第11回 春、夏、冬の大三角形

こんばんは!新月の夜がやってきました。
今回も天体写真の撮り方講座はお休みして、春、夏、冬の大三角形の写真をご紹介していきます。

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春の大三角形
撮影日:3月4日0時頃
撮影地:伊豆半島
しし座のデネポラ、うしかい座のアルクトゥルス、おとめ座のスピカを結ぶと春の大三角形となります。
ちなみにスピカの近くにある明るい星は木星です。

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夏の大三角形
撮影日:9月27日21時頃
撮影地:長野県白駒池
こと座のベガ、はくちょう座のデネブ、わし座のアルタイルを結んで夏の大三角形となります。
ちなみに七夕でおなじみのおりひめはベガ、ひこぼしがアルタイルです。

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冬の大三角形
撮影日:1月10日21時頃
撮影地:山中湖パノラマ台
オリオン座のペテルギウス、こいぬ座のプロキオン、おおいぬ座のシリウスを結ぶと冬の大三角形です。

いかがでしたでしょうか。どれもきれいな星空ですね。
せっかく星がきれいに見える新月の夜なので、皆さんもぜひ夜空を見上げてみてください。

次回は4月26日です。お楽しみに!

第10回 新月が地球・太陽と織りなす天文現象

こんばんは!新月の夜がやってきました。
今夜は地球の反対側、南米を中心に金環日食が起きています。満月のときに月食が起こることはよく知られていますが、新月のときに日食が起こることはあまり知られていないでしょう。それは、月食は月が出ているところ(地球の半分)で見られるのに対し、日食は月の影が地球に届いているところでしか見られないため、それほど意識されないからではないでしょうか?
無題の図形描画 (5)

月が地球に近いと皆既日食、遠いと金環日食となります。
(金環日食・皆既日食のどちらでもないぎりぎりの日食を金環皆既日食と言います。)

日食(月食)が新月(満月)の度に必ず見えるとは限りません。満月記事にもありましたが、覚えていますでしょうか?
それは、地球の公転軌道に対し、月の公転軌道が約5度傾いているためでしたね。
地球と月の公転面

さて、先日の満月記事でも日食について触れられていましたが、せっかくなのでもう少し触れておきましょう。

ベイリー・ビーズ

ベイリー・ビーズ金環日食及び皆既日食、金環皆既日食の開始直前、終了直後に見られる現象です。1836年の日食時にイギリスの天文学者ベイリーさんが、欠け際に光がビーズの様にとぎれとぎれに漏れているのを見つけたため、ベイリービーズと名付けられています。
皆既日食のダイヤモンドリングは有名ですが、こちらの現象にも着目してみてください!
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日食で確かめられた一般相対性理論

皆既日食の際に星が見られるようになるのは新月記事でも紹介されていましたが、その星が見えることによってあることが確かめられます。それは一般相対性理論(一般相対論)です。一般相対論についてはここでは書ききれませんが、ここで予想されていたのは太陽の重力場により太陽の裏側にある星の光が曲げられ本来見えないはずの星が見えるといったものです。実際に1919年の日食時にこれが確かめられ、一般相対論が確かめられた現象の一つとなっています。
皆既日食 のコピー

いかがでしたでしょうか?日食はなかなか見ることができない現象ですが、日食に魅せられて世界各地を飛び回り、日食を撮影・観測する日食ハンターと呼ばれる方もいます。人を魅せてやまない天文現象「日食」。皆さんも一度はみてみてください。

次回は3月28日です。お楽しみに!

