第25回 月へ向かう

皆さんこんばんは。今月も、満月の夜がやってきました。
9月に入り、うろこ雲の下たくさんの種類の蜻蛉が飛び交う季節になりました!秋の星座が見頃を迎え、空も澄み、天体観測をより楽しめるのではないでしょうか。

さて、今夜お話するのは、進歩する日本や世界の月面探査についてです。

【SLIM】
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(月探査情報ステーションHPより)

現在、日本の宇宙開発研究機構(JAXA)は月面着陸機「SLIM」を宇宙におくる準備の最中です。
(SLIMについての記事は満月記事第14回http://spacemgz-telstar.com/3621をご覧ください)
SLIMは以前、2019年度に小型固体燃料ロケット「イプシロン」で打ち上げる予定でしたが、効率化を図るために1年遅らせることになりました。2020年度にH2Aロケットで打ち上げられるX線天文衛星代替機との相乗りによって、50億程度の費用が抑えられることになります。
その費用が他の研究にあてられると、さらに宇宙開発は進んでいくと期待できますね!

【Google Lunar XPRIZE】
Google Lunar XPRIZEとは、XPRIZE財団によって運営されるGoogleがスポンサーについている世界初の月面探査レースです。
ミッションは3つ。
1.月面に純民間開発ロボット探査機を着陸させること。
2.着陸地点から500m以上移動すること。
3.高解像度の動画や静止画データを地球に送信すること。
メインミッションを最も早く達成したチームには2000万ドル、2番目に達成したチームには500万ドルが、また、アポロの着陸地点やその他記念すべき地点に到達したチームには、ボーナス賞金が贈られます。
日本から唯一参戦するチームHAKUTOがファイナリスト5チームのうちの1つに選ばれています!2007年9月に立ち上げられたGoogle Luner XPRIZEに2008年4月にチームエントリーしました。以来、研究・実験・改良を重ね、2013年12月エンジニアリングモデル完成、2015年10月にはプレフライトモデル3が完成、2016年8月には実際のミッションに最適化したフライトモデルデザインが発表されました。
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HAKUTO HP:https://team-hakuto.jp
このミッションにより、世界の月面開発が刺激され、さらなる技術向上が期待されています!

(HAKUTO HPより)

HAKUTOはインドのロケットの相乗りで2017年12月28日に打ち上げ予定です。私たちTELSTARはそれまでの間、満月記事でHAKUTO応援記事を連載していきます!

ではまた、満月の夜に。

by近都麻衣

参照:http://www.isas.jaxa.jp/home/slim/SLIM/toppupeji.html
https://team-hakuto.jp/index.html

第24回 月の岩石

月の岩石

皆さんこんばんは。今月も、満月の夜がやってきました。
夏も後半に入り、明け方にはもう初冬の星座である牡牛座がよく見えます。また、今週末8/13にはペルセウス座流星群が極大を迎えます。ぜひ、御覧になって下さいね!

【月の石の正体】

わたしたちに1番近い天体、月。そんな月でも、まだまだ分かっていないことがたくさんあります。今夜は、少しずつ分かってきた「月の石」の謎についてお話します。

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出典: ESA Article Images

「月の石」と聞いて、皆さんはどのようなことを思い浮かべるでしょうか?神秘的、あるいは、非現実的、遠い存在…。
実は、月の海の部分を構成する岩盤の岩石は、地球の海の岩盤と似た岩石から成っているのです。
その岩石は、「玄武岩」。地球の場合、若い頃に起こった無数の原始惑星の衝突によるエネルギーによって地表が溶け、マグマオーシャン(マグマで表面が覆い尽くされた状態)ができ、それが冷やされて玄武岩質の地殻が形成されたと言われています。
月の場合もまた、マグマオーシャンができ、それが直接冷やされることによって、玄武岩質の地殻が形成されたという説があります。
このように、地球と月の地殻には共通点が見つかるんですね。

