新月記事 第16夜 番外編OSIRIS REx(オシリス・レックス)の地球スイングバイ

こんばんは。
いよいよ秋本番といったところでしょうか?

更新が遅くなってしまいました…
言い訳をすると今回の内容に関しての検証に時間がかかってしまったためです。

新月ではないので今回は番外編!

突然ですが、皆さんOSIRIS REx(オシリス・レックス)という名前を聞いたことがありますか?
日本ではあまり知名度が高くないようにも感じますが、アメリカ版ハヤブサといわれることもあります。日本ではやぶさと言えば小惑星探査機・サンプルリターンなどを思い浮かべると思いますが、オシリス・レックスも小惑星探査・サンプルリーターンのミッションを行う探査機です。
つまり、今ははやぶさ2、オシリス・レックスの2機が別々の小惑星に向かっていることになります。

kitaamerika.tri

北アメリカ星雲



そんなオシリス・レックスが9月23日に地球スイングバイ(地球の引力を用いた軌道変更、加速)を行いました。
その地球スイングバイでははやぶさ2の地球スイングバイと同様に、観測キャンペーンが行われました。

私もそのキャンペーンに便乗して観測を行いました。
明るさの予想は11等前後と暗く、観測を行う人は巨大な望遠鏡を用いる中、私はカメラレンズ(sigma APO 70-200mm F2.8 EX DG OS HSM)で撮影を試みました。

結果は。。。恐らく撮影成功と思いきやの失敗。。。
軌跡が暗く不明瞭なため私一人では判断できませんでしたが、同様に撮影を行っていたお二方から写っていると判断を得ました。しかし!日本惑星協会さんに確認して頂いたところ、撮影時に参考にした地点と実際の通過位置に大きな誤差がありました…なので撮影そのものは失敗です…下の写真はそれと思われた軌跡でしたが、異なるようです。

osirisrex
osirisrex2

2017.09.22 22:35
SXP, Eos kiss x7i(mod)
sigma APO 70-200mm F2.8 EX DG OS HSM
200mm, ss60[s], f2.8, iso12800


しかし、惑星間を航行する探査機を地上からカメラで捕らえることができることに違いはありません。実際に、何人かの方々の観測成果が報告されています。このようなことは、地球スイングバイの時くらいにしかない非常に珍しいことです。
はやぶさ2の時も多くの方々が観測されていましたが、今はもう素人が持っている機材では到底撮影できるものではありません。

皆さんも、はやぶさ2だけではなく、OSIRIS REx(オシリス・レックス)のミッション成功と新たな発見を首を長くして待ってみませんか。

地球 帰還予定
はやぶさ2:2020年末
OSIRIS REx(オシリス・レックス):2023年

それではまた新月の夜に…

written by Shohei Utsumi

第15回 スマホで天の川は撮れるのか?

こんばんは。新月の夜がやってきました。
もうすぐ夏が終わりますが、天気が良くない日が続きますね。。。
天の川をほとんど撮ることなく終わりそうです。
中には今日、アメリカでの皆既日食を撮影しに行ってる人もいるかもしれませんね。

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ペルセウス座流星群の夜に…@岡山県備前市

今夜は先月号に続き、スマホで天体写真についてご紹介したいと思います。
先月から、スマホで星空を撮りながら様々な条件で検証してきました。

その結果がこちらです。画像処理は施していません。
天の川の姿を真ん中に捉えることができました。

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格安スマホ×100均の三脚で撮影した天の川

ペルセウス座流星群の時も多くの方々が手持ちでスマホを夜空に向けていましたが、それでは撮影することができません。星を撮るには三脚が必要です。

三脚といっても100均のスマホ用三脚があれば十分です。
あとは、第14回でご紹介した手順で撮影すれば問題ありません。
(新月記事第14回→http://spacemgz-telstar.com/4762
無題の図形描画

撮影手順(android)

ただし、機種によって撮影できないものもあります。
私のスマホはandroidの格安スマホですが、友人のiPhone(旧式)ではノイズが多く長時間露光(星空撮影)には不向きな印象でした。