※今回は予告内容と異なる内容です。前回予告した内容はまた次号以降にご紹介します。

written by 打海将平

第9回 望遠撮影の難しさ

今年最初の新月です。いまさらですが、あけましておめでとうございます。
寒い日が続きますね。撮影地は氷点下10℃以下になっていることでしょう。。。

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 初日の出

さて、今夜は望遠撮影をしてわかる難しさについてご紹介します。

高価な機材が多い

望遠撮影となると、口径が大きく明るいレンズや望遠鏡、赤道儀など高価な機材が多くなってきます。安い機材で撮影していると、あまり星雲が浮かび上がってこない。迫力があるものが撮れないなどの理由で「高価な機材しか天体写真は撮れない。」という人もいますが、果たしてそうでしょうか?確かに、高価で性能のいいレンズや望遠鏡であるほど良いものが撮りやすく、より暗い天体まで撮影することができるようになります。しかし、一眼レフのレンズキットについてくるようなレンズであっても十分撮ることは可能です。以下の写真(左)はeos70dとレンズキットの55-250mmレンズで撮影したオリオン大星雲です。1年前に撮影したものですが、時間をかけて撮ればそれなりに十分な写真となるのではないでしょうか?とはいっても、やはり高価な望遠鏡などには敵いません。カメラレンズで撮影したとき(左)は1枚当り最大5分撮影にかかっているのに対し、右の望遠鏡で撮影したもの(右)は1分です。左が時間をかけ過ぎているというのもあるのですが、それだけ口径が大きく集光力(どれだけ光を集められるか)に優れた望遠鏡は短時間で良い写真が撮れると言えます。

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オリオン大星雲
 (左:キットレンズ、右:望遠鏡)
 ※色の違いはカメラのフィルター改造によるものです。

ノイズが気になる

望遠撮影の場合、星雲や星団を対象とすることも多いでしょう。星雲や星団は淡いものが多く、露光時間を長くするか、感度(ISO)をあげなければなりません。そうなると、撮影された写真にノイズが多くなり星雲の淡い部分がノイズに埋もれてしまうことも多くあります。
記事の中で作例のデータに総露光時間とあるのに気付きましたか?「総」とあるように露光時間の合計を表しています。ただ、写真を足し合わせるのではなく加算平均合成と呼ばれる処理を用いてノイズを減らしています。
天体写真に写るノイズには通称「ランダムノイズ」と「定常ノイズ」の大きく分けて2種類のものがあり、加算平均ではランダムノイズを軽減することができます。仕組みは簡単、名前通りランダムに出てくるノイズを同じ露光時間で何枚も撮って平均化してしまおう!というものです。
以下の写真を見ての通り、左の写真ではざらざらしているのに対し、右ではざらざら感が抑えられ、星の周りのガスがよりはっきりとみられるようになっています。
第3夜のインターバル撮影(図)と同じ要領で同じ対象を10枚以上撮影するとより見栄えのいい写真となります。
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新月記事第3夜 http://spacemgz-telstar.com/3347


その他にも望遠撮影は様々な難しいところ、うまくいかないところなどがあります。
それは機材が重いことであったり、視野が狭く精度が求められるなど様々な要因があります。
特に、最初は追尾できていたのに途中から星像が伸びてしまった、そもそも最初からうまく追尾できないなどということはよくあります。そうなると、一つ一つどこがまずいのか確認していくしかありません。そのためにも、ただインターバル撮影を延々とするのではなく、30分や1時間に一度しっかりとれているかチェックしましょう。


次回は記念すべき?第10夜です。
来週は天体写真からちょっと外れて、星々に魅せられた人とその思いをご紹介したいと思います。
お楽しみに!

written by 打海将平

第8回 追尾撮影(望遠) 実践

こんばんは!
今夜は今年最後の新月です。クリスマスも過ぎ、いよいよ今年も残りわずかですね。

前回は追尾撮影(望遠)のおおまかな注意点をご紹介しました。今夜は実際に撮影をするにあたっての注意点と撮影の方法などをご紹介したいと思います。

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 ハート星雲(IC1805)
 望遠鏡を用いた追尾撮影(望遠)
 総露光時間(撮影時間):2時間30分

望遠鏡・望遠レンズを用いて追尾撮影するⅡ

カメラをセットする

レンズにもよりますが、望遠レンズは比較的重く、大きなものが多いです。ちょっとクランプが緩んでいたりすると徐々にカメラがずれて行ったり、回ってぶつけてしまうこともあるかもしれません。特に寒い時期は手がかじかんでしまい力が入りにくくなるため、クランプの緩みには注意が必要です。

バランスを取る

カメラの重量が重くなると赤道儀にもそれだけ負担がかかってきます。その負担をなくすよう、ウェイトなどでバランスを取らなけらばなりません。広角でも大事な項目ですが、望遠レンズなどの重いレンズや望遠鏡では特に重要です。

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 バランスを取るのための5ステップ

 

