第7回 追尾撮影の準備(望遠撮影編)

こんばんは
今月は新月が2回ありますので、新月記事も今月2度目です。これが満月ならブルームーン(Blue Moon)と呼ばれるそうですよ!
さて、関東の方ではすでに雪が降るなど寒くなってきました。観測地の多くは山奥や内陸になるのですが、凍結には注意が必要です。スタッドレスタイヤやタイヤチェーンがあれば問題ないのですが、それほど雪の振らない地域の方々でお持ちの方は多くありません。そこで、ノーマルタイヤで行けるか不安な場合にはその自治体の観光協会に聞いてみるのも一つです。ただ、山の天気は変わりやすく突然雪が降り出すこともあるため、天気はこまめにチェックしましょう。

img_20160208_055522-1
 ちょっとした耐寒訓練…(カメラ・望遠鏡...ほとんど凍ります。)
 @岡山県備前市

望遠鏡・望遠レンズを用いて追尾撮影する

前回では広角レンズを用いた追尾撮影をご紹介しました。広角撮影でセッティングの精度や追尾精度が悪く困ることはそうありません。しかし、望遠撮影になるとセッティングにある程度の精度が求められるだけでなく、様々なことが原因で正常に追尾されずイライラすることがあります。
今回はその改善と予防をご紹介します。


ピント合わせ

望遠になるとピント調節が難しくなります。撮影時に会っているように思えても、後からPCで確認するとピントが甘いことがあります。また、向きを変える際にも少し触れただけでピントがずれることもあるので、望遠撮影時は対象天体を変えるごとにピント調節を行いましょう。ただ、対象天体の周辺に明るい星がないと合わせにくいこともありますが、そこは慣れか、他の明るい星で調節後に対象天体に向け直すしかありません。
また、望遠鏡など焦点距離等が固定になっている場合や、よく使う焦点距離の場合にはバーティノフマスクを使うとピント調節がより精度よく行うことができます。第7夜では詳しくご紹介しませんが、バーティノフマスクのつくり方は簡単ですので是非挑戦してみてください。

%e7%84%a1%e9%a1%8c%e3%81%ae%e5%9b%b3%e5%bd%a2%e6%8f%8f%e7%94%bb-2
バーティノフマスク(自作です。)


極軸合わせ

広角撮影では大雑把でもよかった極軸合わせですが、望遠になるとその分追尾精度が重要になってきます。そのため極軸望遠鏡内のパターンスケールを理解し、極軸合わせはしっかり丁寧に行いましょう!本番撮影を始める前に追尾できているか、試し撮りをお忘れなく!

img_3957
 スカイメモRS 極軸望遠鏡のパターンスケール
 (北極星、こぐま座δ、ケフェウス座51番星を使うタイプ)


追尾してくれない…

しっかりと極軸合わせをしたはずなのに追尾してくれない…私もよく経験します。
そこでまず疑うべきは極軸合わせの精度です。もう一度極軸合わせをやり直してみましょう!
そして次は、しっかりとクランプ(固定するネジのようなもの)をしっかりと締めているか。
コントローラーの追尾モードは正しいか?電源は入っているか?もしくは残量が少なくないか?
などなど、思い当たるものを一つずつ当たってみるしかありません。
%e7%84%a1%e9%a1%8c%e3%81%ae%e5%9b%b3%e5%bd%a2%e6%8f%8f%e7%94%bb-3


星の形がちょっとおかしい

写っている星の形が丸ではなくひし形の様に少しだけ長く伸びることがあります。これは風によりカメラのストラップやコントローラー類、望遠鏡が揺れている場合があります。このような場合には、風が弱いところに移動するか車で風を防ぎ撮影するようにしましょう。風がとても強い日は望遠撮影に向いていません。

いかがでしたでしょうか?
望遠撮影は準備段階でも慣れないと少し難しいかもしれません。それでも、それら困難を乗り越え満足のいく写真を撮ることができればうれしいものです。次回(12月29日)は実際に撮影をする方法などをご紹介します!お楽しみに!