夏休み、まだまだ星空撮影のチャンスはあります。是非お手持ちのスマホと100均の三脚で撮影してみてください。
ではまた新月の夜に。。。

Written by Shohei Utsumi

第14回 スマホで星空撮影

こんばんは!新月の夜がやってきました。
広い範囲で梅雨明けし、いよいよ夏本番ですね。
もうすぐ3台流星群の一つペルセウス座流星群も極大を迎えます。
今年の極大日(最も流れる日)は8月13日4時頃となっています。月がやや明るいので月没頃に観察することをお勧めします!
詳しいことは国立天文台のページをご覧ください。

国立天文台 星空情報2017年8月ペルセウス座流星群が極大
https://www.nao.ac.jp/astro/sky/2017/08-topics03.html
さて今夜の本題はほとんどの方がお持ちのスマートフォンで撮る星空です。
近頃、スマホに付いているカメラはかなり高性能になっています。カメラを趣味とする人からは「天体写真以外はスマホで問題なく撮影できる。」といわれるほど高性能です。(できないとすればあと望遠撮影ですかね。)それほどスマホのカメラと一眼レフカメラで撮影した写真との差は着実に縮まっており、技量差によってはスマホのほうが上に出てもおかしくありません。しかし、天体写真に限っては一眼レフの圧勝です。その勝因はノイズの少なさにあります。

スマホのイメージセンサー(人間でいう網膜のようなもの)は一眼レフのイメージセンサーよりも小さいため光を受け取る面積が小さくなります。そして、ノイズがセンサー内で一つ発生するとしたとき、小さいほうが大きいより影響を受けやすくなります。スマホの写真でノイズが多くなるイメージはこのような形です。

ノイズ量では一眼レフに適いませんが撮れないわけではありません。うまくいけば天の川を撮ることも可能です。
スマホで撮影する際に必要なものは二つ。「スマホ本体」と「スマホを取り付けられる三脚」です。
この2点を用意し、スマホのカメラを起動します。
起動をしたらまず、撮影設定をオートからマニュアルにしましょう。(※機種によってはなかなか設定画面にたどり着けないまたはない場合があります。)
マニュアルにしたらまずシャッタースピード(S)を最も長く、そして感度(ISO)を最も高くします。あとはピント合わせですが、これはある程度の慣れが必要です。三脚に固定したうえで遠くの鉄塔の明かりや月、明るい星を用いて光源が最も小さくなるようにピントを調整します。
ピント調整ができたら後はシャッターを押すだけです。このとき、ブレてしまわないよう、遠隔でシャッターを切るかタイマーできるようにするとブレずに撮ることができます。
無題の図形描画

何度も根気強く撮影していると流星やISS(国際宇宙ステーション)をも撮影することができるかもしれません。
是非、この夏休みに挑戦してみてください。

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スマホで撮影した夏の大三角(気持ち天の川も)
中央やや右がこと座のベガ、左下がわし座のアルタイル、中央上が白鳥座デネブ

いつか、スマホでも簡単に美しく星空を撮れる日が来るかもしれませんね。
ではまた新月の夜に!

第13回 機材の保管と管理

こんばんは!新月の夜がやってきました。
いよいよ梅雨本番。ジメジメとした日々が続き、天気もよくない上に夏至前後で夜の時間も短く、星を見るうえではあまり適さない時期です。
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梅雨入り後の晴れ間に@岡山県備前市

そのような事情もあり、今の時期は多くの人が機材のメンテナンスや修理を行います。メンテナンスをする機材がなくても今の高温多湿の環境下ではカビに注意しなくてはなりません。

しばらく使用していないレンズやカメラにはたまにカビが生えることがあります。レンズの内側にカビが生えてしまうと極めて厄介です。そうならないために、レンズ・カメラの保管方法を一度見直してみましょう。

カビをはやさないために最も重要なのが、「湿度を管理する」です。レンズ・カメラを保管するのに適しているといわれているのが30~50%です。しかし、日本は年間を通して平均湿度が70%を下回る地域が少ないうえに、梅雨の時期には平均湿度が80%を超えるところもあります。梅雨から夏の時期は気温もカビが好む温度に近いため、より注意が必要です。

梅雨は星空の写真をほとんど撮ることができません。そこで、メンテナンスする機材もないとなると暇ですよね?そこでお勧めしたいのが機材の自作です。天体写真は売られているものだけでは(値段的にも)カバーできないことも多々あります。そこで多くの方が自作されているのですが、最も汎用性が高いのがフードと第7夜でも紹介した「バーティノフマスク」です。バーティノフマスクはピントを合わせるうえでとても便利なもので、この機会に自作されてみてはいかがでしょうか?
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次回の新月は7月23日です。お楽しみに!

