2015年8月 MONTHLY TELSTAR NEWS

今日は8月31日。「明日は始業式だー!まだ宿題が終わってない!どうしよう!」なんて高校生もいるのでしょうか??

さて月末ということで、Twitterアカウント「TELSTAR宇宙情報(@telstar_news)」で毎日呟いているニュースの中から、反応が大きかったものや、重要なニュースを10個選びました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今月の注目ツイートは…

[漫画] 衛星ガール(1) (ヤンマガKCSP) 穐山 きえ  http://t.co/5OK1RElt38  “空き缶は、リサイクルして人工衛星(カンサット)に!” TELSTARの広告も掲載させて頂きました!2015/8/6発売
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僕も買って読ませていただきましたが、カンサット製作過程のドタバタ感がおもしろかったです。
巻末のTELSTAR広告に是非注目してみてください!

来月はどんなニュースがあるのでしょうか?
今から楽しみです!

第1回アポロ計画

 こんばんは、植田です。今晩は満月ですね!実は2018年は皆既月食が1年に2回見れる年だということをみなさん知っていましたか?
今日から2018年に向けて毎回満月の日に、「満月記事」と題した月に関する話題を紹介していきたいと思います。月探査や月に関する神話などなど…。みなさん、これから毎回満月の日には、ぜひTELSTARのHPをのぞいてみてくださいね!

 記念すべき満月記事第一回目は、宇宙開発の中でもよく知られている「アポロ計画」!史上初の月面着陸を成功させたアポロ11号が有名ですよね。しかし、アポロ11号以外についてはあまりよく知られていません…。実はアポロ11号以外にもたくさんの成果があるのです。そこで今回は、アポロ計画が始まった経緯と概要を追っていきましょう。

アポロ計画が始まるまで

 アポロ計画が始まった1961年、アメリカとソ連は宇宙開発競争の真っただ中でした。そこでまずは、アポロ計画が開始されるまでの月探査の歴史を見ていきたいと思います!

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月探査打ち上げ年表

 特に、月面観察を主な目的としたアメリカの3つの無人探査計画「レインジャー計画」、「サーベイヤー計画」、「ルナ・オービタ計画」は、月面軟着陸の成功や月面地図の作成など、アポロ計画を行う上で非常に大きな役割を果たしました。これらミッションの成果によって、有人月探査であるアポロ計画の大きな成果にもつなげることができたのですね!

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アポロ11号の打ち上げ ©NASA

アポロ計画、始動。

突然ですがみなさん、アポロ計画はもともと有人宇宙船の月面着陸を目標とする計画ではなかった、ということを知っていますか?本来のアポロ計画は有人宇宙船を月軌道上にのせるというもので、着陸までは計画に組み込まれていなかったのです。しかし1961年5月25日、アメリカのケネディ大統領(当時)がある歴史的な演説を行いました。それは、1960年代が終わるまでに人間を月面に送り無事に地球に帰還させる、というもの。この演説により、アポロ計画は有人宇宙船の月面着陸を成功させる計画へと変更されました。
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アポロ宇宙船 ©NASA

アポロ計画って?

 アポロ計画では1972年の終了時には17号までが打ち上げられ、13号を除く11~17号の計6回が月面着陸に成功、月面に立った宇宙飛行士は12人となりました。アポロ11号が月面着陸を成し遂げるために、1~10号までは色々なテストが行われました。初の有人宇宙飛行を予定していた1号で事故が発生したため、その後しばらくは無人での打ち上げとなり、初めて7号で地球軌道上での有人飛行が行われました。

 多くの成果をあげたアポロ計画でも、途中大きな事故が二つ起きています。一つ目は、アポロ1号を打ち上げる発射台での火災により、宇宙飛行士3名が犠牲になったこと。二つ目はアポロ13号において酸素タンクが軌道上で爆発したことです。幸い13号は無事に帰還することができました。この帰還もまた、アポロ計画の大きな偉業として称えられています。

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月着陸船のランデブー ©NASA

 このように、ひとくちに「アポロ計画」と言っても、多額の資産と人材が投じられた大規模なミッションであり、着目する点がたくさんあります。次回9/28(月)の満月記事では、アポロ計画の中でも特に重要なアポロ宇宙船の打ち上げと着陸方法について取り上げます。宇宙船を打ち上げたのは当時世界最大のロケット、「サターンV」です。凄いのはもちろん大きさだけではありません。次回をお楽しみに!