第16回 ウルトラスーパームーン

こんばんは。今月も満月の夜がやって来ますね。11月の満月は、68年ぶりの特別な満月。何が特別なのか…?今夜も月についてお話しましょう。

 

img_3632

(画像:NASA/LRO/ geckzilla)

 

月が近づく??

1ヶ月に約1回満ちる月。満月は、太陽 地球 月の順番に並んだときの、地球に見せる全面が照らされた月のことをいいます。その大きさが、その月々によって違うように見えるのは、ご存知でしょうか?

月は約1ヶ月に1回、自転しながら地球の周りを公転しています。その公転軌道が綺麗な円ではなく楕円形をなしているため、それらの位置関係によって“見かけの”大きさは半年に1回という周期で変化しています。月が地球に近いほど大きく見え、遠いほど小さく見えるというわけです。また、地球や太陽などの重力の相互作用によって、1番地球に近づく点(近地点)と1番地球から遠ざかる点(遠地点)も少しだけ違ってきます。

ちなみに、この距離の変化はあの「日食」に関係してきます。日食は太陽 月 地球に一直線上に並んだ時に起こる現象ですが、月が近くにある時は太陽が全て隠れる「皆既日食」、遠くにある時は太陽が月の周りにはみ出している「金環日食」となります。

 

スーパームーンって?

 

「スーパームーン」という言葉、みなさんおそらく耳にしたことがあると思います。「スーパームーン」とは、前項でお話した“見かけの”大きさが、1年のうちで最大になるときの満月のことをいいます。そのため、実は「スーパームーン」自体は珍しい現象ではありません。しかし、今回ほど地球に近づく「ウルトラスーパームーン」となるのは1948年の1月25日以来、68年ぶりのことなのです!次にこれほどまで近づくのは2034年。大きくなった月を見てみたくはないですか?

 

img_3783

(画像:国立天文台 天文情報センター)

 

月における錯覚

 

ところで、みなさんは「今日はスーパームーンでもないはずなのにすごく月が大きい!」と感じたことはありませんか?そしてその時、月は低い位置にあったのではないでしょうか?

月は、地球上のビルや木など近くにあるとき、大きく見えます。これは、物理的に月が地球に近づいているというわけではありません。月の手前にあるビルや木と相対的に比較して見ているので、大きいと錯覚しているのです。通常の大きさのりんごでも、大きな手の人が持てば小さく見えてしまいますよね。それと同じような原理です。

 

img_3779

(画像:halfrain)

 

まとめ

 

今夜は、月が大きく見える2つの要因についてお話しました。つまり、「ウルトラスーパームーン」を最も楽しむことができるのは、公転軌道の形や重力の相互作用、相対的な見え方の違いによって大きくなった11月14日、その月がのぼり始めた頃。明日、18時頃といったところでしょうか。

68年ぶりの大きな月。せっかくの月のショー、お友達や家族と見上げてみませんか?

 

what’s 満月記事

 

TELSTARは日本で皆既月食が2度見れる2018年を“W皆既月食year”と名付けました。
私たちは日本中の皆さんが、月に様々な思いを巡らせて見上げられるように満月記事をお届けしてまいります!

参考: http://www.nao.ac.jp/astro/sky/2016/11-topics02.html

TELSTAR CLUB~国立天文台へ取材に行こう!~

こちらのイベントは募集定員に達したため、締め切らせていただきました。
次のイベントにご期待ください。

TELSTAR CLUBとは

「宇宙の話をしたい!聞きたい!」
「TELSTARってどうやって作ってるんだろう?」
「宇宙のことはよくわからないけど、少し興味がある…!」

そんなあなたのために、TELSTARがスタートさせた「TELSTAR CLUB」

「宇宙を語る場所」として、TELSTARメンバーと宇宙ファンの中高生達が交流するためのCLUBです!

今回は、2013年に完成したアルマ望遠鏡を使って世界最先端の研究をしている、国立天文台へお邪魔し、取材をさせて頂きます。
取材後は記事を制作し、TELSTARのホームページや冊子に掲載します!

TELSTARの冊子が普段どのように作られているのか、のぞいてみたくありませんか?
冊子を作る過程でのドキドキ、ワクワク、ヒヤヒヤなど楽しさや大変さを一緒に体験しましょう!