ではここからは、地球と月の違う点について見てみましょう。
例えば、地球には月に見られない花崗(かこう)岩質地殻があるということ。これは大陸で主に見られる岩石です。プレートの沈み込み帯で水を含んだ玄武岩が高温に晒されて部分的に溶け、それが再び固まることで形成されることが実験的に知られています。地球の海溝は、そのようなメカニズムを恒常的に生み出すことができる、「花崗岩の工場」なのです。つまり、地球の大陸地殻の花崗岩は、地球特有の大量の水を持つ海と沈み込むプレートの賜物なのです!
また、月には大気がほとんどありません。地球には、十分な引力がないためです。またそれによって、岩石に含まれる揮発成分(カリウムやナトリウムなど)が宇宙へ逃げていってしまいます。月の岩石は、地球の岩石よりもそれらの割合が少なくなってしまっているのです。これが、地球と月の岩石の大きな差です。

月は、地球とは全く違うものに思えますが、似通った点も少なからずあるのですね。そう考えると、月もなんだか身近に感じませんか??今夜も、満月に思いを馳せてみてください。

ではまた、満月の夜に。

参考:Essentials of Geology 11th ed. /F.K.Lutgens E.J.Tarbuck

エジプトの月

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皆さんこんばんは。今月も、満月の夜がやってきました。
梅雨も明け始め、いよいよ夏というところですね!7月は海やBBQなど昼間の楽しみが多いですが、夜にも花火や夏の星空などたくさん楽しみがありますね。わたしは天の川の写真を撮るのが好きなので、この夏はたくさん撮りに行きたいと思います!ただ、星がよく見えるのは半月後の新月期。満月の出ている今日は、月に想いを馳せましょう。

【エジプト神話の月神】
紀元前3000年前からナイル川流域で栄えた古代エジプトの文明。キリスト教やイスラム教が広まるずっと前、古代エジプトには人々に信仰されていた神々の体系であるエジプト神話がありました。
今夜は、エジプト神話のたくさんの神々の中でも「月の神様」を3人、紹介しましょう。

1人目はトト神。数学や計量を司る学問の神です。多くの信仰を集めた神であるため、その神話も多岐にわたるのですが、その1つに月のお話があります。トト神は、太陽神であるラーから命令され、月を想像したと言われています。
また、トト神の古代エジプトでの名は「ジェフティ」でした。新年が明けてから第1の月はまた「ジェフティ月」と呼ばれ、トト神を祀る祭りもあったようです。

2人目はコンス神。ほぼ常に幼児の姿で描かれることから、自由奔放な若者のイメージを持つ神とされています。また月の神であることから、満月と三日月の頭飾りとともに描かれています。月が満ちている時は癒しの力、欠けている時は鋭い刃で邪気を祓う力を発するとされ、月の光で特定の病を癒すとともに、三日月をナイフとして振るうともされる非常に両極端な神なようです。

3人目はイアフ。月(新月)の意味を持ち、元祖「月の神」とも言われる神様です。しかし、コンス神に吸収され、その後にはコンス神・トト神に月の神の二本柱を成されてしまい、イアフは月の神の役割を奪われてしまいました。

この3人が、古代エジプトの主な月の神であると考えられています。実はこの3人、全員男性なのです。日本の月の神、月読命(ツクヨミ、ツキヨミ)も男性の神とされています。世界の神話でも、月の神は男性の神が主流となっています。

エジプト神話で有名な太陽の神、ラー。彼は、日の出のときはタマオシコガネを頭にもつケプリ、日中は隼、日の入りのときは雄羊の姿に変体します。太陽の船に乗る神のこのような絵を見たことがあるのではないでしょうか?

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月の神も同様、月の船に乗り、太陽の船が辿った航路を辿ると言われています。

日本とは少し違ったエジプトの月の神様のお話、楽しんで頂けましたでしょうか?今日の月もエジプトの月神の船によって動かされているのかもしれませんね。

ではまた、満月の夜に。

参考:エジプト神話物語 原書房

「月が生み出す力」

皆さんこんばんは。今月も、満月の夜がやってきました。梅雨入りし、天体観測には大敵の悪天候が続く季節になってきました。ただ天の川はもう見頃になりました!夜はまだ冷えるので防寒はしっかりしてくださいね!

