第15回 スマホで天の川は撮れるのか?

こんばんは。新月の夜がやってきました。
もうすぐ夏が終わりますが、天気が良くない日が続きますね。。。
天の川をほとんど撮ることなく終わりそうです。
中には今日、アメリカでの皆既日食を撮影しに行ってる人もいるかもしれませんね。

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ペルセウス座流星群の夜に…@岡山県備前市

今夜は先月号に続き、スマホで天体写真についてご紹介したいと思います。
先月から、スマホで星空を撮りながら様々な条件で検証してきました。

その結果がこちらです。画像処理は施していません。
天の川の姿を真ん中に捉えることができました。

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格安スマホ×100均の三脚で撮影した天の川

ペルセウス座流星群の時も多くの方々が手持ちでスマホを夜空に向けていましたが、それでは撮影することができません。星を撮るには三脚が必要です。

三脚といっても100均のスマホ用三脚があれば十分です。
あとは、第14回でご紹介した手順で撮影すれば問題ありません。
(新月記事第14回→http://spacemgz-telstar.com/4762
無題の図形描画

撮影手順(android)

ただし、機種によって撮影できないものもあります。
私のスマホはandroidの格安スマホですが、友人のiPhone(旧式)ではノイズが多く長時間露光(星空撮影)には不向きな印象でした。

夏休み、まだまだ星空撮影のチャンスはあります。是非お手持ちのスマホと100均の三脚で撮影してみてください。
ではまた新月の夜に。。。

Written by Shohei Utsumi

ispaceがルクセンブルク政府と連携、月面探査が活発に

日本の民間宇宙企業ispaceが、ルクセンブルクの「SpaceResources.lu」計画に参加することを発表しました。宇宙資源開発の分野で外国政府と連携するのは日本で初めてのことです。

ispaceは”宇宙を人類の生活圏にする”というビジョンを掲げています。月にある水や月面を覆うレゴリスという砂などの調査を行い、月資源の活用を目指しています。現在は主に、月面探査車(ローバー)の開発に取り組んでいて、月面探査レース「Google Lunar XPRIZE」に出場中の日本チーム「HAKUTO」の運営も行っています。

「SpaceResources.lu」計画は、ルクセンブルク政府による、宇宙資源を商業に利用するための支援計画です。ルクセンブルク科学技術研究所(LIST)が中心となり、諸外国と連携して月や小惑星などにある宇宙資源の開発を行っています。今回の発表によると、LISTが開発した、物質を特定しその質量も測ることができる質量分析計を、ispaceが開発するローバーに搭載します。月にある水の分布をマッピングしたり、レゴリスの成分を測定したりすることが目的です。

では、月の資源はどのように利用されるのでしょうか?例えば、水を水素と酸素に分解することで、月面から打ち上げるロケットの燃料に利用できます。また、レゴリスは焼き固めることで、レンガやガラスとして月面基地の資材に利用できます。他にも鉄やアルミニウムといった鉱物があり、月での利用はもちろん、地球に届けて使うことも考えられます。

ispaceとルクセンブルクのように国際的な協力や技術の進歩によって、月面開発は急速に進んでいます。月に採掘場やロケットの発射台ができ、宇宙船が地球と月を行き来する時代は近いかもしれません。そんな時代を目指すispaceの活躍に期待です。
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アポロ11号から見た、地球が月の水平線から昇る瞬間
Image Credit:NASA

凍りづけから動物を守るタンパク質
~ISS「きぼう」における氷の結晶成長実験~

2013年11月から約半年間、ISSの「きぼう」船内実験室において、JAXAと北海道大学は宇宙の微重力環境で氷の結晶がどのように成長するかを観察する実験を行いました。この実験によって、寒冷環境に住む動物体内の水が凍らないしくみが明らかになろうとしています。

結晶成長
図1 左から右へと氷の結晶が成長していく様子。氷の結晶が成長していく過程は非常に複雑で、それゆえに世にも美しい形状を作り上げることが知られている。Image Credit: JAXA

 氷点下の環境に住む魚が凍結せずに生きられるしくみの謎を解き明かすためには、”不凍糖タンパク質”と呼ばれるタンパク質が大きな鍵を握っています。今回の実験から、不凍糖タンパク質を含んだ水はある特定の方向に対して純水の3~5倍の速さで結晶が成長することが分かりました。「結晶の成長を速くする」と聞くと一見、水の凍結を促進しているように思えるかもしれません。しかし、ある一点に向かう方向に結晶成長を押し進めることで氷の結晶を小さく収め、結果的に凍結を抑制しているのです。

結晶成長 模式図
図2 不凍糖タンパク質を含む水中で氷の結晶が成長する速さを表した図。矢印の方向が異なる3種類の面は成長する速度がそれぞれ異なり、不凍糖タンパク質の作用で氷の結晶が小さく収まるように調整される。Image Credit: JAXA