取材のやり方などは事前講習を行い、TELSTARメンバーがしっかりサポートするので大丈夫です。
宇宙の研究室に行ってみたい人、取材して記事を書いてみたい人はぜひご応募ください!

日時 12月10日(土)
場所 国立天文台三鷹キャンパス
対象 中高生(定員10名)
申込締め切り 11月18日(金)
問い合わせ telstar.club@gmail.com
お申し込み https://goo.gl/forms/bVvhN78Y9e7mICEh2

第6回 追尾撮影の準備と実践(広角)

こんばんは
秋も深まり朝晩の冷え込みも厳しくなってきました。冷え込み、乾燥するため星が綺麗に見えるようにもなりましたね!ただ、近畿では晴天率が低くなかなか星が撮れないので残念です。

img_7077-ori
兵庫県神戸市

赤道儀を選ぶ

追尾撮影をするために必須となる機材が「赤道儀」です。最近では様々な赤道儀が売られており、安価なものでは数万円から高価なもので百万円を超すものもあります。高いものを買えばいい写真は撮れやすいですが、安くていいものを選ぶのも重要です。
例えば、広角レンズで撮るだけでいい場合であれば、比較的安価なポータブル赤道儀でいいでしょう。安ければ5万円以下のものもあります。ただ単に安いものではなく、持ち運ぶ方法や撮影環境などを考えて選びましょう。最近では多くの赤道儀がネット上でレビューされていますので、レンズの焦点距離と追尾精度についての評価を見ていくのもいいと思います。

img_3528-lr-pp
☆彡撮影データ☆彡
 EOS70D(改造無), SIGMA 10-20mm F3.5 EX DC,固定撮影
 f3.5,ss60[s],10mm,ISO-2500
 撮影地:奈良県 大台ケ原

極軸合わせ

いくらいい赤道儀でも極軸合わせが正確でなければ機能を発揮できません。極軸合わせとは、赤道儀の回転軸(極軸)を天の北極と南極を結んだ線と平行にすることを言います。なんだか難しそう…と思われるかもしれませんがそんなことはありません。北半球で極軸合わせをする際に使う天の北極とは北極星の方向です。北半球では北極星を用いて極軸合わせを行います。極軸合わせは広角であれば回転軸を大雑把に北極星の方向へ向けるだけでも撮ることはできますが、覗き穴や極軸望遠鏡を用いて回転軸を北極星の方向へ向けます。特に極軸望遠鏡を用いるとより正確に極軸合わせをすることができますが、北極星は天の北極から少しずれているので、極軸望遠鏡内に書かれている文字や図に従って極軸合わせを行います。最初は難しいかもしれませんが、慣れると簡単なものです。

img_3543-lr
極軸望遠鏡(Vixen SX2)

実際に撮影してみる(広角)

最初から望遠鏡や望遠レンズで撮影するのも難しいので、最初は広角レンズ等で撮影してみましょう。固定撮影では30秒~60秒程度の露光で止めていましたが、追尾して撮影できるため極軸があっていればいくら露光時間を伸ばしても流れずに写ることになります。とはいっても夜空も街明かり等で若干明るいので伸ばし過ぎると白く飛んでしまいます。最初は露光時間を3分~5分、感度を1000~2000で撮ってみてその場の空の状態に合わせて露光時間等の設定を変えてみてください。固定撮影では撮れなかった写真が簡単に撮ることができ、より天体写真が楽しくなってくるはずです!

orion-ori-tri
☆彡撮影データ☆彡
 EOS Kiss X7i(改造), EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS STM
 スカイメモRSで追尾撮影
 f5.6,ss310*3[s],10mm,ISO-1600
 撮影地:山口県山口市

さて、いかがでしたでしょうか?高価な機材を買わなければならない…極軸合わせが難しそう…と思われるかもしれませんが、固定撮影では物足りないと思った方には是非挑戦していただきたいものです!!
次回(11月29日)は望遠レンズや望遠鏡を用いた追尾撮影についてご紹介します。お楽しみに!