【潮汐力】
さて、今夜お話するのは題名の通り、月が生み出す力「潮汐力」です。
「潮汐力」とは、一般的に物体間に重力が作用するとき、重力源に近い側と遠い側で異なる重力によって物体を変形させようとする力です。地球にかかる潮汐力は、太陽・月・地球が一直線に並んだとき大きくなります。つまり、満月と新月のときですね。その時、海水は大きく歪み「大潮」と呼ばれる状態になります。

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この「潮汐力」は、わたしたちの生活に様々な形で大きく関わっています。
例えば、1番目に見えて分かりやすいのは海の満ち引き(干満)です。海釣りをする人であれば、釣れる量を左右する要因の1つのため、常に気にかけているものでしょう。これは、まさに海水が潮汐力によって月の方向に引きつけられて起こる現象です。
珊瑚や魚やウミガメの産卵が満月の日に行われることも潮汐力やそれによる干満が理由の1つとなります。水面が最高のときに産卵し、水面が下がり海水が引いたときに卵を海流によって撒いてもらうためだったのです。
また、潮汐力が引き金となって起こる地震もあると言われています。プレートの沈み込みの境界で発生したM5.5以上の2027回の地震について、地球潮汐によってプレートに加わる力と地震さ発生の関係を調査したという話があります。結果、潮汐による力が断層の滑りを助ける方向に働いているときに地震の発生の頻度が高いことがある研究結果には出ているそうです。月は、地震さえも誘発するほど大きな力を持っているのですね。

【まとめ】
月と地球が引き合う力が、私たちの生活に良い影響も悪い影響も与えているんですね。それだけ、月が私たちに大きく関わっているということです。今月も、月に思いを馳せてみて下さいね!

ではまた、満月の夜に。

第21回 月の生まれかた

皆さんこんばんは。今月も、満月の夜がやってきました。すっかり春の暖かさに包まれ、心地の良い日々になりましたね。花粉や微小粒子状物質などで星が見えにくくなってしまうこともありますが、薄いフィルターのかかったような今ならではの星空も楽しんでみて下さい!

【これまでの月形成説】
さて、今夜は月のでき方についてお話したいと思います。
「月がどのようにしてできたの?」皆さん1度はこの疑問を持ったことがあると思います。“ジャイアント・インパクト説”という言葉、聞いたことはありませんか?

ジャイアント・インパクト説は、数ある月形成説の中で最も有力だとされてきました。その名の通り、大きな衝撃を与えられて月が形成された、詳しく言えば、できたばかりの原始地球に火星サイズの天体が斜めの角度で衝突し、その際に飛び散った破片が集まって月が形成されたのではないかという説です。

月形成の説を考える際、私たちはたくさんの条件を考慮しなければいけません。それらは月の特徴に基づいています。例えば、「質量が地球の100分の1もある」「地球と比べコア(核)が小さい」「回転の勢い(角運動量)が大きい」など。また「起こり得る」ことも重要です。様々な説でシミュレーション行い、あらゆる条件を最も満たしたものが“ジャイアント・インパクト説”だったのです。ただ、その説にも矛盾点はあるため、月の誕生についての研究は終わることはありませんでした。

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【月形成・新説?!】
さて、本題に移りましょう。約3ヶ月前の2017年1月、英科学誌Nature Geoscienceによって、定説を覆す論文が発表されました。

その研究結果は「月は、原始地球に小さな天体が次々と衝突したことによって形成された可能性がある」ということ。簡単に言うと、月の材料の破片たちが複数回の衝突で生み出されたという説です。幾度ものシミュレーションを重ねた結果、微惑星が衝突するごとに原始地球の周囲に残骸の輪が形成され、その後それらが合体して「小衛星」が形成されることが分かったのです。この小衛星の数々が、最終的に月を形成したと言われています。

 

【まとめ】
誰も見たことがない、月の誕生。新説が本当正しいかどうかもまた、誰にも分かりません。あなたも月を眺めてその誕生を想像してみてください。きっと、素敵な夜になりますよ。では、また満月の夜に。

第20回「月面X」とは??

