度見れる2018年を“W皆既月食year”と名付けました。
私たちは日本中の皆さんが、月に様々な思いを巡らせて見上げられるように満月記事をお届けしてまいります!!

第16回 ウルトラスーパームーン

こんばんは。今月も満月の夜がやって来ますね。11月の満月は、68年ぶりの特別な満月。何が特別なのか…?今夜も月についてお話しましょう。

 

img_3632

(画像:NASA/LRO/ geckzilla)

 

月が近づく??

1ヶ月に約1回満ちる月。満月は、太陽 地球 月の順番に並んだときの、地球に見せる全面が照らされた月のことをいいます。その大きさが、その月々によって違うように見えるのは、ご存知でしょうか?

月は約1ヶ月に1回、自転しながら地球の周りを公転しています。その公転軌道が綺麗な円ではなく楕円形をなしているため、それらの位置関係によって“見かけの”大きさは半年に1回という周期で変化しています。月が地球に近いほど大きく見え、遠いほど小さく見えるというわけです。また、地球や太陽などの重力の相互作用によって、1番地球に近づく点(近地点)と1番地球から遠ざかる点(遠地点)も少しだけ違ってきます。

ちなみに、この距離の変化はあの「日食」に関係してきます。日食は太陽 月 地球に一直線上に並んだ時に起こる現象ですが、月が近くにある時は太陽が全て隠れる「皆既日食」、遠くにある時は太陽が月の周りにはみ出している「金環日食」となります。

 

スーパームーンって?

 

「スーパームーン」という言葉、みなさんおそらく耳にしたことがあると思います。「スーパームーン」とは、前項でお話した“見かけの”大きさが、1年のうちで最大になるときの満月のことをいいます。そのため、実は「スーパームーン」自体は珍しい現象ではありません。しかし、今回ほど地球に近づく「ウルトラスーパームーン」となるのは1948年の1月25日以来、68年ぶりのことなのです!次にこれほどまで近づくのは2034年。大きくなった月を見てみたくはないですか?

 

img_3783

(画像:国立天文台 天文情報センター)

 

月における錯覚

 

ところで、みなさんは「今日はスーパームーンでもないはずなのにすごく月が大きい!」と感じたことはありませんか?そしてその時、月は低い位置にあったのではないでしょうか?

月は、地球上のビルや木など近くにあるとき、大きく見えます。これは、物理的に月が地球に近づいているというわけではありません。月の手前にあるビルや木と相対的に比較して見ているので、大きいと錯覚しているのです。通常の大きさのりんごでも、大きな手の人が持てば小さく見えてしまいますよね。それと同じような原理です。

 

img_3779

(画像:halfrain)

 

まとめ

 

今夜は、月が大きく見える2つの要因についてお話しました。つまり、「ウルトラスーパームーン」を最も楽しむことができるのは、公転軌道の形や重力の相互作用、相対的な見え方の違いによって大きくなった11月14日、その月がのぼり始めた頃。明日、18時頃といったところでしょうか。

68年ぶりの大きな月。せっかくの月のショー、お友達や家族と見上げてみませんか?

 

what’s 満月記事

 

TELSTARは日本で皆既月食が2度見れる2018年を“W皆既月食year”と名付けました。
私たちは日本中の皆さんが、月に様々な思いを巡らせて見上げられるように満月記事をお届けしてまいります!

参考: http://www.nao.ac.jp/astro/sky/2016/11-topics02.html

第15回 砂の衛星、月

こんばんは。満月の夜がやってきました。最近は空気も澄んで、月が綺麗になってきましたね。
私たちが生まれるずっと前、アポロ計画によって地球に持ち帰られた「月の砂」や「月の石」。今夜は、それらの正体についてお話しします。

img_0825

「レゴリス」とは?