第12回 日本の星空環境

こんばんは!新月の夜がやってきました。

沖縄ではすでに梅雨入りしていますが、それ以外の地域では梅雨入り前の過ごしやすい日が続いていますね。星空の主役はもう春から夏の星座へ変わろうとしています。
水田にも水が張られ、田植えの時期真っ最中となっています。
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【星降る夜に】兵庫県養父市

突然ですが皆さん、天の川を見たことがありますか?
私は幼いころから星に興味がありましたが、天の川を見たのは大学入学後です。
日本の人口の70%は天の川の見られない地域に住んでいます。
世界平均は36%なので、世界的に見ても日本は天の川が見られない地域にあるといえます。
光害は星が見えなくなるだけでなく、生態系や人間への影響も懸念されています。
そのような中、5月22日毎日新聞にこのような見出しがありました。
「環境省「星空見やすさ」全国ランク作成へ 光害減少狙い」
これは、環境省が星の見やすさを客観的な指標として設け自治体が光害対策に取り組むきっかけとなることを目的としています。しかし、大都市はどうでしょうか?
これでは、地方都市や過疎地の自治体にしか効果がないようにも思えます。

都市部の光害対策の事例としてアメリカ フラッグスタッフが有名ですが、日本の都市部において光害対策に結び付けるにはどうすればよいでしょうか?
これまでも、市町村や県単位で光害に対する取り組みや、望遠鏡メーカー主催のライトダウンなどが行われていましたが、このような取り組みを知る人はほとんどいません。
まずは、ライトダウンの日には町のシンボルとなるタワーや橋のライトアップを取りやめるなどの取り組みが、光害対策後進国の日本には必要なのかもしれません。
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星を見上げるときは、この環境問題について考えてみてください。
未明には天の川が見ごろを迎えつつあります。どこか地方へお出かけの際は少し早起きをして満点の星をみてみては?

次回の新月は6月24日です。お楽しみに!

written by 打海 将平

第11回 春、夏、冬の大三角形

こんばんは!新月の夜がやってきました。
今回も天体写真の撮り方講座はお休みして、春、夏、冬の大三角形の写真をご紹介していきます。

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春の大三角形
撮影日:3月4日0時頃
撮影地:伊豆半島
しし座のデネポラ、うしかい座のアルクトゥルス、おとめ座のスピカを結ぶと春の大三角形となります。
ちなみにスピカの近くにある明るい星は木星です。

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夏の大三角形
撮影日:9月27日21時頃
撮影地:長野県白駒池
こと座のベガ、はくちょう座のデネブ、わし座のアルタイルを結んで夏の大三角形となります。
ちなみに七夕でおなじみのおりひめはベガ、ひこぼしがアルタイルです。

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冬の大三角形
撮影日:1月10日21時頃
撮影地:山中湖パノラマ台
オリオン座のペテルギウス、こいぬ座のプロキオン、おおいぬ座のシリウスを結ぶと冬の大三角形です。

いかがでしたでしょうか。どれもきれいな星空ですね。
せっかく星がきれいに見える新月の夜なので、皆さんもぜひ夜空を見上げてみてください。

次回は4月26日です。お楽しみに!