皆さんこんばんは。今月も、満月の夜がやってきました。徐々に春めいてきて、暖かく快適になってきましたね。しかし夜はまだまだ冷えるので、観測時は油断大敵ですよ。しっかり防寒して下さいね。

さて、今夜は「月面X」についてお話しましょう…。

【「月面X」とは?】

月面には、無数のクレーターが存在します。また、13夜でお話したように(http://spacemgz-telstar.com/3445)、吹き出たマグマ(地球の海の岩盤と同じ玄武岩質)が巨大クレーターを満たして形成された「月の海」もあります。

そんな凹凸たちの中に、「X」に見えるものがあります。下の写真の白い丸で囲った中にあります。探してみてください!

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これが「月面X」です。これは、ブランキヌス、プールバッハ、ラカイユという3つのクレーターの外壁によって作られた地形です。

月の欠けていく部分、つまり明るい部分と暗い部分の境界線は、光の加減により凹凸がよく分かりますよね。「月面X」を形作るクレーターたちも、実は満月のときなど太った月の時も姿を現しているのですが、上の写真状態、月面南緯25.5度東経1.1度の地点が光の境界になった時、およそ上弦の月の頃に最もはっきり姿を見せてくれるのです。

 

【月面Xの楽しみ方】

残念ながら、「月面X」は肉眼では確認することができません。ただ、小さな望遠鏡や望遠レンズのカメラであれば見ることができます。場所さえ知っていれば、倍率が大きい双眼鏡でもなんとか見ることができます。

最近は、「X」の北に少しいたところにある「V」のような地形「月面V」も注目されています。

 

【月面Xの見頃】

さて、そんな「月面X」ですが、つい最近の3月5日20時45分頃に見頃を迎えました。次の見頃は5月3日の19時半頃です。

 

…と、ここで何か不思議な点に気づきませんか?そう、月は約1ヶ月(29.27~29.84日)に1回満ち欠けをしているから、「月面X」はその度に見られるのではないのか…?

実際はそうではないのです。「月面X」が綺麗に見られるのは1.2時間程度であるのに加え、上弦の月であったとしても月が日本から見えやすい位置になかったり、昼間であったりすると「月面X」は姿を現してくれません。それゆえ「月面X」が綺麗に見えるのは、年に数回ほどに限られてしまうのです。また、その時の天気、雲量も「月面X」が見えるかどうかの重要な一因になります。

 

2017年のこれからの見頃は、先ほどご紹介した5月3日(19時半前後)、7月1日(18時半前後)8月29日(18時前後)、10月27日(20時半前後)です。

 

ぜひ、この日時を目安に「月面X」を発見してみてください!この満月記事を読んだ皆さんはもう「月面X」のありか・時間を知っているので、きっとすぐに見つけることができるはずですよ!

 

ではまた、満月の夜に…。

 

【what’s 満月記事】

TELSTARは日本で皆既月食が2度見れる2018年を“W皆既月食year”と名付けました。

私たちは日本中の皆さんが、月に様々な思いを巡らせて見上げられるように満月記事をお届けしてまいります!!

(参考)http://weathernews.jp/s/topics/201701/040055/

第19回 太陽を食べる月

皆さんこんばんは。
今月も、満月の夜がやってきました。まだまだ寒さが厳しいので、冬の星空を楽しむときはしっかり防寒をして下さいね!

さて、私は最近天文系のお仕事をされている方とお話しました。その方は、日食をたいへん好んでいて、海外の皆既日食や金環日食に何度も足を運んでいるそうです。「あれを生で見てもたら、もう抜け出されへんで!」と言われ、動画を見せていただきました。太陽が月に隠れている数十秒間にぞくぞくしました!ぜひ、生で見てみたいものです。

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【日食とは】
ところでみなさん、日食の仕組みについてはもうご存じですか?これを機会に、少し確認しておきましょう。