第2回 TELSTAR CAFE開催のお知らせ

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「宇宙の話が通じる友達がいない…」
「TELSTARってどうやって作ってるんだろう?」
「宇宙のことはよくわからないけど、少し興味がある…!」

そんなあなたのために、TELSTARがスタートさせた「TELSTAR CAFE 」!

毎号TELSTARの特集に沿ったテーマで行い、「宇宙を語る場所」としてTELSTARメンバーと宇宙ファンの中高生達のための1日限りのCAFEを開店します!

そんな「TELSTAR CAFE」の第2回は横浜にて開催します。(第1回の模様はこちら
今回は8号の特集”宇宙建築”と”衛星運用”をコンセプトにさまざまなコンテンツをご用意。宇宙マニアから、なんとなーく星を観るのが好きなんていう人まで、幅広くお待ちしております!

<日時>

9月19日(土)13:00-17:00

<場所>

レンタルスペース「かどべや」
横浜市中区石川町5-209-3
http://koto-lab.com/kadobeya/

<コンテンツ>

①月面基地CG
TELSTAR Vol.8とWebにて掲載された月面基地CGをプロジェクターに投影しながらの製作者戸塚氏の解説
②手作り人工衛星体験
人工衛星製作体験キットLittle Bitsの製作体験
③フリートーク
TELSTARメンバーや来場した宇宙ファンたちと宇宙を自由にアツく語る!
(もちろん宇宙詳しくない方にもわかりやすくトピックを紹介します!)

ご来店の申し込みはこちらから!↓

https://goo.gl/miKny6
君も、TELSTAR CAFEで宇宙を語ろう!!

[ WEB限定企画 ] 図解で迫る宇宙開発(4)2014年、ロケットの打ち上げ頻度は?

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▲How often did each country launch rockets 2014?(クリックして拡大)

2015年8月19日に種子島から「こうのとり」5号機を載せたH-ⅡBロケットが打ち上げられましたが、2014年のロケットの打ち上げについてまとめました。

日頃、ニュースなどで耳にするロケットの打ち上げは、実際どこで誰がどんな風に行っているのか、TELSTARらしく図解しながら、4回に分けて迫ってみたいと思います。(第一回はこちら第二回はこちら第三回はこちら

ロケットを一度打ち上げてから、次に打ち上げられるようになるためには、ロケット自体の準備や射場の整備、衛星を射場に運んできて行う最終チェックなど、通常数か月必要です。

にも関わらず、ロシアはそれよりも高い頻度でロケットを打ち上げています。
つまり、射場とそれぞれの射場の中にある発射台の数が多く、ロケットの種類がたくさんあるということ。

12月のロシアは、なんと15日以降の半月で7機のロケットを(5種類のロケットを3つの射場から)打ち上げています。

日本は今、種子島と内之浦の2つの射場を持っており、ロケットの種類は3種類。世界の壁はまだまだ高そうです。

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▲ロシア・バイコヌール宇宙基地。赤丸で囲んだ部分が発射台。たくさんあることが分かる
(http://www.nasa.gov/mission_pages/station/structure/elements/baikonur.htmlより)

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▲日本の種子島ロケット発射場の射点。赤丸で囲んだ二つが発射台。
(Google Earthより)

○関連記事
▽第1回 2014年、ロケットはどこから打ち上げられたの?
ROcket

▽第2回 2014年、ロケットはどこに行った?
さいご-01

▽第3回 2014年、ロケットはいくつ衛星を運んだの?
ROcket0809-05-01-01

○参考にしたサイト
http://www.sed.co.jp/tokusyu/rocket_2014.html
http://www.nasa.gov/mission_pages/station/structure/elements/baikonur.html

