第18夜 太陽系外から来た天体!?

こんばんは。新月の夜がやってきました。
もうすっかり冬らしくなりましたね。冬の星座もすっかり見ごろとなりました。

今日は宇宙のお話...

皆さんは10月19日にハワイ・パンスターズ望遠鏡によって発見された小天体「C/2017 U1」(仮符号)をご存知ですか?
この仮符号は彗星と思われたため頭文字にCometのC、発見年の2017、10月16日以降に見つかった1つ目の小天体(彗星)という意味です。
その後、尾などの彗星活動が見られないことから小天体「A/2017 U1」と仮符号が変わりました。

この天体を詳しく調べると太陽系外からやって来たらしいということになり、観測史上初となる「太陽系外から飛来した天体」を観測したと大きなニュースとなりました。ここまでは耳にした人も多いと思います。

その後も詳しい観測が続けられ、太陽系内の天体であるなどの疑いの目が向けられましたが、観測史上初の恒星間天体(太陽系外から飛来した天体)として認められたのです。
国際天文学連合(IAU)は11月7日にこのような恒星間天体に対する新たな仮符号として「I」を使うこと、この小天体を「1I/2017 U1」と改め、名称はハワイ・パンスターズの研究チーム推薦のハワイ語に由来する「Oumuamua(オウムアムア)」とすることを決めました。

こと座のほうから飛来したこの天体は、今現在、ペガスス座の方向へ高速で飛び去っています。果たしてこの天体の正体は何だったのか?どの恒星系から飛来してきたのか?これからの観測成果を期待するとともに、考えれば考えるほど宇宙の面白さを感じずにはいられません。

oumuamua

NASA/JPL-Caltech/IAU


皆さんも夜空を眺める際は、何か一つ思いを馳せてみてみてはいかがでしょうか?
もしかしたら、何か見る目が変わるかもしれませんよ!

それではまた新月の夜に...

参照:
MPEC 2017-V17 : NEW DESIGNATION SCHEME FOR INTERSTELLAR OBJECTS
http://www.minorplanetcenter.net/mpec/K17/K17V17.html

新月記事 第17夜 ガイド撮影

こんばんは。新月の夜がやってきました。
ここ数日は天気が悪いうえに肌寒いですね。星を観るにも寒さ対策が重要な時期となってきました。
寒さ対策をしっかりしたうえで秋の夜長に星空を見てみてはいかがでしょうか?

さて、今夜はちょっとマニアックなオートガイド撮影(ガイド撮影)のお話を…

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第8夜や第9夜で扱った望遠での追尾撮影。望遠での追尾撮影は様々な難しさがありますが、最も難しいのは長時間撮影していると星が流れてしまうことです。どれだけしっかりと極軸を合わせ(第7夜「極軸合わせ」)していても、赤道儀そのものでは完璧に星を追尾しきれず、星が流れてしまうことがあります。
第7夜:http://spacemgz-telstar.com/4143
第8夜:http://spacemgz-telstar.com/4259
第9夜:http://spacemgz-telstar.com/4334

無題の図形描画

長時間露光ではよく見ると星が流れてしまうことも... 


それを根本的に防止するのが、ガイド撮影と呼ばれる手法です。端的に説明すると、カメラを2台用意し1台は星の追尾状態を監視し、赤道儀に追尾状態を伝えて修正し、もう一台のカメラで星を撮影するというものです。

最近では、機器がコンパクトかつ安価になってきたため用いている人も増えてきています。しかし、ケーブルが増えてしまったり、電源をより多く必要としたりと準備が大掛かりになってしまいます。

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PC使用タイプガイダーを取り付けた撮影風景

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PC不使用(スタンドアロン)タイプのガイダー



ガイド撮影をすることによって3分の追尾撮影にしか耐えられなかったものが、5分もしくは10分以上などの撮影にも耐えることができるようになります。そうなるとより淡い天体を撮影しやすくなるため撮影の幅が大きく広がる手法です。

なかなかここまでの手法を用いた撮影まで行いたいという人は多くないですが、是非知識の一つに入れていただければと思います。

ではまた新月の夜に。。。

written by Shohei Utsumi

新月記事 第16夜 番外編OSIRIS REx(オシリス・レックス)の地球スイングバイ

こんばんは。
いよいよ秋本番といったところでしょうか?

更新が遅くなってしまいました…
言い訳をすると今回の内容に関しての検証に時間がかかってしまったためです。

新月ではないので今回は番外編!