まず、日食「日を食べる」と書きますが、正しくは旧字体で日蝕「日を蝕(むしば)む」と書きます。日食とは、月が太陽を覆い隠し、まるで太陽がなくなってしまったかのように見える現象です。
太陽・月・地球の順番に並んだときに起こる現象なのですが、それぞれの大きさや距離により、“月”によって“日”の全範囲が蝕まれる皆既日食が見られるのは、ごく限られた範囲です。また、地球の公転軌道と月の公転軌道が微妙にずれているため、月の影が地球の表面上にくることは少なく、たいていは地球の外側に影ができます。

たとえ部分的であっても日本で日食が見られるのは、5年に1度あるかないかのたいへん稀なことなのです。

【日食の新しい楽しみ方】
ここで1つ、先ほどの天文のお仕事をされている方から教わった、日食の新しい楽しみ方をご紹介します。

月が太陽を隠すということは、もちろん太陽の光が遮断され、空が暗くなるということを指します。欠けていくにつれ、明るい星たちがぼんやりと見えてくるのですが、ここで見える星たちが日食の時にしか味わえないものです!
…というのは、私たちが見ている星たちは、その季節の星々です。今の時期であれば、夜オリオン座やこいぬ座などの冬の星座が見られ、夕方には秋の星座から明け方には春の星座が少し見られるかと思います。

日食は太陽が昇っている間に起こる現象なので、昼間。ということは、太陽が隠れて暗くなった時、見える星たちは夜の間見えない星たち、季節が逆転した星たちなのです!冬にさそり座やこと座や、はくちょう座など夏の星座が見られるなんて、なんだか神秘的ですね。

【まとめ】
次に日本で部分日食が見られるのは2019年です。地球全体に目を向けると2017年2月26日チリやアルゼンチンなどの国で金環日食、2017年8月21日アメリカ合衆国で皆既日食が見られます。直接現地には行けなくても、中継やニュースなどでチェックする方法はたくさんあります!是非、「太陽を食べる月」の感動を味わってみて下さい!その時は、欠けていく太陽だけでなく、周りの星たちも見てみてくださいね!

【what’s 満月記事】
TELSTARは日本で皆既月食が2度見れる2018年を“W皆既月食year”と名付けました。
私たちは日本中の皆さんが、月に様々な思いを巡らせて見上げられるように満月記事をお届けしてまいります!!

参考:http://www.nao.ac.jp/phenomena/20090722/

第18回 月が震える

こんばんは、今月も満月の夜がやってきましたね。遅らばせながら、新年明けましておめでとうございます!今夜は2017年の満月初めです。

さて、今夜は月震についてお話しします。
“月震”という言葉、みなさん聞いたことはありますか?
英語では“moonquake”。地球で起こる“地震”(英語では“earthquake”)の月バージョンのことです。

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【地震とは??】

地震は、地球のプレートの移動や火山の活動の影響によって起こります。日本列島は世界最大の海溝である日本海溝のすぐ近くに位置しているため、地震が頻繁に起こり「地震大国」と言われています。

ここでプレートのでき方を確認しておきましょう。まず、地球はH2Oが固体液体気体の3態で存在することができる“ハビタブルゾーン”という領域に位置しています。太陽系の惑星のうち唯一、水が液体として存在する惑星です。この水が、プレートのでき方に大きく関わってきます。

SiO2など、地球の岩石・岩盤は水と接触することでその部分の強度が下がり、岩盤に小さなひびが入ります。そして、ひびに水が侵入していくこと、マグマが対流していることの影響でそのひびを大きくしていくようになります。こうしてプレートが沈み込む海溝ができ、マグマが冷えてプレートが形成される海嶺ができます。その循環プレートの移動が起こり、地震・火山活動の原因となるのです。