対象の天体に向ける

電動で対象とする天体を導入できる赤道儀であれば微動も調節でき簡単ですが、ポータブル赤道儀などではカメラの方向を手で変えなければなりません。ズームレンズ等である程度広角まで引けるなら難易度は下がりますが、単焦点もしくは望遠鏡となるとなかなか難しいものです。ポータブル赤道儀でよく使われる自由雲台で広角と同様、向きを変えようにもその望遠と重さでなかなか思い通り行かないことも多いです。私の場合、250㎜でも苦労します。慣れてしまえば自由雲台でもいいでしょうが、自由雲台では難しいという方には、回転雲台がお勧めです。自由雲台は文字通り自由に動きますが、回転雲台を取り付けると赤経、赤緯の2軸をそれぞれ別々に動かせるので比較的思い通りの方向へ向けやすいと思います。
(回転雲台は赤道儀の赤経軸の回転のバランスを取るタイプの場合のみ、赤経軸に直接雲台を取り付けるタイプでは使えません。回転雲台では重さのバランスが崩れにくいといった利点もあります。)

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 自遊雲台・回転雲台 取り付けに使う機材
 回転雲台は部品が多いため、それぞれの接続をしっかり確認するようにしましょう。

 

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 回転雲台使用時の可動部
 回転雲台であれば1軸ずつ動かせるので写真にあるような重く、大きいレンズでも比較的簡単に思い通りの向きに向けることが可能です。

 

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 自遊雲台のバランス崩れ(例)

いかがでしたでしょうか?望遠の追尾撮影ができれば本で見たことのあるような写真でも簡単に撮影することができます。
※今回の例ではポータブル赤道儀+カメラレンズでしたが、赤道儀+望遠鏡でもほとんど同じです。
次回(1月28日)は実際にシャッターを切っていくところからと望遠撮影ならではの難しさについてご紹介したいと思います。
お楽しみに!
良いお年を!来年もよろしくお願いします。

written by 打海将平

第7回 追尾撮影の準備(望遠撮影編)

こんばんは
今月は新月が2回ありますので、新月記事も今月2度目です。これが満月ならブルームーン(Blue Moon)と呼ばれるそうですよ!
さて、関東の方ではすでに雪が降るなど寒くなってきました。観測地の多くは山奥や内陸になるのですが、凍結には注意が必要です。スタッドレスタイヤやタイヤチェーンがあれば問題ないのですが、それほど雪の振らない地域の方々でお持ちの方は多くありません。そこで、ノーマルタイヤで行けるか不安な場合にはその自治体の観光協会に聞いてみるのも一つです。ただ、山の天気は変わりやすく突然雪が降り出すこともあるため、天気はこまめにチェックしましょう。

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 ちょっとした耐寒訓練…(カメラ・望遠鏡...ほとんど凍ります。)
 @岡山県備前市

望遠鏡・望遠レンズを用いて追尾撮影する

前回では広角レンズを用いた追尾撮影をご紹介しました。広角撮影でセッティングの精度や追尾精度が悪く困ることはそうありません。しかし、望遠撮影になるとセッティングにある程度の精度が求められるだけでなく、様々なことが原因で正常に追尾されずイライラすることがあります。
今回はその改善と予防をご紹介します。


ピント合わせ

望遠になるとピント調節が難しくなります。撮影時に会っているように思えても、後からPCで確認するとピントが甘いことがあります。また、向きを変える際にも少し触れただけでピントがずれることもあるので、望遠撮影時は対象天体を変えるごとにピント調節を行いましょう。ただ、対象天体の周辺に明るい星がないと合わせにくいこともありますが、そこは慣れか、他の明るい星で調節後に対象天体に向け直すしかありません。
また、望遠鏡など焦点距離等が固定になっている場合や、よく使う焦点距離の場合にはバーティノフマスクを使うとピント調節がより精度よく行うことができます。第7夜では詳しくご紹介しませんが、バーティノフマスクのつくり方は簡単ですので是非挑戦してみてください。

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バーティノフマスク(自作です。)


極軸合わせ

広角撮影では大雑把でもよかった極軸合わせですが、望遠になるとその分追尾精度が重要になってきます。そのため極軸望遠鏡内のパターンスケールを理解し、極軸合わせはしっかり丁寧に行いましょう!本番撮影を始める前に追尾できているか、試し撮りをお忘れなく!

