第9回 望遠撮影の難しさ

今年最初の新月です。いまさらですが、あけましておめでとうございます。
寒い日が続きますね。撮影地は氷点下10℃以下になっていることでしょう。。。

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 初日の出

さて、今夜は望遠撮影をしてわかる難しさについてご紹介します。

高価な機材が多い

望遠撮影となると、口径が大きく明るいレンズや望遠鏡、赤道儀など高価な機材が多くなってきます。安い機材で撮影していると、あまり星雲が浮かび上がってこない。迫力があるものが撮れないなどの理由で「高価な機材しか天体写真は撮れない。」という人もいますが、果たしてそうでしょうか?確かに、高価で性能のいいレンズや望遠鏡であるほど良いものが撮りやすく、より暗い天体まで撮影することができるようになります。しかし、一眼レフのレンズキットについてくるようなレンズであっても十分撮ることは可能です。以下の写真(左)はeos70dとレンズキットの55-250mmレンズで撮影したオリオン大星雲です。1年前に撮影したものですが、時間をかけて撮ればそれなりに十分な写真となるのではないでしょうか?とはいっても、やはり高価な望遠鏡などには敵いません。カメラレンズで撮影したとき(左)は1枚当り最大5分撮影にかかっているのに対し、右の望遠鏡で撮影したもの(右)は1分です。左が時間をかけ過ぎているというのもあるのですが、それだけ口径が大きく集光力(どれだけ光を集められるか)に優れた望遠鏡は短時間で良い写真が撮れると言えます。

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オリオン大星雲
 (左:キットレンズ、右:望遠鏡)
 ※色の違いはカメラのフィルター改造によるものです。

ノイズが気になる

望遠撮影の場合、星雲や星団を対象とすることも多いでしょう。星雲や星団は淡いものが多く、露光時間を長くするか、感度(ISO)をあげなければなりません。そうなると、撮影された写真にノイズが多くなり星雲の淡い部分がノイズに埋もれてしまうことも多くあります。
記事の中で作例のデータに総露光時間とあるのに気付きましたか?「総」とあるように露光時間の合計を表しています。ただ、写真を足し合わせるのではなく加算平均合成と呼ばれる処理を用いてノイズを減らしています。
天体写真に写るノイズには通称「ランダムノイズ」と「定常ノイズ」の大きく分けて2種類のものがあり、加算平均ではランダムノイズを軽減することができます。仕組みは簡単、名前通りランダムに出てくるノイズを同じ露光時間で何枚も撮って平均化してしまおう!というものです。
以下の写真を見ての通り、左の写真ではざらざらしているのに対し、右ではざらざら感が抑えられ、星の周りのガスがよりはっきりとみられるようになっています。
第3夜のインターバル撮影(図)と同じ要領で同じ対象を10枚以上撮影するとより見栄えのいい写真となります。
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新月記事第3夜 http://spacemgz-telstar.com/3347


その他にも望遠撮影は様々な難しいところ、うまくいかないところなどがあります。
それは機材が重いことであったり、視野が狭く精度が求められるなど様々な要因があります。
特に、最初は追尾できていたのに途中から星像が伸びてしまった、そもそも最初からうまく追尾できないなどということはよくあります。そうなると、一つ一つどこがまずいのか確認していくしかありません。そのためにも、ただインターバル撮影を延々とするのではなく、30分や1時間に一度しっかりとれているかチェックしましょう。


次回は記念すべき?第10夜です。
来週は天体写真からちょっと外れて、星々に魅せられた人とその思いをご紹介したいと思います。
お楽しみに!

written by 打海将平

第18回 月が震える

こんばんは、今月も満月の夜がやってきましたね。遅らばせながら、新年明けましておめでとうございます!今夜は2017年の満月初めです。

さて、今夜は月震についてお話しします。
“月震”という言葉、みなさん聞いたことはありますか?
英語では“moonquake”。地球で起こる“地震”(英語では“earthquake”)の月バージョンのことです。

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【地震とは??】

地震は、地球のプレートの移動や火山の活動の影響によって起こります。日本列島は世界最大の海溝である日本海溝のすぐ近くに位置しているため、地震が頻繁に起こり「地震大国」と言われています。

ここでプレートのでき方を確認しておきましょう。まず、地球はH2Oが固体液体気体の3態で存在することができる“ハビタブルゾーン”という領域に位置しています。太陽系の惑星のうち唯一、水が液体として存在する惑星です。この水が、プレートのでき方に大きく関わってきます。

SiO2など、地球の岩石・岩盤は水と接触することでその部分の強度が下がり、岩盤に小さなひびが入ります。そして、ひびに水が侵入していくこと、マグマが対流していることの影響でそのひびを大きくしていくようになります。こうしてプレートが沈み込む海溝ができ、マグマが冷えてプレートが形成される海嶺ができます。その循環プレートの移動が起こり、地震・火山活動の原因となるのです。

【月震とは??】

ということは、液体の水が存在しないためプレートの移動も存在しない月では、月震は起こり得ないのではないでしょうか…?
実際は、そうではありません。月震と地震のメカニズムは大きく違っており、月は地球とは違った原因で大地を震わせるのです。
その震わせ方は、大きく分けて4つあります。
まず1つ目は、「深発月震」。文字通り、月の深いところで起こる月震です。原因はよくは分かっていませんが、小さな地震が月の自転公転と同じ29.5日の周期で起こるため、地球の潮汐力と関係があるのではないかと言われています。
2つ目は、「浅発地震」。月の表面の浅いところで起こる月震です。こちらも原因はよく分かっていません。観測例が少なく、規模は地球でいうマグニチュード3〜4と大きいことが特徴です。
3つ目は、「熱月震」。震え方がとても小さいのですが、月の昼と夜の温度差によって、月の表面が音を出しながら起こる月震です。月は大気がほとんどないため、地球のように保温効果がなく、月の表面温度は昼は摂氏約123度、夜は約-223度、その温度差約300度にもなります。
4つ目は、「隕石の衝突」。厳密にいうと、外部からの影響のため月震とは言い難いかもしれませんが、月の大地を震わせる一因です。月に大気がほとんどないため、隕石が燃焼しないまま表面に衝突するのです。

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また、地球の地盤には水分が含まれているため、クッション代わりとなって揺れの規模を小さくしたり、揺れの継続時間を短くしてくれます。対して、月の地盤には水分が含まれていないので、揺れが減衰せず時には数時間揺れがおさまらないこともあるようです。それが月面上のミッションや月面生活などに支障をきたしてしまうこともあります。

【まとめ】

こんなに身近な天体、月でさえも、分からないことがあるんですね。幾度かのアポロ計画で月に5つ月震計が置かれ、1977年まで月表面の振動や音を測定していました。現在もそれらのデータの解析が行われています。
月震のデータをもとに、これからどんどん月のことが分かっていくのかもしれませんね!これからの発展に期待しましょう!

【what’s 満月記事】

TELSTARは日本で皆既月食が2度見れる2018年を“W皆既月食year”と名付けました。
私たちは日本中の皆さんが、月に様々な思いを巡らせて見上げられるように満月記事をお届けしてまいります!!