【月震とは??】

ということは、液体の水が存在しないためプレートの移動も存在しない月では、月震は起こり得ないのではないでしょうか…?
実際は、そうではありません。月震と地震のメカニズムは大きく違っており、月は地球とは違った原因で大地を震わせるのです。
その震わせ方は、大きく分けて4つあります。
まず1つ目は、「深発月震」。文字通り、月の深いところで起こる月震です。原因はよくは分かっていませんが、小さな地震が月の自転公転と同じ29.5日の周期で起こるため、地球の潮汐力と関係があるのではないかと言われています。
2つ目は、「浅発地震」。月の表面の浅いところで起こる月震です。こちらも原因はよく分かっていません。観測例が少なく、規模は地球でいうマグニチュード3〜4と大きいことが特徴です。
3つ目は、「熱月震」。震え方がとても小さいのですが、月の昼と夜の温度差によって、月の表面が音を出しながら起こる月震です。月は大気がほとんどないため、地球のように保温効果がなく、月の表面温度は昼は摂氏約123度、夜は約-223度、その温度差約300度にもなります。
4つ目は、「隕石の衝突」。厳密にいうと、外部からの影響のため月震とは言い難いかもしれませんが、月の大地を震わせる一因です。月に大気がほとんどないため、隕石が燃焼しないまま表面に衝突するのです。

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また、地球の地盤には水分が含まれているため、クッション代わりとなって揺れの規模を小さくしたり、揺れの継続時間を短くしてくれます。対して、月の地盤には水分が含まれていないので、揺れが減衰せず時には数時間揺れがおさまらないこともあるようです。それが月面上のミッションや月面生活などに支障をきたしてしまうこともあります。

【まとめ】

こんなに身近な天体、月でさえも、分からないことがあるんですね。幾度かのアポロ計画で月に5つ月震計が置かれ、1977年まで月表面の振動や音を測定していました。現在もそれらのデータの解析が行われています。
月震のデータをもとに、これからどんどん月のことが分かっていくのかもしれませんね!これからの発展に期待しましょう!

【what’s 満月記事】

TELSTARは日本で皆既月食が2度見れる2018年を“W皆既月食year”と名付けました。
私たちは日本中の皆さんが、月に様々な思いを巡らせて見上げられるように満月記事をお届けしてまいります!!

第17回 月の正月

こんばんは。今月も満月の夜がやってきました。はやいもので、今年ももう12月を迎えてしまいました。2016年が終わろうとしています。ただ、これは太陽暦(西暦、新暦)の話。今日12月14日太陰太陽暦(旧暦)でいうとまだ11月16日ということになります。太陰太陽暦だとまだ12月にもなっていないんですね…

今夜はその“太陰太陽暦”についてお話しましょう。
(こちらのリンクから、月齢・旧暦が見られます。 http://www.ajnet.ne.jp/diary/)

 

【太陰太陽暦とは】
“太陰太陽暦”。それは、月の満ち欠けのリズムを基本とし、太陽の一年の中の節目である二十四節気を含む、お月様とお日様の暦。立春(西暦2月4日または5日)に最も近い新月を一年の始まりとして、月の満ち欠けによって日付けが決められています。“太陰太陽暦”は、130年以上前の1872年に公式に廃止されましたが、農村などの民間では、この月の暦のリズムは長く存続していました。

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昔の人は、月を見れば今日が何日か分かったということですね。

 

【日常に潜む太陰太陽暦】
実は、私たちが日常的に使う言葉の中には、“太陰太陽暦”でしか理解できない言葉がたくさんあるのです。
まず、「ひと月」という言葉。
「ひと月」「1ヶ月」などという言葉、現在の一般的な西暦のカレンダーでわたしたちは使いますよね。しかし、旧暦で使われる本当の「ひと月」は29.5日強のサイクルをもつ1サイクルのことを言い、現在の意味とは異なります。その半端な数より、「ひと月」は29日か30日で構成されることになります。29日ある月を「小の月」といい、30日の月を「大の月」といいます。西暦は「ひと月」を無理矢理に31日にしたり28日にしたもので、リズムの裏付けがありません。月に「1年」という尺度がないのと同様、太陽には本来「ひと月」という尺度がないからです。
太陰太陽暦の場合、1年が29.5×12=354となり、太陽暦よりも11日少ないことになります。そのため、3年に1度、“閏月(うるうづき)”を入れて1年を13ヶ月にし、調整しています。太陽暦でいう、4年に1度ある2月29日と同じ役割をしています。
次に、「晦日(みそか)」という言葉。これは、“暗い”という意味で、月が地球の陰に隠れてしまって月が見えない、新月であるということです。昔は、現在の“12月31日”という意味では使われていなかったんですね。旧暦でいうひと月の最後の日という意味もあり、この日は必ず新月になります。「晦日に月」ということわざをご存知ですか?これは、「あり得ない」ということを表現することわざですが、それも西暦が使われ、西暦の30日や31日を「晦日」と読んでしまったために、意味を失ってしまいました。西暦では、晦日に月があることはしょっちゅうですし、今年の31日「大晦日」も月齢表を見ると月齢1.8ではありますが、うっすら月が出ることになっています。ただ、30日は本当に新月”晦日”になります!