突然ですが、皆さんOSIRIS REx(オシリス・レックス)という名前を聞いたことがありますか?
日本ではあまり知名度が高くないようにも感じますが、アメリカ版ハヤブサといわれることもあります。日本ではやぶさと言えば小惑星探査機・サンプルリターンなどを思い浮かべると思いますが、オシリス・レックスも小惑星探査・サンプルリーターンのミッションを行う探査機です。
つまり、今ははやぶさ2、オシリス・レックスの2機が別々の小惑星に向かっていることになります。

kitaamerika.tri

北アメリカ星雲



そんなオシリス・レックスが9月23日に地球スイングバイ(地球の引力を用いた軌道変更、加速)を行いました。
その地球スイングバイでははやぶさ2の地球スイングバイと同様に、観測キャンペーンが行われました。

私もそのキャンペーンに便乗して観測を行いました。
明るさの予想は11等前後と暗く、観測を行う人は巨大な望遠鏡を用いる中、私はカメラレンズ(sigma APO 70-200mm F2.8 EX DG OS HSM)で撮影を試みました。

結果は。。。恐らく撮影成功と思いきやの失敗。。。
軌跡が暗く不明瞭なため私一人では判断できませんでしたが、同様に撮影を行っていたお二方から写っていると判断を得ました。しかし!日本惑星協会さんに確認して頂いたところ、撮影時に参考にした地点と実際の通過位置に大きな誤差がありました…なので撮影そのものは失敗です…下の写真はそれと思われた軌跡でしたが、異なるようです。

osirisrex
osirisrex2

2017.09.22 22:35
SXP, Eos kiss x7i(mod)
sigma APO 70-200mm F2.8 EX DG OS HSM
200mm, ss60[s], f2.8, iso12800


しかし、惑星間を航行する探査機を地上からカメラで捕らえることができることに違いはありません。実際に、何人かの方々の観測成果が報告されています。このようなことは、地球スイングバイの時くらいにしかない非常に珍しいことです。
はやぶさ2の時も多くの方々が観測されていましたが、今はもう素人が持っている機材では到底撮影できるものではありません。

皆さんも、はやぶさ2だけではなく、OSIRIS REx(オシリス・レックス)のミッション成功と新たな発見を首を長くして待ってみませんか。

地球 帰還予定
はやぶさ2:2020年末
OSIRIS REx(オシリス・レックス):2023年

それではまた新月の夜に…

written by Shohei Utsumi

第15回 スマホで天の川は撮れるのか?

こんばんは。新月の夜がやってきました。
もうすぐ夏が終わりますが、天気が良くない日が続きますね。。。
天の川をほとんど撮ることなく終わりそうです。
中には今日、アメリカでの皆既日食を撮影しに行ってる人もいるかもしれませんね。

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ペルセウス座流星群の夜に…@岡山県備前市

今夜は先月号に続き、スマホで天体写真についてご紹介したいと思います。
先月から、スマホで星空を撮りながら様々な条件で検証してきました。

その結果がこちらです。画像処理は施していません。
天の川の姿を真ん中に捉えることができました。

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格安スマホ×100均の三脚で撮影した天の川

ペルセウス座流星群の時も多くの方々が手持ちでスマホを夜空に向けていましたが、それでは撮影することができません。星を撮るには三脚が必要です。

三脚といっても100均のスマホ用三脚があれば十分です。
あとは、第14回でご紹介した手順で撮影すれば問題ありません。
(新月記事第14回→http://spacemgz-telstar.com/4762
無題の図形描画

撮影手順(android)

ただし、機種によって撮影できないものもあります。
私のスマホはandroidの格安スマホですが、友人のiPhone(旧式)ではノイズが多く長時間露光(星空撮影)には不向きな印象でした。

夏休み、まだまだ星空撮影のチャンスはあります。是非お手持ちのスマホと100均の三脚で撮影してみてください。
ではまた新月の夜に。。。

Written by Shohei Utsumi

第14回 スマホで星空撮影

こんばんは!新月の夜がやってきました。
広い範囲で梅雨明けし、いよいよ夏本番ですね。
もうすぐ3台流星群の一つペルセウス座流星群も極大を迎えます。
今年の極大日(最も流れる日)は8月13日4時頃となっています。月がやや明るいので月没頃に観察することをお勧めします!
詳しいことは国立天文台のページをご覧ください。