第10回 新月が地球・太陽と織りなす天文現象

こんばんは!新月の夜がやってきました。
今夜は地球の反対側、南米を中心に金環日食が起きています。満月のときに月食が起こることはよく知られていますが、新月のときに日食が起こることはあまり知られていないでしょう。それは、月食は月が出ているところ(地球の半分)で見られるのに対し、日食は月の影が地球に届いているところでしか見られないため、それほど意識されないからではないでしょうか?
無題の図形描画 (5)

月が地球に近いと皆既日食、遠いと金環日食となります。
(金環日食・皆既日食のどちらでもないぎりぎりの日食を金環皆既日食と言います。)

日食(月食)が新月(満月)の度に必ず見えるとは限りません。満月記事にもありましたが、覚えていますでしょうか?
それは、地球の公転軌道に対し、月の公転軌道が約5度傾いているためでしたね。
地球と月の公転面

さて、先日の満月記事でも日食について触れられていましたが、せっかくなのでもう少し触れておきましょう。

ベイリー・ビーズ

ベイリー・ビーズ金環日食及び皆既日食、金環皆既日食の開始直前、終了直後に見られる現象です。1836年の日食時にイギリスの天文学者ベイリーさんが、欠け際に光がビーズの様にとぎれとぎれに漏れているのを見つけたため、ベイリービーズと名付けられています。
皆既日食のダイヤモンドリングは有名ですが、こちらの現象にも着目してみてください!
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日食で確かめられた一般相対性理論

皆既日食の際に星が見られるようになるのは新月記事でも紹介されていましたが、その星が見えることによってあることが確かめられます。それは一般相対性理論(一般相対論)です。一般相対論についてはここでは書ききれませんが、ここで予想されていたのは太陽の重力場により太陽の裏側にある星の光が曲げられ本来見えないはずの星が見えるといったものです。実際に1919年の日食時にこれが確かめられ、一般相対論が確かめられた現象の一つとなっています。
皆既日食 のコピー

いかがでしたでしょうか?日食はなかなか見ることができない現象ですが、日食に魅せられて世界各地を飛び回り、日食を撮影・観測する日食ハンターと呼ばれる方もいます。人を魅せてやまない天文現象「日食」。皆さんも一度はみてみてください。

次回は3月28日です。お楽しみに!

※今回は予告内容と異なる内容です。前回予告した内容はまた次号以降にご紹介します。

written by 打海将平

第9回 望遠撮影の難しさ

今年最初の新月です。いまさらですが、あけましておめでとうございます。
寒い日が続きますね。撮影地は氷点下10℃以下になっていることでしょう。。。

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 初日の出

さて、今夜は望遠撮影をしてわかる難しさについてご紹介します。

高価な機材が多い

望遠撮影となると、口径が大きく明るいレンズや望遠鏡、赤道儀など高価な機材が多くなってきます。安い機材で撮影していると、あまり星雲が浮かび上がってこない。迫力があるものが撮れないなどの理由で「高価な機材しか天体写真は撮れない。」という人もいますが、果たしてそうでしょうか?確かに、高価で性能のいいレンズや望遠鏡であるほど良いものが撮りやすく、より暗い天体まで撮影することができるようになります。しかし、一眼レフのレンズキットについてくるようなレンズであっても十分撮ることは可能です。以下の写真(左)はeos70dとレンズキットの55-250mmレンズで撮影したオリオン大星雲です。1年前に撮影したものですが、時間をかけて撮ればそれなりに十分な写真となるのではないでしょうか?とはいっても、やはり高価な望遠鏡などには敵いません。カメラレンズで撮影したとき(左)は1枚当り最大5分撮影にかかっているのに対し、右の望遠鏡で撮影したもの(右)は1分です。左が時間をかけ過ぎているというのもあるのですが、それだけ口径が大きく集光力(どれだけ光を集められるか)に優れた望遠鏡は短時間で良い写真が撮れると言えます。

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オリオン大星雲
 (左:キットレンズ、右:望遠鏡)
 ※色の違いはカメラのフィルター改造によるものです。