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 スカイメモRS 極軸望遠鏡のパターンスケール
 (北極星、こぐま座δ、ケフェウス座51番星を使うタイプ)


追尾してくれない…

しっかりと極軸合わせをしたはずなのに追尾してくれない…私もよく経験します。
そこでまず疑うべきは極軸合わせの精度です。もう一度極軸合わせをやり直してみましょう!
そして次は、しっかりとクランプ(固定するネジのようなもの)をしっかりと締めているか。
コントローラーの追尾モードは正しいか?電源は入っているか?もしくは残量が少なくないか?
などなど、思い当たるものを一つずつ当たってみるしかありません。
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星の形がちょっとおかしい

写っている星の形が丸ではなくひし形の様に少しだけ長く伸びることがあります。これは風によりカメラのストラップやコントローラー類、望遠鏡が揺れている場合があります。このような場合には、風が弱いところに移動するか車で風を防ぎ撮影するようにしましょう。風がとても強い日は望遠撮影に向いていません。

いかがでしたでしょうか?
望遠撮影は準備段階でも慣れないと少し難しいかもしれません。それでも、それら困難を乗り越え満足のいく写真を撮ることができればうれしいものです。次回(12月29日)は実際に撮影をする方法などをご紹介します!お楽しみに!

第6回 追尾撮影の準備と実践(広角)

こんばんは
秋も深まり朝晩の冷え込みも厳しくなってきました。冷え込み、乾燥するため星が綺麗に見えるようにもなりましたね!ただ、近畿では晴天率が低くなかなか星が撮れないので残念です。

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兵庫県神戸市

赤道儀を選ぶ

追尾撮影をするために必須となる機材が「赤道儀」です。最近では様々な赤道儀が売られており、安価なものでは数万円から高価なもので百万円を超すものもあります。高いものを買えばいい写真は撮れやすいですが、安くていいものを選ぶのも重要です。
例えば、広角レンズで撮るだけでいい場合であれば、比較的安価なポータブル赤道儀でいいでしょう。安ければ5万円以下のものもあります。ただ単に安いものではなく、持ち運ぶ方法や撮影環境などを考えて選びましょう。最近では多くの赤道儀がネット上でレビューされていますので、レンズの焦点距離と追尾精度についての評価を見ていくのもいいと思います。

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☆彡撮影データ☆彡
 EOS70D(改造無), SIGMA 10-20mm F3.5 EX DC,固定撮影
 f3.5,ss60[s],10mm,ISO-2500
 撮影地:奈良県 大台ケ原

極軸合わせ

いくらいい赤道儀でも極軸合わせが正確でなければ機能を発揮できません。極軸合わせとは、赤道儀の回転軸(極軸)を天の北極と南極を結んだ線と平行にすることを言います。なんだか難しそう…と思われるかもしれませんがそんなことはありません。北半球で極軸合わせをする際に使う天の北極とは北極星の方向です。北半球では北極星を用いて極軸合わせを行います。極軸合わせは広角であれば回転軸を大雑把に北極星の方向へ向けるだけでも撮ることはできますが、覗き穴や極軸望遠鏡を用いて回転軸を北極星の方向へ向けます。特に極軸望遠鏡を用いるとより正確に極軸合わせをすることができますが、北極星は天の北極から少しずれているので、極軸望遠鏡内に書かれている文字や図に従って極軸合わせを行います。最初は難しいかもしれませんが、慣れると簡単なものです。

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極軸望遠鏡(Vixen SX2)

実際に撮影してみる(広角)

最初から望遠鏡や望遠レンズで撮影するのも難しいので、最初は広角レンズ等で撮影してみましょう。固定撮影では30秒~60秒程度の露光で止めていましたが、追尾して撮影できるため極軸があっていればいくら露光時間を伸ばしても流れずに写ることになります。とはいっても夜空も街明かり等で若干明るいので伸ばし過ぎると白く飛んでしまいます。最初は露光時間を3分~5分、感度を1000~2000で撮ってみてその場の空の状態に合わせて露光時間等の設定を変えてみてください。固定撮影では撮れなかった写真が簡単に撮ることができ、より天体写真が楽しくなってくるはずです!