国立天文台 星空情報2017年8月ペルセウス座流星群が極大
https://www.nao.ac.jp/astro/sky/2017/08-topics03.html
さて今夜の本題はほとんどの方がお持ちのスマートフォンで撮る星空です。
近頃、スマホに付いているカメラはかなり高性能になっています。カメラを趣味とする人からは「天体写真以外はスマホで問題なく撮影できる。」といわれるほど高性能です。(できないとすればあと望遠撮影ですかね。)それほどスマホのカメラと一眼レフカメラで撮影した写真との差は着実に縮まっており、技量差によってはスマホのほうが上に出てもおかしくありません。しかし、天体写真に限っては一眼レフの圧勝です。その勝因はノイズの少なさにあります。

スマホのイメージセンサー(人間でいう網膜のようなもの)は一眼レフのイメージセンサーよりも小さいため光を受け取る面積が小さくなります。そして、ノイズがセンサー内で一つ発生するとしたとき、小さいほうが大きいより影響を受けやすくなります。スマホの写真でノイズが多くなるイメージはこのような形です。

ノイズ量では一眼レフに適いませんが撮れないわけではありません。うまくいけば天の川を撮ることも可能です。
スマホで撮影する際に必要なものは二つ。「スマホ本体」と「スマホを取り付けられる三脚」です。
この2点を用意し、スマホのカメラを起動します。
起動をしたらまず、撮影設定をオートからマニュアルにしましょう。(※機種によってはなかなか設定画面にたどり着けないまたはない場合があります。)
マニュアルにしたらまずシャッタースピード(S)を最も長く、そして感度(ISO)を最も高くします。あとはピント合わせですが、これはある程度の慣れが必要です。三脚に固定したうえで遠くの鉄塔の明かりや月、明るい星を用いて光源が最も小さくなるようにピントを調整します。
ピント調整ができたら後はシャッターを押すだけです。このとき、ブレてしまわないよう、遠隔でシャッターを切るかタイマーできるようにするとブレずに撮ることができます。
無題の図形描画

何度も根気強く撮影していると流星やISS(国際宇宙ステーション)をも撮影することができるかもしれません。
是非、この夏休みに挑戦してみてください。

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スマホで撮影した夏の大三角(気持ち天の川も)
中央やや右がこと座のベガ、左下がわし座のアルタイル、中央上が白鳥座デネブ

いつか、スマホでも簡単に美しく星空を撮れる日が来るかもしれませんね。
ではまた新月の夜に!

第13回 機材の保管と管理

こんばんは!新月の夜がやってきました。
いよいよ梅雨本番。ジメジメとした日々が続き、天気もよくない上に夏至前後で夜の時間も短く、星を見るうえではあまり適さない時期です。
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梅雨入り後の晴れ間に@岡山県備前市

そのような事情もあり、今の時期は多くの人が機材のメンテナンスや修理を行います。メンテナンスをする機材がなくても今の高温多湿の環境下ではカビに注意しなくてはなりません。

しばらく使用していないレンズやカメラにはたまにカビが生えることがあります。レンズの内側にカビが生えてしまうと極めて厄介です。そうならないために、レンズ・カメラの保管方法を一度見直してみましょう。

カビをはやさないために最も重要なのが、「湿度を管理する」です。レンズ・カメラを保管するのに適しているといわれているのが30~50%です。しかし、日本は年間を通して平均湿度が70%を下回る地域が少ないうえに、梅雨の時期には平均湿度が80%を超えるところもあります。梅雨から夏の時期は気温もカビが好む温度に近いため、より注意が必要です。

梅雨は星空の写真をほとんど撮ることができません。そこで、メンテナンスする機材もないとなると暇ですよね?そこでお勧めしたいのが機材の自作です。天体写真は売られているものだけでは(値段的にも)カバーできないことも多々あります。そこで多くの方が自作されているのですが、最も汎用性が高いのがフードと第7夜でも紹介した「バーティノフマスク」です。バーティノフマスクはピントを合わせるうえでとても便利なもので、この機会に自作されてみてはいかがでしょうか?
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次回の新月は7月23日です。お楽しみに!