ノイズが気になる

望遠撮影の場合、星雲や星団を対象とすることも多いでしょう。星雲や星団は淡いものが多く、露光時間を長くするか、感度(ISO)をあげなければなりません。そうなると、撮影された写真にノイズが多くなり星雲の淡い部分がノイズに埋もれてしまうことも多くあります。
記事の中で作例のデータに総露光時間とあるのに気付きましたか?「総」とあるように露光時間の合計を表しています。ただ、写真を足し合わせるのではなく加算平均合成と呼ばれる処理を用いてノイズを減らしています。
天体写真に写るノイズには通称「ランダムノイズ」と「定常ノイズ」の大きく分けて2種類のものがあり、加算平均ではランダムノイズを軽減することができます。仕組みは簡単、名前通りランダムに出てくるノイズを同じ露光時間で何枚も撮って平均化してしまおう!というものです。
以下の写真を見ての通り、左の写真ではざらざらしているのに対し、右ではざらざら感が抑えられ、星の周りのガスがよりはっきりとみられるようになっています。
第3夜のインターバル撮影(図)と同じ要領で同じ対象を10枚以上撮影するとより見栄えのいい写真となります。
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新月記事第3夜 http://spacemgz-telstar.com/3347


その他にも望遠撮影は様々な難しいところ、うまくいかないところなどがあります。
それは機材が重いことであったり、視野が狭く精度が求められるなど様々な要因があります。
特に、最初は追尾できていたのに途中から星像が伸びてしまった、そもそも最初からうまく追尾できないなどということはよくあります。そうなると、一つ一つどこがまずいのか確認していくしかありません。そのためにも、ただインターバル撮影を延々とするのではなく、30分や1時間に一度しっかりとれているかチェックしましょう。


次回は記念すべき?第10夜です。
来週は天体写真からちょっと外れて、星々に魅せられた人とその思いをご紹介したいと思います。
お楽しみに!

written by 打海将平

第8回 追尾撮影(望遠) 実践

こんばんは!
今夜は今年最後の新月です。クリスマスも過ぎ、いよいよ今年も残りわずかですね。

前回は追尾撮影(望遠)のおおまかな注意点をご紹介しました。今夜は実際に撮影をするにあたっての注意点と撮影の方法などをご紹介したいと思います。

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 ハート星雲(IC1805)
 望遠鏡を用いた追尾撮影(望遠)
 総露光時間(撮影時間):2時間30分

望遠鏡・望遠レンズを用いて追尾撮影するⅡ

カメラをセットする

レンズにもよりますが、望遠レンズは比較的重く、大きなものが多いです。ちょっとクランプが緩んでいたりすると徐々にカメラがずれて行ったり、回ってぶつけてしまうこともあるかもしれません。特に寒い時期は手がかじかんでしまい力が入りにくくなるため、クランプの緩みには注意が必要です。

バランスを取る

カメラの重量が重くなると赤道儀にもそれだけ負担がかかってきます。その負担をなくすよう、ウェイトなどでバランスを取らなけらばなりません。広角でも大事な項目ですが、望遠レンズなどの重いレンズや望遠鏡では特に重要です。

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 バランスを取るのための5ステップ

 

対象の天体に向ける

電動で対象とする天体を導入できる赤道儀であれば微動も調節でき簡単ですが、ポータブル赤道儀などではカメラの方向を手で変えなければなりません。ズームレンズ等である程度広角まで引けるなら難易度は下がりますが、単焦点もしくは望遠鏡となるとなかなか難しいものです。ポータブル赤道儀でよく使われる自由雲台で広角と同様、向きを変えようにもその望遠と重さでなかなか思い通り行かないことも多いです。私の場合、250㎜でも苦労します。慣れてしまえば自由雲台でもいいでしょうが、自由雲台では難しいという方には、回転雲台がお勧めです。自由雲台は文字通り自由に動きますが、回転雲台を取り付けると赤経、赤緯の2軸をそれぞれ別々に動かせるので比較的思い通りの方向へ向けやすいと思います。
(回転雲台は赤道儀の赤経軸の回転のバランスを取るタイプの場合のみ、赤経軸に直接雲台を取り付けるタイプでは使えません。回転雲台では重さのバランスが崩れにくいといった利点もあります。)

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 自遊雲台・回転雲台 取り付けに使う機材
 回転雲台は部品が多いため、それぞれの接続をしっかり確認するようにしましょう。

 

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 回転雲台使用時の可動部
 回転雲台であれば1軸ずつ動かせるので写真にあるような重く、大きいレンズでも比較的簡単に思い通りの向きに向けることが可能です。

 

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 自遊雲台のバランス崩れ(例)