夜空を見上げると見える、月。
月を見たとき、“あ、今日の月は黄色っぽい!” “今日の月は痩せてるなぁ”などと思うことがあると思います。
しかし、遠い昔のある人は、そんな月を見て、“月は、砂で覆われているのではないだろうか?”そう考えたらしいのです。

まさに、それが「レゴリス」。天体の表面を覆う土壌、岩石の細粒物、月のあのグレーの細かい砂のことです。「月の石」は、砂まで砕けきる前の直径2mm以上の礫(れき)のことをいいます。

レゴリスのできかた

なぜ、レゴリスが月に堆積することになったのか?それは、地球と月の違いからひもとかれます。注目する点は、地球にあるプレート運動と大気が、月にはないということ。

宇宙では、常に微小粒子などが超高速(6〜15km/h)で飛び交っていて、地球にも月にも、それらが降り注いできます。
地球の場合、大気があるため、断熱圧縮や摩擦によって上空で燃え尽きてしまうのですが(これが流星です)、
月の場合、そのまま表面に衝突します。
微小粒子とはいえ、速度がとてつもなく大きいためエネルギーが大きく、硬い岩石でも粉々に砕くことができます。
それが何度も繰り返された結果、砂だらけの表面になっていったのです。

また、地球はプレートの運動により、地殻が長い年月の中で循環したり火山活動を行うことで、もとある岩石が溶岩になります。
しかし、月にはプレートの運動がないので、溶岩に変化することもありません。
砕かれた砂がそのまま残されどんどん堆積していくというわけです。

レゴリスの特徴

なんと、月のレゴリスには、生命の源であるアミノ酸が含まれているのです!
その理由は、正確には解明されていませんが、地球からやってきたという説が有力だそうです。
アミノ酸が存在できるのなら、人間も生活できるのでは…?そう考える人もいるかもしれません。
しかし月のレゴリスは、非常に小さく(約65〜70μm)、形状も尖っており、高い電気伝導性と強い磁性も持っています。
そのため、宇宙服にくっついてしまったり、誤って吸い込んでしまうと危険だったり、その存在だけで電気製品に影響を及ぼしたりします。
実際、アポロ計画でも、何度払っても宇宙服にまとわりつき、精密機器に入り込んで故障させてしまったらしいです。
水や大気のことも考えると、月に人間が住むことはとてもとても難しいのかもしれませんね。

まとめ

第13夜(リンク: http://spacemgz-telstar.com/3445)でもお話したように、月には「海」があります。そこはクレーターのくぼ地であり、内側は比較的新しい地形で、砂の厚さはは2〜8m程度です。
一方、「陸」や「山」の部分は比較的古い地形で、砂の厚さは20〜30mにもなります。
月の公転周期は地球の自転周期と同じなため、地球に常に同じ面を見せています。
月の裏側は見えませんよね。月の裏側は、地球という壁がないため表側よりたくさんの塵が衝突します。
では、月の裏側のレゴリスはどのようになっているのでしょうか?
月を眺めながら、色々なことを考えてみるのも楽しそうですね!
では、また。満月の夜に。

what’s 満月記事

TELSTARは日本で皆既月食が2度見れる2018年を“W皆既月食year”と名付けました。
私たちは日本中の皆さんが、月に様々な思いを巡らせて見上げられるように満月記事をお届けしてまいります!

参考:jaxa PDF (https://edu.jaxa.jp/himawari/pdf/2_moon.pdf)

第14回 月に挑む

みなさんは、日本が月に使いを送ろうとしていることを知っていますか??
今夜は、月周回衛星「かぐや」に続く月探査のプロジェクトについてお話します。
*「かぐや」についてはコチラ:http://spacemgz-telstar.com/2632

月面着陸機SLIM

slim
イラスト:池下章裕

太陽が沈んだ夜、私たちを照らしてくれる月。日本は、2018年、「SLIM」という使いを月に送ろうとしています。
SLIMの名前は、「Smart Lander for Investigating Moon」の頭文字をとったもので、英語を直訳すると、「賢い月探査着陸機」。その名前の通り軽量でスリムなため、今回の打ち上げは主に小型探査機を打ち上げるイプシロンロケットが使用されます。

SLIMの目的

SLIMの目的は大きく分けて2つ。
1つ目は「小型探査機によって、月への高精度着陸技術の実証を行う」こと。
SLIMは、自分で位置を判断してピンポイントで着陸することができます。月面への無人着陸は、これまでにもロシア、アメリカ、中国が既に行っていますが、着陸目標点からの誤差は1km以上もありました。SLIMはデジタルカメラの顔認証機能のような画像処理技術と、取得した画像のクレーターの部分に注目し月面地図と照らし合わせる方法で、誤差を100m以内まで抑えることができます。つまり、SLIMはダーツやアーチェリーの赤い真ん中のようなところに自分で調節しながら見事的中させることができるのです!
これまでは誤差のために安全で広いところに着陸させることが必要でした。しかし、SLIMの技術が実証されると、これからは、探査したいターゲットの近くを狙って着陸させることができるようになります!
2つ目は、「従来より軽量な月・惑星探査機システムを実現し、月・惑星探査の高頻度化に貢献する」こと。
月の重力は地球の重力の6分の1であるため、着陸にも離陸にも、無重力のときより大きな力が必要になります。それをスリムな体で安全、正確に行うこの技術の実証は、将来行われる火星や他の重力天体への無人着陸につながり、大きな意味があるものです!また、他国の何トン級の探査機に比べ重量が約590kgと桁違いにスリムな体であることで、かかる費用もスリムになり、これからの探査の高頻度化に一役買ってくれます。