第12回 日本の星空環境

こんばんは!新月の夜がやってきました。

沖縄ではすでに梅雨入りしていますが、それ以外の地域では梅雨入り前の過ごしやすい日が続いていますね。星空の主役はもう春から夏の星座へ変わろうとしています。
水田にも水が張られ、田植えの時期真っ最中となっています。
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【星降る夜に】兵庫県養父市

突然ですが皆さん、天の川を見たことがありますか?
私は幼いころから星に興味がありましたが、天の川を見たのは大学入学後です。
日本の人口の70%は天の川の見られない地域に住んでいます。
世界平均は36%なので、世界的に見ても日本は天の川が見られない地域にあるといえます。
光害は星が見えなくなるだけでなく、生態系や人間への影響も懸念されています。
そのような中、5月22日毎日新聞にこのような見出しがありました。
「環境省「星空見やすさ」全国ランク作成へ 光害減少狙い」
これは、環境省が星の見やすさを客観的な指標として設け自治体が光害対策に取り組むきっかけとなることを目的としています。しかし、大都市はどうでしょうか?
これでは、地方都市や過疎地の自治体にしか効果がないようにも思えます。

都市部の光害対策の事例としてアメリカ フラッグスタッフが有名ですが、日本の都市部において光害対策に結び付けるにはどうすればよいでしょうか?
これまでも、市町村や県単位で光害に対する取り組みや、望遠鏡メーカー主催のライトダウンなどが行われていましたが、このような取り組みを知る人はほとんどいません。
まずは、ライトダウンの日には町のシンボルとなるタワーや橋のライトアップを取りやめるなどの取り組みが、光害対策後進国の日本には必要なのかもしれません。
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星を見上げるときは、この環境問題について考えてみてください。
未明には天の川が見ごろを迎えつつあります。どこか地方へお出かけの際は少し早起きをして満点の星をみてみては?

次回の新月は6月24日です。お楽しみに!

written by 打海 将平

第11回 春、夏、冬の大三角形

こんばんは!新月の夜がやってきました。
今回も天体写真の撮り方講座はお休みして、春、夏、冬の大三角形の写真をご紹介していきます。

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春の大三角形
撮影日:3月4日0時頃
撮影地:伊豆半島
しし座のデネポラ、うしかい座のアルクトゥルス、おとめ座のスピカを結ぶと春の大三角形となります。
ちなみにスピカの近くにある明るい星は木星です。

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夏の大三角形
撮影日:9月27日21時頃
撮影地:長野県白駒池
こと座のベガ、はくちょう座のデネブ、わし座のアルタイルを結んで夏の大三角形となります。
ちなみに七夕でおなじみのおりひめはベガ、ひこぼしがアルタイルです。

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冬の大三角形
撮影日:1月10日21時頃
撮影地:山中湖パノラマ台
オリオン座のペテルギウス、こいぬ座のプロキオン、おおいぬ座のシリウスを結ぶと冬の大三角形です。

いかがでしたでしょうか。どれもきれいな星空ですね。
せっかく星がきれいに見える新月の夜なので、皆さんもぜひ夜空を見上げてみてください。

次回は4月26日です。お楽しみに!

第10回 新月が地球・太陽と織りなす天文現象

こんばんは!新月の夜がやってきました。
今夜は地球の反対側、南米を中心に金環日食が起きています。満月のときに月食が起こることはよく知られていますが、新月のときに日食が起こることはあまり知られていないでしょう。それは、月食は月が出ているところ(地球の半分)で見られるのに対し、日食は月の影が地球に届いているところでしか見られないため、それほど意識されないからではないでしょうか?
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月が地球に近いと皆既日食、遠いと金環日食となります。
(金環日食・皆既日食のどちらでもないぎりぎりの日食を金環皆既日食と言います。)

日食(月食)が新月(満月)の度に必ず見えるとは限りません。満月記事にもありましたが、覚えていますでしょうか?
それは、地球の公転軌道に対し、月の公転軌道が約5度傾いているためでしたね。
地球と月の公転面

さて、先日の満月記事でも日食について触れられていましたが、せっかくなのでもう少し触れておきましょう。

ベイリー・ビーズ

ベイリー・ビーズ金環日食及び皆既日食、金環皆既日食の開始直前、終了直後に見られる現象です。1836年の日食時にイギリスの天文学者ベイリーさんが、欠け際に光がビーズの様にとぎれとぎれに漏れているのを見つけたため、ベイリービーズと名付けられています。
皆既日食のダイヤモンドリングは有名ですが、こちらの現象にも着目してみてください!
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日食で確かめられた一般相対性理論