いかがでしたでしょうか?望遠の追尾撮影ができれば本で見たことのあるような写真でも簡単に撮影することができます。
※今回の例ではポータブル赤道儀+カメラレンズでしたが、赤道儀+望遠鏡でもほとんど同じです。
次回(1月28日)は実際にシャッターを切っていくところからと望遠撮影ならではの難しさについてご紹介したいと思います。
お楽しみに!
良いお年を!来年もよろしくお願いします。

written by 打海将平

第7回 追尾撮影の準備(望遠撮影編)

こんばんは
今月は新月が2回ありますので、新月記事も今月2度目です。これが満月ならブルームーン(Blue Moon)と呼ばれるそうですよ!
さて、関東の方ではすでに雪が降るなど寒くなってきました。観測地の多くは山奥や内陸になるのですが、凍結には注意が必要です。スタッドレスタイヤやタイヤチェーンがあれば問題ないのですが、それほど雪の振らない地域の方々でお持ちの方は多くありません。そこで、ノーマルタイヤで行けるか不安な場合にはその自治体の観光協会に聞いてみるのも一つです。ただ、山の天気は変わりやすく突然雪が降り出すこともあるため、天気はこまめにチェックしましょう。

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 ちょっとした耐寒訓練…(カメラ・望遠鏡...ほとんど凍ります。)
 @岡山県備前市

望遠鏡・望遠レンズを用いて追尾撮影する

前回では広角レンズを用いた追尾撮影をご紹介しました。広角撮影でセッティングの精度や追尾精度が悪く困ることはそうありません。しかし、望遠撮影になるとセッティングにある程度の精度が求められるだけでなく、様々なことが原因で正常に追尾されずイライラすることがあります。
今回はその改善と予防をご紹介します。


ピント合わせ

望遠になるとピント調節が難しくなります。撮影時に会っているように思えても、後からPCで確認するとピントが甘いことがあります。また、向きを変える際にも少し触れただけでピントがずれることもあるので、望遠撮影時は対象天体を変えるごとにピント調節を行いましょう。ただ、対象天体の周辺に明るい星がないと合わせにくいこともありますが、そこは慣れか、他の明るい星で調節後に対象天体に向け直すしかありません。
また、望遠鏡など焦点距離等が固定になっている場合や、よく使う焦点距離の場合にはバーティノフマスクを使うとピント調節がより精度よく行うことができます。第7夜では詳しくご紹介しませんが、バーティノフマスクのつくり方は簡単ですので是非挑戦してみてください。

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バーティノフマスク(自作です。)


極軸合わせ

広角撮影では大雑把でもよかった極軸合わせですが、望遠になるとその分追尾精度が重要になってきます。そのため極軸望遠鏡内のパターンスケールを理解し、極軸合わせはしっかり丁寧に行いましょう!本番撮影を始める前に追尾できているか、試し撮りをお忘れなく!

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 スカイメモRS 極軸望遠鏡のパターンスケール
 (北極星、こぐま座δ、ケフェウス座51番星を使うタイプ)


追尾してくれない…

しっかりと極軸合わせをしたはずなのに追尾してくれない…私もよく経験します。
そこでまず疑うべきは極軸合わせの精度です。もう一度極軸合わせをやり直してみましょう!
そして次は、しっかりとクランプ(固定するネジのようなもの)をしっかりと締めているか。
コントローラーの追尾モードは正しいか?電源は入っているか?もしくは残量が少なくないか?
などなど、思い当たるものを一つずつ当たってみるしかありません。
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星の形がちょっとおかしい

写っている星の形が丸ではなくひし形の様に少しだけ長く伸びることがあります。これは風によりカメラのストラップやコントローラー類、望遠鏡が揺れている場合があります。このような場合には、風が弱いところに移動するか車で風を防ぎ撮影するようにしましょう。風がとても強い日は望遠撮影に向いていません。

いかがでしたでしょうか?
望遠撮影は準備段階でも慣れないと少し難しいかもしれません。それでも、それら困難を乗り越え満足のいく写真を撮ることができればうれしいものです。次回(12月29日)は実際に撮影をする方法などをご紹介します!お楽しみに!