○一口宇宙飛行士募集中!
TELSTARでは、活動をご支援をいただける方を募集しています。
詳しくは、こちらをご覧ください。

[うちゅうけん!+]世界最強の望遠鏡とセンサーを作る -首都大学東京 江副研究室

研究室紹介

皆さん、暑い中いかがお過ごしでしょうか。
さて、前回に引き続きオープンキャンパスに行こうと迷っているアナタに、大学の紹介をしたいと思います。
第3回は首都大学東京です!

首都大学東京 江副研究室では、人工衛星に搭載する装置の研究・開発から、打ち上げ後の人工衛星の運用、さらには観測したデータを基に宇宙物理の研究まで行い、日々宇宙の謎の解明に挑んでいます。
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TELSTAR vol.7でX線という光(電磁波)をだす天体があることを紹介しました。(詳しくはTELSTAR vol.7をご覧ください)
この研究室では、X線をだす天体を観測するX線天文衛星の望遠鏡やセンサーの開発に携わってきました。
この研究室で開発している次世代に向けた望遠鏡やセンサーは世界最高級の性能を発揮しています。例えば、MEMSという小さなものを加工する技術を応用して作られた世界で最も薄くて軽いX線望遠鏡や、超伝導を利用してX線のエネルギーを測るセンサーを開発しています。

望遠鏡
画像:真ん中に写る円盤が世界最軽量のX線望遠鏡。その下に写っているのが、超電導を利用してX線のエネルギーを測るセンサー(提供:江副研究室)

上で紹介したような装置を開発して、人工衛星に搭載し、得られたデータを基に、日々研究を行っています。

自分たちの手で

1962年、アメリカの大学生たちが自分たちの手で作ったX線望遠鏡で、太陽以外の天体がX線を発していることを発見しました。それまでは、太陽からしか観測可能なX線が受けられないと思われていたのが、ほかの天体も非常に強いX線を発していることがわかったので、天文学業界は大騒ぎです。これが、X線天文学の始まりです。今でも、当時と変わらず自分たちの手で装置を開発し観測するという文化が根付いています。
そこで江副研究室でも、自分たちの手で装置を開発することを大事にしています。

現場で学ぶ

装置を開発するためには、ものづくりの知識が必要です。しかし、この研究室の学生は、ものづくりの授業は受けていません。全て現場で学んでいます。衛星開発は自転車や自動車などのものづくりと違い、宇宙に打ち上げてしまうと修理ができないので、失敗が許されません。

打ち上げる前にテストを何度も行い、万全の状態で打ち上げます。その経験は授業では学べません。やはり、現場での経験が最も大事だと考え、江副先生は現場で学ぶことを大切にしています。また、自分たちで開発することで、お金や時間を節約することもできます。

世界最高の装置を開発する意義

江副先生は、世界最高にこだわっています。新しい成果を出すためには、今まで以上に高性能な観測装置の開発が必要です。高性能な観測装置の開発競争は世界中で起きています。その中で、江副研究室では超伝導や小さなものを加工する技術を駆使して、世界でトップレベルの性能の装置を開発しています。開発に成功した今でも、さらなる性能の向上をもとめて、日々研究を行っています。

今後やっていきたいこと

これまで江副研究室は、すざくやASTRO-Hなどの大型衛星の装置の開発に携わってきました。しかし、大型衛星を開発するには長い時間と多額の資金が必要です。あまりにも長い時間がかかってしまうと、学生は一つの衛星の「開発」、「打ち上げ」、「観測したデータの研究」、のすべての現場を体験することはできません。その解決策として最も江副先生が注目しているのが、小型衛星の開発です。開発期間が短く費用も安い小型衛星ならば、学生は卒業までにすべての現場を経験できるようになります。

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まとめ

宇宙の謎は毎日少しずつ解明されています。
そしてまた、謎の解明とともに、新しい謎も生まれています。
そんな新しい謎を解明するためには、今までにないような高性能の観測装置の開発が必要となることを江副先生に教えていただきました。
しかもそんな世界最高の観測装置を大学で学生が開発していることにとても驚きました。
ぜひみなさんも世界最高を目指して、大学で研究してみてはどうですか?