皆既日食の際に星が見られるようになるのは新月記事でも紹介されていましたが、その星が見えることによってあることが確かめられます。それは一般相対性理論(一般相対論)です。一般相対論についてはここでは書ききれませんが、ここで予想されていたのは太陽の重力場により太陽の裏側にある星の光が曲げられ本来見えないはずの星が見えるといったものです。実際に1919年の日食時にこれが確かめられ、一般相対論が確かめられた現象の一つとなっています。
皆既日食 のコピー

いかがでしたでしょうか?日食はなかなか見ることができない現象ですが、日食に魅せられて世界各地を飛び回り、日食を撮影・観測する日食ハンターと呼ばれる方もいます。人を魅せてやまない天文現象「日食」。皆さんも一度はみてみてください。

次回は3月28日です。お楽しみに!

※今回は予告内容と異なる内容です。前回予告した内容はまた次号以降にご紹介します。

written by 打海将平

第9回 望遠撮影の難しさ

今年最初の新月です。いまさらですが、あけましておめでとうございます。
寒い日が続きますね。撮影地は氷点下10℃以下になっていることでしょう。。。

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 初日の出

さて、今夜は望遠撮影をしてわかる難しさについてご紹介します。

高価な機材が多い

望遠撮影となると、口径が大きく明るいレンズや望遠鏡、赤道儀など高価な機材が多くなってきます。安い機材で撮影していると、あまり星雲が浮かび上がってこない。迫力があるものが撮れないなどの理由で「高価な機材しか天体写真は撮れない。」という人もいますが、果たしてそうでしょうか?確かに、高価で性能のいいレンズや望遠鏡であるほど良いものが撮りやすく、より暗い天体まで撮影することができるようになります。しかし、一眼レフのレンズキットについてくるようなレンズであっても十分撮ることは可能です。以下の写真(左)はeos70dとレンズキットの55-250mmレンズで撮影したオリオン大星雲です。1年前に撮影したものですが、時間をかけて撮ればそれなりに十分な写真となるのではないでしょうか?とはいっても、やはり高価な望遠鏡などには敵いません。カメラレンズで撮影したとき(左)は1枚当り最大5分撮影にかかっているのに対し、右の望遠鏡で撮影したもの(右)は1分です。左が時間をかけ過ぎているというのもあるのですが、それだけ口径が大きく集光力(どれだけ光を集められるか)に優れた望遠鏡は短時間で良い写真が撮れると言えます。

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オリオン大星雲
 (左:キットレンズ、右:望遠鏡)
 ※色の違いはカメラのフィルター改造によるものです。

ノイズが気になる

望遠撮影の場合、星雲や星団を対象とすることも多いでしょう。星雲や星団は淡いものが多く、露光時間を長くするか、感度(ISO)をあげなければなりません。そうなると、撮影された写真にノイズが多くなり星雲の淡い部分がノイズに埋もれてしまうことも多くあります。
記事の中で作例のデータに総露光時間とあるのに気付きましたか?「総」とあるように露光時間の合計を表しています。ただ、写真を足し合わせるのではなく加算平均合成と呼ばれる処理を用いてノイズを減らしています。
天体写真に写るノイズには通称「ランダムノイズ」と「定常ノイズ」の大きく分けて2種類のものがあり、加算平均ではランダムノイズを軽減することができます。仕組みは簡単、名前通りランダムに出てくるノイズを同じ露光時間で何枚も撮って平均化してしまおう!というものです。
以下の写真を見ての通り、左の写真ではざらざらしているのに対し、右ではざらざら感が抑えられ、星の周りのガスがよりはっきりとみられるようになっています。
第3夜のインターバル撮影(図)と同じ要領で同じ対象を10枚以上撮影するとより見栄えのいい写真となります。
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新月記事第3夜 http://spacemgz-telstar.com/3347


その他にも望遠撮影は様々な難しいところ、うまくいかないところなどがあります。
それは機材が重いことであったり、視野が狭く精度が求められるなど様々な要因があります。
特に、最初は追尾できていたのに途中から星像が伸びてしまった、そもそも最初からうまく追尾できないなどということはよくあります。そうなると、一つ一つどこがまずいのか確認していくしかありません。そのためにも、ただインターバル撮影を延々とするのではなく、30分や1時間に一度しっかりとれているかチェックしましょう。


次回は記念すべき?第10夜です。
来週は天体写真からちょっと外れて、星々に魅せられた人とその思いをご紹介したいと思います。
お楽しみに!

written by 打海将平