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☆彡撮影データ☆彡
 EOS Kiss X7i(改造), EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS STM
 スカイメモRSで追尾撮影
 f5.6,ss310*3[s],10mm,ISO-1600
 撮影地:山口県山口市

さて、いかがでしたでしょうか?高価な機材を買わなければならない…極軸合わせが難しそう…と思われるかもしれませんが、固定撮影では物足りないと思った方には是非挑戦していただきたいものです!!
次回(11月29日)は望遠レンズや望遠鏡を用いた追尾撮影についてご紹介します。お楽しみに!

第5回 追尾撮影の基本

こんばんは!新月の夜がやってきました。
地方に行くと稲穂も黄色く色付き始め、秋の深まりを感じることができます。夜空を見上げれば天頂には秋の星座、未明には冬の星座「オリオン座」も見ることができるようになりました。
山などでは冷え込みも厳しくなりつつあるので、星空観望時には防寒着を忘れないようにしましょう。また、夜露が出やすい時期ですので湿り気にも強い服装の方が快適です。

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 撮影地:和歌山県有田郡

撮影時の夜露対策

特に9月から4月ごろにかけて、夜露によりレンズが結露することがよくあります。
レンズが結露すると像がぼやけてしまい、良い写真が撮れなくなってしまいます。ブロワーなどで空気を吹きかけて取り除くなどの方法もありますが面倒です…
そこで便利なのがレンズヒーターです。対物レンズの周りに以下のようなレンズヒーター(写真は電池式)を巻くと、夜露がレンズにつくのを防いでくれます。代用品としてカイロを巻いても大丈夫です。「ヒーターが無ければ撮影するのは困難」と言っても過言ではありません。これからの時期、撮影を検討されている方は準備されておくことをお勧めします。
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追尾撮影とは

前回までは固定撮影についてご紹介してきましたが、ここでもう一つの撮影方法「追尾撮影」についてご紹介します。
夜空の星々は見かけ上1時間に15度動いています(日周運動)。固定撮影で同じ方向を撮影していると星が流れてしまうのはそのためです。そこで赤道儀を用いて星々の動きを追尾し撮影することで、撮影した星々を点にすることができます。これが追尾撮影です。

以下の写真は、はくちょう座周辺の空をほぼ同じ時間、同じ設定で撮影したものです。固定撮影では星が流れていますが、追尾撮影では星像は点で、天の川の暗黒星雲の存在もはっきりと見て取れます。

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 ☆彡撮影データ☆彡
 EOS Kiss X7i(改造), EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS STM
 ss180[s],f4,31mm,ISO-3200
 ポラリエ(赤道儀)で追尾
 撮影地:兵庫県ハチ高原

追尾撮影をするには…?

追尾撮影をするには、赤道儀と呼ばれるものが必要です。赤道儀は動く星々を追いかけてくれる機械です。ただ、三脚を立てるだけの固定撮影と違い、赤道儀は「極軸調整」と呼ばれるセッティングをしなければなりません。極軸調整とは、北極星を用いて赤道儀の極軸を天の北極に向けることです。広角での撮影の場合は、北極星に向けるだけでも十分ですが、望遠での撮影になると極軸望遠鏡を用いて極軸合わせをします。極軸望遠鏡を用いた極軸合わせについては次回ご紹介します。

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  バンビ(小鹿)の横顔とその周辺
 ☆彡撮影データ☆彡
 EOS Kiss X7i(改造), EF-S55-250mm F4-5.6 IS STM
 ss480[s],f5,100mm,ISO-3200
 スカイメモRSで追尾
 撮影地:大台ケ原(奈良県側)

私自身、極軸望遠鏡を用いない極軸合わせをしたことがなかったので、赤道儀「ポラリエ」をお借りして極軸望遠鏡を使わず目視で北極星を使った極軸合わせをし、上の写真を撮影しました。広角であれば簡単な設置でも十分であることがお分かりいただけると思います。
今後、ご紹介する赤道儀に「SX2」、「スカイメモRS」というものが出てきますが、それらは極軸望遠鏡を用いての極軸合わせをします。

因みに赤道儀はコンパクトさで分類することができ、上記で名前のある「SX2」は赤道儀、「ポラリエ」「スカイメモRS」はポータブル赤道儀に分類されます。スカイメモRSはポータブル赤道儀ではかなり大型のものです。

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いかがでしたでしょうか??
追尾撮影は複雑なところもありますが、天体写真をより美しく仕上げることができ、非常に面白いものです。ただし、赤道儀は高価なものが多く種類も多いため、踏み出しにくい撮影分野の一つでもあるかとは思います。この記事ではできるだけ安価な機材で撮影した写真をご紹介していますが、赤道儀は別です(笑)
そこで、次回(10月31日)では赤道儀の選び方(自己流)と、追尾撮影の実践についてご紹介します。お楽しみに!!