アクセス

首都大学東京 南大沢キャンパス 8号館229号室
〒192-0397 東京都八王子市南大沢1-1
Tel 042-677-2493

オープンキャンパス

平成27年8月16日(日)
開催時間は10時00分~16時30分(受付は15時まで)
予約は不要です。(予定)
詳しくはHPで!
http://www.tmu.ac.jp/entrance/faculty/open_campus.html

[ WEB限定企画 ] 図解で迫る宇宙開発(3)2014年、ロケットはいくつ衛星を運んだの?

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▲How many satellites did each rocket carry 2014 ?(クリックして拡大)

2015年7月23日にロシアから油井宇宙飛行士を載せたソユーズロケットが打ち上げられましたが、2014年のロケットの打上げについてまとめました。日頃、ニュースなどで耳にするロケットの打上げは、実際どこで誰がどんな風に行っているのか、TELSTARらしく図解しながら、4回に分けて迫ってみたいと思います。(第一回はこちら第二回はこちら

 第二回で説明したように、載せる衛星の用途によって、ロケットの行き先にはいろいろあります。行き先が同じなら、タクシーのように相乗りするのがオトクです。

所定の軌道に到着したロケットは、先端に載せた衛星を桃太郎のようにパッカーンと放出します。

最近では”小型衛星”と呼ばれる質量100kg以下の衛星が数多く作られており、相乗りで安く打ち上げられています。
特に上の図で目立つのは小さいアメリカの国旗。実はこれ、Flock-1という同じ設計の衛星です。Planet Labsという会社は2014年だけで、68機のFlock-1を打ち上げました。
多くの衛星で地球を覆うことで、ほぼリアルタイムに地球を観測することができるようになるのです。

次回は、2014年に各国がロケットをあげた頻度について紹介します。

棚に並べられたFlock-1
▲棚に並べられて、打上を待つFlock-1 Photo:Planet Labs

Flock-1で撮影した写真
▲Flock-1で撮影した写真 Photo:Planet Labs

○参考にしたサイト
http://www.sed.co.jp/tokusyu/rocket_2014.html
http://www.spaceflight101.com/cygnus-orb-1-cargo-manifest.html
http://www.sorae.jp/030801/5119.html
http://www.kosmotras.ru/en/launch15/
http://www.isro.gov.in/launcher/pslv-c23
https://www.planet.com/flock1/

○関連記事
▽第1回 2014年、ロケットはどこから打ち上げられたの?
ROcket

▽第2回 2014年、ロケットはどこに行った?
さいご-01

▽第4回 2014年、ロケットの打ち上げ頻度は?
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○一口宇宙飛行士募集中!
TELSTARでは、活動をご支援をいただける方を募集しています。
詳しくは、こちらをご覧ください。

8号特集・宇宙建築 研究者十亀昭人に迫る

東海大学で宇宙建築について研究されている、十亀昭人准教授にお話しを伺ってきました。8号には掲載しきれなかった分も含めたロングインタビューです。

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TELSTAR vol.8 十亀准教授インタビュー

宇宙建築研究者 十亀昭人准教授

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ソガメ折りを手に持つ十亀昭人准教授

――先生が大学生の頃から宇宙建築に取り組んでいたのですか?

私は、大学は建築学科でした。宇宙建築をやろうと思った理由は、その頃”宇宙の建築家”とも言われていた三浦公亮先生の、ミウラ折りをテレビで見て感動したからです。

大学4年で宇宙建築をやりたくなり、卒業設計では『重港』という作品を設計しました。
月面でドーナツ状の円周部が回転することにより、月面重力と遠心力が合わさり、重力がかかるというものです。外側ほど地球の重力に近くなるため、例えば月から地球に帰るときなど、重力に慣れるという意味でリハビリに使うこともできます。
当時(20年前)は宇宙建築などあまりメジャーな研究分野でなく、詳しい先生もいなかったため、卒業設計も学科の先生方に「なんだこれは!」と言われてしまいました。
image2 重港(月面人工重力発生施設)
重港(月面人工重力発生施設)

――大学を出た後はどうされたのですか?