日本のSLIMの実証実験が、これからの世界の宇宙探査の夢を広げてくれるのですね。これからも、SLIMの活躍、探査技術の向上に期待ましょう!

what’s 満月記事

TELSTARは日本で皆既月食が2度見れる2018年を“W皆既月食year”と名付けました。
私たちは日本中の皆さんが、月に様々な思いを巡らせて見上げられるように満月記事をお届けしてまいります!

written by 近都麻衣

参考:http://www.isas.jaxa.jp/home/slim/SLIM/about.html

第13回 月の海

月に海があるってこと、みなさんは知っていますか?
今夜は満月の時に広がる月の海についてのお話をしましょう。

~月にも海はあった?!~

月の海。もしかすると聞いたことがある方もいるかもしれませんね。
実は、月には黒い部分―私たちがうざきに見立てているあの部分―それが、海と呼ばれているのです。
紀元1世紀ごろから、月の黒い部分は海、白い部分は陸だと考えられていたそうです。随分と昔ですよね。
しかし、実際に海と呼んだのは、16世紀頃のヨハネス・ケプラーというドイツ人であり、かの有名なハレー彗星を観測し記録を残した人物なでもあります。この人はそれ以外にも偉大な業績をたくさん残しています。(気になる人は調べてみてくださいね!)

~海 以外呼び方~

さて、月の海の話に戻りましょう。海と呼び始めたのはヨハネス・ケプラーですが、ガリレオ・ガリレイも月に海があると信じていたようです。
今でこそ、月に人間が立てる時代ですから、月にはそもそも水すらもないことが常識となってしまいましたが、当時は月に対するロマンがもっと溢れていたのでしょう。
海以外にも、湖、沼、入江など水に関する場所の名前がたくさんついています。

月の海03

今のような発達した技術がなかったガリレオガリレイやケプラーの時代では、月は地球と同じように陸や海が存在していると考えたのだと思うと、なんだか不思議な気持ちになりますね。
日本名で有名なのは、豊かの海、晴れの海、静かの海でしょうか。他にも虹の海、雲の海、波の海など綺麗な名前がたくさんあります。
お気に入りを見つけて月を眺めるのもきっと楽しいですよ。

月の海02
今夜はいつもと少し視点を変えて、月を眺めてみてはいかがでしょうか?

第12回 アメリカの月探査 レインジャー計画

こんばんは、満月の夜がやってきました。実は今日7月20日はアポロ11号が月面に着陸した日なんです!今日はアポロ計画にも関わるアメリカの月探査機について紹介します!

アメリカでは有人月探査であるアポロ計画の前に、3つの無人探査計画「レインジャー計画」、「サーベイヤー計画」、「ルナ・オービタ計画」が行われていました。これらはアポロ計画の成功に欠かせない重要な役割を果たしています。今回はそのうちのレインジャー計画について見ていきましょう。
アポロ計画についての満月記事はこちらhttp://spacemgz-telstar.com/1708

レインジャー計画の目的

レインジャー計画の目的は、月面の様子を詳しく調べるために月面をクローズアップ撮影することです。つまり、月をできる限り近くで大きく画面いっぱいに撮影することが求められます。レインジャー探査機は月周回軌道ではなく月面へ直接衝突する軌道をとっており、衝突直前まで写真を撮り続けて地球に送信しました。また探査機には6台のカメラが搭載され、6台のカメラのうち2台は衝突の2.5~5秒前まで、残り4台はなんと0.2~0.6秒前まで撮影が可能でした。

ranger
6号以降のレインジャー探査機©NASA

実は失敗続きだった…?