第4回 固定撮影の応用編Ⅱ

こんばんは!新月の夜がやってきました。
今日から9月ですね!新学期を迎えている方も多いと思います。夏休みに夜空を見上げる機会はありましたか?今年は関西を中心に、ペルセウス座流星群が良く見えました!関東では曇りだったようですね…

さて、この季節の天体観測で注意したいのは昼夜の寒暖差です。山間部では朝方10℃台まで下がるようになってきました。星空観望へお出かけの際は防寒対策をしっかりとしてください。また寒暖差が大きいと霧(雲海)が出やすくなります。運転にも注意したいところです。

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竹田城跡(2016年8月28日撮影)

インパクトのある星空写真を!!

今回は固定撮影の応用編Ⅱということで、「人工衛星」の撮影方法をご紹介します。
実は条件が合えば地上からも見えるんです!
と、その前に!一目見て目に留まる写真の撮影方法(自己流)をご紹介したいと思います。

星空をただ写す「星野写真」もいいですが、固定撮影でインパクトのある星野写真を撮るのは難しいです。固定撮影では地上の景色と一緒に撮る「星景写真」の方が、インパクトのある写真を撮りやすいように思います。
地上の風景といっても有名な観光地ではなく、田舎の田園風景や並木道、電柱でも十分インパクトのある写真を撮影することは可能です。
私はよく観望地へ行く道中や寄り道したところで、良さそうと思えば車を止めて簡単に固定撮影をしています。この時、交通量の多い道路は車のライトで撮影が難しいだけでなく、安全ではないので外しましょう。撮影中はハザードランプも消すと思いますので、車が来たらライト等で自分の存在を相手に知らせることも大切です。
後は、自分の好きなように構図を合わせて第1夜~3夜の内容通り撮影するだけです。

IMG_1689.lr ☆彡撮影データ☆彡
Canon EOS70D,SIGMA 10-20mm F3.5 EX DC
f3.5,ss60[s],10mm,ISO-2500,1枚撮り
撮影地:朝来市

IMG_1697.lr

 ☆彡撮影データ☆彡
Canon EOS70D,SIGMA 10-20mm F3.5 EX DC
f3.5,ss60[s],10mm,ISO-2500,1枚撮り
撮影地:朝来市

人工衛星を写し、よりインパクトのある写真を!

そもそも人工衛星って見えるの?と思う方も多いかもしれませんが、夕方や未明を中心に太陽の光を反射してゆっくりと動く星のようなものを見ることができます。これが人工衛星です。(点滅している場合は航空機です。)
人工衛星は星と違った動きをするので、写真に一定のインパクトを与えることができます。
人工衛星の中で特に写しやすいのがISS(国際宇宙ステーション)です。
ISSは都会から撮影できるだけでなく、JAXAの「「きぼう」を見よう」というwebページで簡単に調べることもできるので、撮影しやすい対象です。
撮影時には秒単位で飛行する衛星を写すために電波時計と、方角を間違えないために方位磁針を用意し、高度を前もって確認しましょう。そして、あらかじめその向きにカメラを向けておくとより確実に撮影することができます。

JAXA 宇宙ステーション・きぼう 広報・情報センター 「きぼう」を見よう
http://kibo.tksc.jaxa.jp/

2015.10.25 ISS ☆彡撮影データ☆彡
撮影データの詳細を記録していませんでした。
街中撮影
複数枚比較明合成
(一番明るいのは月、左のカーブを描いているのが航空機、右のたてに伸びる光跡がISSです。)

いろいろな人工衛星を撮ってみよう!

ISSの撮影でよくあるのが、太陽面や月面の前を横切るときに撮影するタイプの天体写真です。これらの撮影は比較的難しいものになります。
他にもハッブル宇宙望遠鏡(HST)やイリジウム衛星のフレア(イリジウムフレア)などが撮影対象としてメジャーです。人工衛星(特にイリジウムフレアなど)の写真はシャッターを切る時間などを秒単位で管理し、撮影をすることで見えている途中で軌跡が途切れることなく撮影することができます。

ちなみに、望遠鏡などで星雲(特にオリオン大星雲)などを撮影していると意図せず衛星が通りすぎ、邪魔な時も多々あります。オリオン大星雲は見かけ上、静止衛星の軌道と重なるため多く横切ることで有名です。
少しマニアックなものになりますが、是非人工衛星を交えた天体写真の撮影に挑んでみてください!