その後、建設会社に7年間勤めました。宇宙建築と聞くと、月面や火星に大きなプラントが広がる光景などを想像する方も多いと思いますが、そのような計画はバブル時代に、大手建設会社がいくつか発表をしていて、私も7年間そういった業界で働いていました。宇宙建築の啓蒙という意味では良いことだと思いますが、技術的に問題も多く、そのうちにもっと真剣に学問として宇宙建築をやりたくなりました。しっかりと基礎研究をするには企業ではなく大学のほうがいいと思ったんです。

――先生が取り組んでいる研究を教えてください。

展開構造物の研究をしています。展開構造とは、小さく折り畳んだ構造物を展開することで、大きな構造物を構築するための技術です。日本には折り紙の文化がありますよね。なので、展開は日本が貢献できる分野だと思います。

こちらが、私が考案したソガメ折りです。
image3 ソガメ折り
ソガメ折り

これを利用した研究が2つあります。

一つ目は小惑星捕獲です。
NASAの小惑星捕獲のイメージ動画があるのですが、どうやって捕獲するためのものを折りたたんで持っていくか、展開するのかということころを描いていません。柔らかい素材であったとしても必ず開くことが出来なければならないため、整然と折りたたまれていなければなりません。
捕獲に使用する大きな筒状の構造物にソガメ折りを利用することにより、折り畳んだ状態で筒を小惑星まで持っていくことができます。
これによって、資源の宝庫である小惑星を、有力な資源として利用できるのです。

[動画] ソガメ折り小惑星捕獲

二つ目はデブリ(宇宙ゴミ)シールドです。
今のISS(国際宇宙ステーション)は1cm以下のデブリは防御でき、10cm以上のものは地上から観測ができます。じゃあその間の大きさのデブリが当たったらどうなるのでしょうか。そう、場合によっては中にいる宇宙飛行士の命に関わるような事故につながってしまうかもしれないのです。
そこでISSの周りにデブリシールドを取り付けることによって、1~10cmのデブリも防ぐ、あるいは1cm以下に砕いて小さくすることができます。
デブリシールドも小惑星捕獲の場合と同じく、ISSそのものの半径より大きな物を折り畳んで小さくして持っていく必要があるため、ソガメ折りを使用できると考えています。
image4 ISSのデブリシールド
ISSのデブリシールド

展開構造以外の主な研究に、宇宙避難があります。
例えば地上だとオフィスビルなどで火災があったときの避難の方法などは確立され、何十年にもわたって技術が蓄積されていますが、ISSなどの宇宙施設で人が3次元的に移動できる場合の災害の避難シミュレーションは地上ほど確立されていません。今のISSのように数人ではなく、将来、多くの人が宇宙に住むようになったら、避難の方法も変わってきます。
また、NASAでは災害が起きたら一旦電源を落とすというルールもあるため、暗い中で触っただけで避難の方向がわかる手すりなども必要となるでしょう。このようなことも踏まえて現在日本防災研究所の佐々島暁さんらと研究に取り組んでいます。

実験的に色々な避難方法を試すために、大学のプールの中に私たちが作ったISSと同じサイズのフレームを入れ、学生が海パン姿で研究を行っています!
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学生による水中実験の様子

――宇宙建築はすごく幅が広いのですね?

その通りです。
一言で宇宙建築といっても、ゼネコンがやっていたような巨大な構想から、展開構造物の研究、設備、環境、構造、材料・・・と、様々な分野の研究が求められていますね。

――最後に先生の目標を教えてください!