 今回のような実験を地上ではなく、あえて宇宙で行うことには大きな理由があります。氷の結晶が成長するのを観察するにあたって、外部からの刺激は天敵です。特に問題となる「対流」は熱を伝えるために起こる流体の流れであり、地上の重力が原因で起こる現象です。このような理由から、微重力下で実験を行うことで、より精密な結果を得られるのです。
 今後、凍結を防ぐ働きを持つタンパク質のメカニズムが解明されることによって様々な分野への活用が期待されています。まず、寒冷環境に住む動物がいかに寒さに負けず生き残るか、その戦略を解明するための第一歩となります。また、食品分野や医療分野においても、冷凍食品の品質や臓器移植における臓器などの保存に利用できると考えられています。
 宇宙から私たちの生活へ。遠い存在に思える宇宙が身近に感じられる仕事の一例として、これからいっそう注目が集まるトピックとなるでしょう。

第24回 月の岩石

月の岩石

皆さんこんばんは。今月も、満月の夜がやってきました。
夏も後半に入り、明け方にはもう初冬の星座である牡牛座がよく見えます。また、今週末8/13にはペルセウス座流星群が極大を迎えます。ぜひ、御覧になって下さいね!

【月の石の正体】

わたしたちに1番近い天体、月。そんな月でも、まだまだ分かっていないことがたくさんあります。今夜は、少しずつ分かってきた「月の石」の謎についてお話します。

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出典: ESA Article Images

「月の石」と聞いて、皆さんはどのようなことを思い浮かべるでしょうか?神秘的、あるいは、非現実的、遠い存在…。
実は、月の海の部分を構成する岩盤の岩石は、地球の海の岩盤と似た岩石から成っているのです。
その岩石は、「玄武岩」。地球の場合、若い頃に起こった無数の原始惑星の衝突によるエネルギーによって地表が溶け、マグマオーシャン(マグマで表面が覆い尽くされた状態)ができ、それが冷やされて玄武岩質の地殻が形成されたと言われています。
月の場合もまた、マグマオーシャンができ、それが直接冷やされることによって、玄武岩質の地殻が形成されたという説があります。
このように、地球と月の地殻には共通点が見つかるんですね。

ではここからは、地球と月の違う点について見てみましょう。
例えば、地球には月に見られない花崗(かこう)岩質地殻があるということ。これは大陸で主に見られる岩石です。プレートの沈み込み帯で水を含んだ玄武岩が高温に晒されて部分的に溶け、それが再び固まることで形成されることが実験的に知られています。地球の海溝は、そのようなメカニズムを恒常的に生み出すことができる、「花崗岩の工場」なのです。つまり、地球の大陸地殻の花崗岩は、地球特有の大量の水を持つ海と沈み込むプレートの賜物なのです!
また、月には大気がほとんどありません。地球には、十分な引力がないためです。またそれによって、岩石に含まれる揮発成分(カリウムやナトリウムなど)が宇宙へ逃げていってしまいます。月の岩石は、地球の岩石よりもそれらの割合が少なくなってしまっているのです。これが、地球と月の岩石の大きな差です。

月は、地球とは全く違うものに思えますが、似通った点も少なからずあるのですね。そう考えると、月もなんだか身近に感じませんか??今夜も、満月に思いを馳せてみてください。

ではまた、満月の夜に。

参考:Essentials of Geology 11th ed. /F.K.Lutgens E.J.Tarbuck

ジオスペース探査衛星「あらせ」、いよいよ観測開始!

「あらせ」定常運用へ移行

2016年12月20日に打ち上げられたジオスペース探査衛星「あらせ」が、軌道上で衛星システムの確認と、搭載していた九つの観測機器の立ち上げを完了したため、観測を開始しました。

「あらせ」の目的は、ジオスペースにあるヴァン・アレン帯と呼ばれる領域で高エネルギー粒子を観測することです。ジオスペースとは地球周辺の宇宙空間のことです。太陽が放出するプラズマの流れである太陽風の影響を、ダイレクトに受ける場所でもあります。その中でもエネルギーの高いイオンや電子が集まっている放射線帯を、発見者の名前をとってヴァン・アレン帯と呼びます。ヴァン・アレン帯についてはまだはっきりとわかっていない部分があり、「あらせ」はそれを明らかにするための衛星です。

何故ヴァン・アレン帯を調べるのかというと、宇宙天気予報に役立てるためです。宇宙天気は主に人工衛星に影響を与えます。例えばヴァン・アレン帯で太陽風が乱れると、高エネルギー粒子に囲まれた人工衛星は異常動作を起こすことがあります。人工衛星は天気予報や通信など、私たちの生活に欠かせないものとなっています。ヴァン・アレン帯の調査、高エネルギー粒子の変動メカニズムの解明は人工衛星の安全な運用につながり、私たちの生活に役立ちます。

ヴァン・アレン帯での調査における重要な課題の一つに放射線があります。「あらせ」は強い放射線に耐えつつ高精度の観測を行うために放射線耐性の高い部品や材料、放射線シールドの採用などの工夫をしています。

あらせによるヴァン・アレン帯の調査は、未来の人工衛星の安全な運用につながります。また、「あらせ」に搭載された九つの観測機器と放射線対策には、最先端の技術が詰め込まれており、ヴァン・アレン帯の調査だけでなく将来の宇宙開発にも大いに役立つことでしょう。あらせの今後に期待ですね。