ISS ☆彡撮影データ☆彡
カメラ:EOS70D
鏡筒:ED70SS
51コマ 比較暗合成(動画からのコマだし)
(太陽を右下から左上に横切っているのがISSです。拡大するとソーラーパネルの形も確認できます。横切る時間は1秒~2秒です。)

 ☆彡撮影データ☆彡
Canon EOS70D,SIGMA 10-20mm F3.5 EX DC
f3.5,ss60[s],11mm,ISO-2500,1枚撮り
撮影地:峰山高原
(中央やや右上の光跡がイリジウムフレアです。)

今夜はここまでです。いかがでしたでしょうか?
SNSやネット上に掲載するにしても、その写真を見てもらえるのはほとんどの場合一瞬です。その一瞬の間にインパクトを与えるとじっくりと見てもらえる写真となります。
固定撮影でもいい写真が撮れるよう様々な工夫をしてみてください!

次回は10月1日です。追尾撮影の基本をご紹介したいと思います。お楽しみに!!

第3回 固定撮影の応用編Ⅰ

こんばんは!今夜は新月です。
すっかり夏本番となりました。皆さんも夏休み中に一度は夜空を見上げるときがあるのではないでしょうか?8月中旬にはペルセウス座流星群のピークを迎えます。流星を見る際のポイントとしては放射点だけを見るのではなく、全天をボーッと見るようにすると見つけやすいですよ!山や高原は朝方にかけて冷え込みますので、上に羽織るものを持っていきましょう!レジャーシートなんかに寝転ぶと快適かも……

新月記事第3夜では、固定撮影の実践・応用と処理についてご紹介したいと思います。
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タイムラプス撮影

タイムラプス撮影(インターバル撮影、微速度撮影とも言います。)とは、一定間隔で連続して撮影する方法のことをいます。タイムラプス撮影した写真をつなぎ合わせて動画にすると長時間の変化を短い動画(タイムラプス動画)にすることができます。最近ではYouTubeなどにも多くの動画が上がっています。比較的簡単な撮影方法で印象的な動画ができることが魅力の一つです。
固定撮影の基本、カメラ、三脚、タイマーリモートコントローラーがあればタイムラプス撮影をすることができます。(→第2夜 ~固定撮影について
星空のタイムラプス撮影であれば、バルブを数秒から1分、インターバルはバルブに対して最小(+1秒、撮影間隔1秒)を数十分以上撮影するといいと思います。撮影後は動画編集ソフトで撮影順に1枚当り0.1秒から0.2秒程度で再生できるようにするとタイムラプス動画の完成です。

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ぐるぐるの作成

皆さんは星がグルグルと回った写真を見たことありませんか?通称「ぐるぐる」と呼ばれる写真です。一見、どのように撮っているかわからないかもしれませんが、これもタイムラプス撮影の延長線上にあるものです。撮影方法はタイムラプス撮影と全く同じ。撮影後の処理方法が違います。先ほどは動画にしましたが、こちらはぐるぐるに用いたい複数枚の写真を「比較明合成」と呼ばれる合成方法で合成し1枚の写真を作製します。このぐるぐるを作製するために用いるソフトウェアとして有名なのが「SiriusComp」です。これはぐるぐるを作製するためのフリーソフトで、ぐるぐる作成ついでにタイムラプス動画まで作れるのでお勧めです。操作方法もシンプルですので、PC操作が苦手な方でも簡単に作れると思います。

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霧の影響で空が明るくなっています。地上部分の明るい軌跡は車が動いた跡です。
☆彡撮影データ☆彡
Canon EOS70D,SIGMA 10-20mm F3.5 EX DC
f3.5,ss60[s],10mm,ISO-2000,108枚比較明合成
ソフトフィルター装着
撮影地:峰山高原

 

風景部分は照らしてもいい??