 

【月の正月】
来年2017年のお正月は、1月1日の大正月と1月28日の旧正月の両方を楽しんでみてください!もちろん、クリスマスも楽しんで下さいね!

 

参考:『月的生活』志賀勝 (新曜社)

 

【what’s 満月記事】
TELSTARは日本で皆既月食が2度見れる2018年を“W皆既月食year”と名付けました。
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第16回 ウルトラスーパームーン

こんばんは。今月も満月の夜がやって来ますね。11月の満月は、68年ぶりの特別な満月。何が特別なのか…?今夜も月についてお話しましょう。

 

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(画像:NASA/LRO/ geckzilla)

 

月が近づく??

1ヶ月に約1回満ちる月。満月は、太陽 地球 月の順番に並んだときの、地球に見せる全面が照らされた月のことをいいます。その大きさが、その月々によって違うように見えるのは、ご存知でしょうか?

月は約1ヶ月に1回、自転しながら地球の周りを公転しています。その公転軌道が綺麗な円ではなく楕円形をなしているため、それらの位置関係によって“見かけの”大きさは半年に1回という周期で変化しています。月が地球に近いほど大きく見え、遠いほど小さく見えるというわけです。また、地球や太陽などの重力の相互作用によって、1番地球に近づく点(近地点)と1番地球から遠ざかる点(遠地点)も少しだけ違ってきます。

ちなみに、この距離の変化はあの「日食」に関係してきます。日食は太陽 月 地球に一直線上に並んだ時に起こる現象ですが、月が近くにある時は太陽が全て隠れる「皆既日食」、遠くにある時は太陽が月の周りにはみ出している「金環日食」となります。

 

スーパームーンって?

 

「スーパームーン」という言葉、みなさんおそらく耳にしたことがあると思います。「スーパームーン」とは、前項でお話した“見かけの”大きさが、1年のうちで最大になるときの満月のことをいいます。そのため、実は「スーパームーン」自体は珍しい現象ではありません。しかし、今回ほど地球に近づく「ウルトラスーパームーン」となるのは1948年の1月25日以来、68年ぶりのことなのです!次にこれほどまで近づくのは2034年。大きくなった月を見てみたくはないですか?

 

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(画像:国立天文台 天文情報センター)

 

月における錯覚

 

ところで、みなさんは「今日はスーパームーンでもないはずなのにすごく月が大きい!」と感じたことはありませんか?そしてその時、月は低い位置にあったのではないでしょうか?

月は、地球上のビルや木など近くにあるとき、大きく見えます。これは、物理的に月が地球に近づいているというわけではありません。月の手前にあるビルや木と相対的に比較して見ているので、大きいと錯覚しているのです。通常の大きさのりんごでも、大きな手の人が持てば小さく見えてしまいますよね。それと同じような原理です。

 

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(画像:halfrain)

 

まとめ

 

今夜は、月が大きく見える2つの要因についてお話しました。つまり、「ウルトラスーパームーン」を最も楽しむことができるのは、公転軌道の形や重力の相互作用、相対的な見え方の違いによって大きくなった11月14日、その月がのぼり始めた頃。明日、18時頃といったところでしょうか。

68年ぶりの大きな月。せっかくの月のショー、お友達や家族と見上げてみませんか?

 

what’s 満月記事

 

TELSTARは日本で皆既月食が2度見れる2018年を“W皆既月食year”と名付けました。
私たちは日本中の皆さんが、月に様々な思いを巡らせて見上げられるように満月記事をお届けしてまいります!

参考: http://www.nao.ac.jp/astro/sky/2016/11-topics02.html