レインジャー計画では1961年から1965年の間にレインジャー1~9号が打ち上げられています。しかし1号、2号は打ち上げが失敗、3号は月へ接近途中に軌道をそれ、4号は軌道の修正に失敗、5号も軌道をそれてしまいました。そして6号は月面の「静かの海」にたどり着くことができたものの衝突前にカメラが故障したため、残念ながら月面の撮影は出来ませんでした。いかにミッション成功が難しいことなのか、よく分かります。
6号まで失敗続きのレインジャー計画でしたが、1964年7月、ついにレインジャー7号が月面の撮影に成功します。7号は約4,300枚の月面写真を撮影し、地球への送信にも成功しました。続く8号では約7,100枚もの写真撮影に成功、最後の9号は約5,800枚の写真を撮影しました。

ranger7moon
レインジャー7号が初めて撮影した月面(月面衝突17分前)©NASA

最初は失敗ばかりだったレインジャー計画も、たくさんの月面写真により大きな成果を残すことができました。レインジャー7、8、9号が撮影した写真は、地球から観測するよりも高解像度なものでした。上の写真はレインジャー7号が撮影したものですが、クレーターがあることがはっきりわかりますよね。しかし、クレーターがあり月面がでこぼこしているということは探査機が着陸しにくいということでもあります。このことはアポロ計画で探査機が着陸しやすい場所を見つけるのが困難、ということも示す結果となりました。

参考文献
宇宙情報センターhttp://spaceinfo.jaxa.jp/ja/ranger.html
月探査情報ステーションhttp://moonstation.jp/ja/history/ranger.html
月の科学-「かぐや」が拓く月探査(著者:青木満 出版社:べレ出版)

第11回 日本の月探査機 ひてん

こんばんは。今月も満月の夜がやってきましたね。
今回は前回の「かぐや」に引き続き、日本の月探査機「ひてん」ついてご紹介します。

工学実験衛星「ひてん」(MUSES-A)は日本で初めて月に向かった衛星で、1990年1月に鹿児島にある内之浦宇宙空間観測所からM-3SⅡロケットによって打ち上げられました。ひてんは将来の月や惑星探査に必要な技術を試験するための衛星です。軌道の変更や衛星の制御、効率よくデータを送る技術を確立することなどを目的とし、1993年のミッション終了までにいくつかの重要な実験が行われました。

「ひてん」による実験

ひてんが行った主な実験に、月の重力を利用したスイングバイ実験と地球の大気によるエアロブレーキ実験があります。難しそうな名前ですが、どちらも月惑星探査に欠かせない技術です。スイングバイは惑星の重力を、エアロブレーキは大気を利用して加速や減速を行い、衛星の軌道を変更します。
ひてんはミッション中に計10回のスイングバイを行っただけでなく、世界で初めてエアロブレーキに成功しました。エアロブレーキは探査機が惑星の大気に突入する際に生じる大気抵抗を用いて軌道変更を行いますが、大気抵抗が大きすぎると探査機は消滅してしまいます。あまり知られていない「ひてん」ですが、月惑星探査にとても大切な技術を実証したということが分かりますよね。

hiten1
「ひてん(MUSES-A)」©JAXA

孫衛星「はごろも」

地球の周りをまわる月のように、惑星の周りをまわる星を衛星と言い、さらにその衛星の周りをまわる天体を「孫衛星」と言います。ひてんには「はごろも」という人工の孫衛星が搭載され、1990年3月に月周回軌道に投入されました。ひてん自身も2年後に月周回軌道に投入されています。はごろもの月周回軌道への投入は、ひてんの成果の一つですが、当初の計画に、はごろもの搭載はありませんでした。ひてんの開発現場の研究者が計画し搭載したことで、はごろもは打ち上げ前に正式な計画となりました。

日本の月探査というとやはり「かぐや」が有名ですが、ひてんはかぐやより10年以上も前に月へ向かっていたのですね。下の写真でもわかるように、ひてんは高さが79cm、直径1.4m(円筒形)と小さな人工衛星です。人工衛星というともう少し大きいイメージがあったので、今から20年以上前にこんなに小さな衛星が月へ向かっていたとは驚きでした。

hiten2
「はごろも」(左)と「ひてん」©JAXA

参考
宇宙情報センター「ひてん」
http://spaceinfo.jaxa.jp/ja/hiten.html
ISAS工学実験衛星「ひてん」
http://www.isas.jaxa.jp/j/enterp/missions/hiten.shtml
ISAS日本の宇宙開発の歴史
http://www.isas.jaxa.jp/j/japan_s_history/chapter06/03/index.shtml