確率は低いかもしれないけれど、恐竜が絶滅したように地球が今後どうなるかはわかりません。地球に何かあった時、例えば宇宙に拠点があれば、生命や文明をまもるという意味で、未来へ人類が築いてきた英知がつながる可能性があります。そんな研究がちょっとずつでもできたらと思っています。
また、宇宙から建築に、建築から宇宙に、興味を持ってくれる人が増えてほしいですね。宇宙建築学はこれからの学問なので、学問としてのチャンスがいっぱい広がっていて、始めた人がトップになれる可能性があるんです!

—————-
画像提供元:十亀昭人准教授
東海大学工学部建築学科准教授 十亀昭人
東海大学湘南キャンパス 十亀研究室(宇宙建築学教室) http://homepage3.nifty.com/arch2003/index.html

 

 

関連記事:8号特集・宇宙建築とびらの秘密、大公開!

[ WEB限定企画 ] 図解で迫る宇宙開発(2)2014年、ロケットはどこに行った?

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▲How far did rockets travel from Earth 2014 ?(クリックして拡大)

2015年7月23日にロシアから油井宇宙飛行士を載せたソユーズロケットが打ち上げられましたが、2014年のロケットの打上げについてまとめました。日頃、ニュースなどで耳にするロケットの打上げは、実際どこで誰がどんな風に行っているのか、TELSTARらしく図解しながら、4回に分けて迫ってみたいと思います。(第一回はこちら

第二回の今回は打ちあがったロケットがどこにいったのかに迫ります。

最も多かったのはサブオービタルと呼ばれる地球に戻ってくる軌道でした。大気圏の観測などを行う実験ロケットや、ミサイル(ミサイルもロケットの一つなんです。)などがこの軌道に投入されます。
次に多かったのが地球周回の低軌道。近くで地球を観測したい場合に、この軌道に打ち上げられます。宇宙ステーション(ISS)もこの軌道にあり、一年を通して宇宙飛行士や必要な物資を運ぶためにロケットが打ち上げられています。
静止軌道には28機の衛星が打ちあがりました。静止軌道はその名の通り、地球からみて静止してみえる、つまり地球の自転と同じ速さで周回する軌道です。常に日本の雨雲を観測していたい気象衛星ひまわりや、衛星放送などの衛星がこの軌道に属します。
2014年地球の外に出かけて行ったのは2機で、1つは日本のはやぶさ2、もう一つは中国の月探査機です。

なぜ、ロケットの行き先(軌道)がいろいろあるのでしょうか?それは、軌道によって使い道が違うからです。

低軌道は地球に近いため、地球をよく見ることができる地球観測衛星や宇宙での技術的な試験に用いられます。
静止軌道は地球の自転と同じ速度で赤道面上を回転するので、地球からみてずっと同じところに衛星が見えます。そこで、自分の国をずっとみていて欲しい通信衛星や気象衛星を打ち上げることが多いです。
ただし、ロシアなど高緯度の国では赤道面から遠くなるので、中軌道や低軌道にいれることもあるようです。

次回は、目的の軌道までたどり着いたロケットが、いくつの衛星を運んだのかを紹介します。

○関連記事
▽第1回 2014年、ロケットはどこから打ち上げられたの?
ROcket

▽第3回 2014年、ロケットはいくつ衛星を運んだの?
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▽第4回 2014年、ロケットの打ち上げ頻度は?
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○参考にしたサイト
http://www.sed.co.jp/tokusyu/rocket_2014.html

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TELSTARでは、活動をご支援をいただける方を募集しています。
詳しくは、こちらをご覧ください。

[うちゅうけん!+]天文観測は南極で!-筑波大学宇宙観測研究室-

みなさん、南極が宇宙の謎を解明するためにとても重要な場所である、ということを知っていましたか。筑波大学宇宙観測研究室では、国土地理院のつくば32m鏡やアルマ干渉計、野辺山45m鏡などの望遠鏡を用いて、銀河や遠方宇宙の観測、研究を行っています。その観測的研究の中で研究室が最も力を入れている研究が、「南極天文学」です。
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筑波大学宇宙観測研究室のみなさん