星と一緒に地上の風景を写すと、景色は暗くインパクトに欠けることが多々あります。撮影中に下の風景を照らしてしまえば簡単に撮れることには撮れますが、第1夜でもご紹介したマナーに違反してしまいます。過去に、とある写真家の方が風景を大型照明で煌々と照らした写真を公開し、多くの方から批判されたことがあります。個人がSNSにあげた写真でも同様です。そこで、風景を明るく写す方法として以下のようなものがあります。
・車が通り過ぎる時に撮影する。
・街灯の近くで撮影する。
・月明かりがあるときに撮影する。
・地上部分と星空部分の露光時間を変えて合成する。
など工夫すれば撮影することは可能です。
どうしてもこの風景と撮りたい!という場合には必ず他の方々に一声かけるようにしましょう。

New3.lr 夏らしいものを撮ろうとしたのですが、霧が出てしまいぼやけてしまいました。撮影中に天気が崩れると撮影失敗…ぐるぐるの難しいところです。
☆彡撮影データ☆彡
Canon EOS70D,SIGMA 10-20mm F3.5 EX DC
f3.5,ss60[s],10mm,ISO-2500,18枚比較明合成
撮影地:蒜山高原

いかがでしたでしょうか?皆さんも是非ぐるぐる撮ってみてくださいね!
次回(9月1日)は固定撮影の応用編第2弾「人工衛星を撮ろう」です。お楽しみに!!

第2回 固定撮影について

こんばんは!
沖縄では梅雨明けしましたが、本州では梅雨真っ只中ですね…
満点の星を見るのは難しい季節ですが、あと一月もすれば夏本番!夏の夜空を楽しみたいものです。
さて、新月記事第二夜では天体写真撮影の基本である「固定撮影」についてご紹介していきます。

実際に天体写真を撮ってみよう!

第一夜での内容を踏まえて実際に天体写真を撮っていきましょう!
天体写真はいくつかの種類があり、
撮影法では主に「固定撮影、追尾撮影」
撮影対象では主に、「天体写真、星野写真、星景写真、(新星景写真)」
に分類することができます。
初心者でも簡単にできるのは固定撮影です。固定撮影はカメラと三脚さえあればすることができる、言わば天体写真の基礎・基本です。天体写真は通常一眼レフやミラーレス一眼が用いられますが、最近ではコンパクトデジタルカメラ(コンデジ)でもある程度なら撮影することが可能ですので、最初はコンデジから始めてみるのも良いかもしれません。

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機材の一例―三脚・カメラの他に、上の写真にあるレリーズ(タイマーリモートコントローラー)があると便利です。

固定撮影の撮影手順

1.撮影時のカメラの設定をします。モードはマニュアルもしくはバルブ、フォーカス(焦点)はマニュアル、手ブレ補正機能はOFFにします。

2.次にフォーカスを合わせます。星はとても暗いのでオートフォーカスではピントが合いません。そこでマニュアルフォーカスでピントを合わせるのですが、最初のうちはこが一番難しいかもしれません...
まず、できるだけ明るい星にカメラを向け、ライブビュー機能を使いピントを合わせます。フォーカスリングを回し、その星が一番小さくなるところでとめると、ピントがあったことになります。
下の写真のように、星像が大きい場合にはピントが合っていません。

F
左:ピントがあっていない。 右:ピントがあっている。

3.実際に撮影する
以上の操作を行った上で、実際に撮影してみましょう!最初はISO感度を最大にして、テスト撮影を行います。ピントと画角(撮影する向き)がよければISO感度を下げ、露光時間(シャッタースピード)を30秒~60秒にして撮影し、写りが良ければそれで完成です。

4.撮影した写真を処理する
天体写真をするうえで撮影と同じくらい重要なのが撮影後の処理です。
基本となる処理がトーンカーブ調整とレベル調整です。これをするだけで、写真の印象が大きく変わります。

処理に使うソフトは、フリーソフトのgimpや、Photoshop、Lightroom、ステライメージなど様々です。まずはフリーソフトのgimpから始めてみましょう!
処理に関する詳しいことはまた次回!

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☆彡撮影データ☆彡
Canon EOS70D,SIGMA 10-20mm F3.5 EX DC
f3.5,ss60[s],10mm,1枚撮り
撮影地:大台ケ原

次回の新月は8月3日です。
固定撮影の実践編と、処理について詳しくご紹介していきます!
お楽しみに!!!