研究テーマ

それでは、「南極天文学」とはどういったものなのでしょうか。今回は南極天文学の開拓者である中井直正教授と研究室の学生に、お話を伺いました。

地上最高の天文観測地

研究室では、10m級のテラヘルツ望遠鏡を南極に設置する計画を進めています。テラヘルツ波とは周波数の高い電波で、大気中の水蒸気にすぐ吸収されてしまうため、地上にはほとんど届いていません。
一方、標高が高い南極では大気中の水蒸気が非常に少ないため、テラヘルツ波も大気に吸収されることなく地上に届きます。南極はテラヘルツ波を観測できる絶好の場所なのです。また同じ理由で、既にある電波望遠鏡で観測可能な電波についても、地上で最高条件の観測環境にあります。すなわち南極は、「地球上で最も天文観測に適している場所」ということができます。
ではなぜ、テラヘルツ波の観測が必要なのでしょうか。宇宙観測研究室では銀河の観測も行っていますが、一口に銀河といっても色々な種類が存在します。渦を巻いている円盤状のものや、楕円状のものなどです。なぜ銀河には色々な種類があるのか、形や性質が違うのか。それを知るためには、銀河がどのように生まれたのか、どのように大きくなったのかを調べる必要があります。そこで期待されるのが、テラヘルツ望遠鏡です。テラヘルツ望遠鏡は他の望遠鏡と比較してより遠方の宇宙観測を行うことができます。よってテラヘルツ望遠鏡を使用することで、銀河の形成や進化の謎が解明されると考えられています。

望遠鏡完成予想図
テラヘルツ望遠鏡完成予想図

南極の厳しい環境

南極といえば、寒い!というイメージがありますよね。南極の最低気温はなんと-80℃。最高でも-20℃ほどで、平均では-50℃という寒さ。そんな極寒の地で、観測に影響はないのでしょうか。
その答えは「大いにある」とのこと。
まず、望遠鏡を-80℃でも耐えられる素材で作る必要があります。一般的に用いられている鉄の合金は気温が下がると強度も低くなってしまうからです。
また一見問題なさそうなのですが、南極は年間を通してほとんどの日が晴れている、ということも重要です。放射冷却が起きることで主鏡面(アンテナの表の面)の温度が周囲よりも下がり、アンテナに霜が付いてしまいます。するともちろん、観測は不可能です。これを防ぐにはアンテナを温めなければなりません。南極で電力を得るためには自家発電が必要ですが、南極での自家発電は非常に困難です。

そして最後に、テラヘルツ望遠鏡の設置場所である新ドームふじ基地についてです。基地は標高3,800m地点に建設予定なのですが、3,800mのうちのほとんどは氷でできており、その表面は雪におおわれています。望遠鏡は70~100トンの重さがあるので、やわらかい雪の上に置くと土台が不安定になり傾く恐れがあります。望遠鏡は目的の天体にしっかりと向いていることが重要なので、傾かない、あるいは傾いても補正できるようなシステムが必要です。

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ドームふじ基地の位置

今後の展望

南極は今後の天文観測の重要な拠点として発展していくのでしょうか。今回お話を伺って、日本あるいは世界の天文学の新しい発展のためには、南極での観測が不可欠であることが分かりました。南極は地上最高の観測地ということですね!
現在宇宙観測研究室では10m級テラヘルツ望遠鏡実現を目指していますが、その後は30m級テラヘルツ望遠鏡の開発も検討しているそうです。

〈先輩方に聞きました!〉

なぜ宇宙観測の研究分野を選択したのですか?

みなさん共通していたことは、小さいころから宇宙に興味があったということ!小学生のころから天文学の本を読むなどしているうちに、宇宙関係に進みたい、とおのずと考えるようになった方もいれば、大学院進学時に研究室を調べている中で、ぜひやってみたい!ここしかない!と感じた、という方もいました。

学生は研究室でどのようなことをしているのですか?

学年によっても異なりますが、実際に観測を行っている人や、カメラやアンテナなどの観測に必要な機器を作っている人もいます。今回お話を伺ったみなさんは修士1年ということで、現在は具体的な研究よりも勉強が主だそう。望遠鏡、干渉計の仕組みなど、電波天文学を学ぶ上で必要なことを勉強しているようです。

大学院修了後、どのような進路を希望していますか?

観測手段として学ぶプログラミングを用いたデータ解析のスキルを利用できるような職業に就く、あるいは、電波について学んでいるので新しいレーザーの開発をしてみたい、などを挙げていただきました。研究室で学んだことを生かしたい、その中でも宇宙に関するものに携わりたい、と考えているそう。

宇宙観測研究室に入って良かったと思う瞬間や研究室の魅力を教えてください

理論系よりも実験系の研究室は人数が多く、周りの人から影響を受けることが多いようです。同級生で学会の発表を準備している人などもいて、色々な刺激を受けることも。
また最近、みなさんで国土地理院32m鏡表面のアンテナ部分にのぼったそうです。
この研究室ならではということですが、なかなか出来ない経験ですよね。面白そうですね!

高校生へのメッセージをお願いします!

「南極天文学が実現し10m望遠鏡が南極に設置されれば、一気に天文学が広がります。天文学はこれからまだまだ発展していく分野なので、宇宙開発に携わりたいと思って大学に入学すれば、できることはたくさんあります!何か夢があったり、大学で専門的に学びたいと考えていたりするなら、ぜひ積極的に行動してください。」

「宇宙というのは複合的な分野。宇宙への関わり方は一通りではないので、どういう風に宇宙と関わっていきたいのかまで考えられると、自分の目標も見えてくるはずです。そしてそのことには、できるだけ早いうちから気づいてほしいと思います。」

「学校で教わることを信用しすぎてはいけません。先入観や固定観念を持たずに、自分の頭で考えることが大切です。また、クラブ活動などにも参加して、高校生活を充実させてください。」

まとめ・感想

宇宙とはそれほど関係が無いように思える南極。しかし南極なくして今後の天文観測を語ることは出来ないようですね。環境が厳しいために技術面の課題はありますが、それ以上に南極天文学には魅力があります。現在はまだ見つかっていない遠方の銀河が発見されることは、より昔の宇宙を知ることに繋がるからです。謎が多い宇宙だからこそ、何か新しいことが解明されるのはとても楽しみです!高校生のみなさん、宇宙観測研究室に入れば、10m、30m級のテラヘルツ望遠鏡設置に立ち会えるかもしれません!
ちなみに学生(大学院生)が南極に実際に出向くとなると、授業や論文、安全性の面から、夏隊のみが可能で、越冬隊にはなれないそうです。残念ですね…。

南極天文学参加大学

南極天文学は筑波大学が推進していますが、国内の機関や大学とも共同で研究を行なっています。参加大学は、東北大学、関西学院大学、北海道大学、埼玉大学、立教大学、金沢大学、日本大学、新潟工科大学です。

宇宙観測研究室で研究したい!

筑波大学理工学群物理学類に入学しましょう。筑波大学では4年次で卒業研究のために研究室に配属されます。
あるいは、大学院で数理物質科学研究科の物理学専攻への入学でも可能です。他大学から入学された方も多くいらっしゃるそうです。宇宙観測研究室は実験系の研究室ですが、大学では理論系の研究をされていた方もいます。

筑波大学オープンキャンパス

2015年度の筑波大学オープンキャンパスは8月1日(土)、2日(日)、8日(土)の3日間で行われます。*理工学群物理学類は8日。
みなさん、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。
オープンキャンパスについて詳しくはこちら

研究室へのアクセス

つくばエクスプレス「つくば駅」にてバス6番乗り場から「筑波大学中央」または「筑波大学循環」(右回り左回りともに可)のバスに乗車。
「第1エリア前」バス停で降りる。バス停近くにある12階建ての総合研究棟Bの4階。