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宇宙開発の若手ワークショップ NEXT SPACE潜入レポート!

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8/18(日)に日本橋にあるX-NIHONBASHIにて行われた「宇宙開発の若手ワークショップ『NEXT SPACE』〜アポロ着陸50年後の今を生きる〜」にTELSTARとして潜入してきました!

「NEXT SPACE」は今回で第3回目の開催となります!毎回、 第一線の宇宙の現場で働く若手エンジニア・ 研究者をゲストに招き、自分がどういうことをやっているかを発表していただき、 その後ディスカッションタイムや懇親会を設けているイベントです。今回も宇宙への興味を持つ、子供から大人まで幅広い層の人が参加していました!


登壇者の発表・質問コーナー・懇談会と色々な人のやっていることが分かり、つながりを広げるのにうってつけでした!


第3回のゲストは元NASA/JPLエンジニア、国際宇宙ステーション内部宇宙ロボットベンチャーエンジニア、現役のJAXA研究者の3人です。


さあ!会場に人も増え、会場の熱気が高まってきたところで

イベントスタートです!


まずはイベント主催のYspace代表、川崎 吾一さんの事業内容の発表です。


Yspaceは、VRを用いて宇宙開発を行っている宇宙ベンチャーです。川崎さんはHAKUTOという月面探査のプロジェクトを行なっていたのですがインドのロケットが飛ばず、月にローバーを送ることができませんでした。「なんでみんな時間をかけてこんな頑張ってるのに宇宙に行けないんだ…!」という悔しい思いを胸に、宇宙開発を促進し、開発スピードを上げられるものは何か、と考えた時にXR(VRやARなどの総称)というものに着目したそうです。そして、Yspaceを立ち上げエンタメや教育を通じて色々な人に宇宙を体験してもらい、人と宇宙をつなぐ体験を提供しています。

他にも、Yspaceは月の地形のデータを取る衛星を利用して、実際の月の地形情報を利用しているのが特徴です。それをつかって様々なシュミュレーションにもXRを利用しています!




そして次は

株式会社Astroscaleでソフトウェア・リードエンジニアをやられているガイ・ナットさんの発表です!なんと元々NASAジェット推進研究所(JPL)エンジニアもやられていたそうです。


実はこのガイ・ナットさん経歴がすごいんです!

大学を卒業してから米国任天堂に就職、その後仕事をやめて、宇宙業界に入りたいという思いのもと、ワシントン大学の大学院で情報工学と航空宇宙工学を勉強されたそうです。また、学生時代はJPLやspaceX、HAKUTOのインターンもしていました。大学院を卒業した後はNASAのJPL正社員になったそうです。そしてJPLを退職し、宇宙ベンチャーAstroscaleで働いているそうです。


Astroscaleは宇宙ゴミを回収しようとしている会社です。使われなくなった人工衛星などの宇宙ゴミが漂い続けるとロケットが打ち上げられなくなってしまうなどの問題が発生してしまうため、回収の開発を進めています。宇宙ゴミの軌道をずらして大気圏で燃やすそうです。つまり、宇宙の掃除屋さんなんです!



色々な開発の話を聞けたのですが、個人的に面白かったのはJPLで働いていたときにいたOpsLabの話です!OpsLabは操作研究所のことで、3次元の可視化や遠隔でのロボット操作ソフトを作ったりしています。OpsLabはVRやARなど最新のハードウェアを用いることでいままで解決できなかった問題を解決しようとしています。

特にすごいなと思ったのがOnSightというもので、火星の表面をホロレンズというものを用いることで火星の3次元モデル上を実際にいるように歩き回ることができるんです。

これを使うことで、地質学者の人たちが本当の火星の表面を見ることができ、実際に新たな発見が出来たりと、様々な話し合いができているそうです!




そして次は

JAXA宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所(以下、「宇宙研」) にて

プロジェクト研究員を務めている坂本 勇樹さんです。



坂本さんがこれまで研究していたのは液体水素だそうです。「え?なんで液体水素?」と思った方、実は、液体水素はロケットエンジンの燃料となっているんです!坂本さん自身もこれがきっかけとなって液体水素を研究していたそうです。

坂本さんの研究はどちらかというと「ロケットエンジンを開発」というよりは「それを支える基盤技術の研究」という面が強かったそうです。


そして現在、宇宙研では再使用ロケットの開発を進めています。実は世界各国でも開発が進んでおり、今アツイ開発ともいえます!坂本さんたちは、従来のエンジンとは違って、大気や空気の力を積極的に使うようなエンジンを再使用ロケットに搭載しようとしています。このエンジンの良いところは、従来のエンジンを使うときよりも、より重いものをより高い位置に持っていけるというところです。なんとこの技術は地上での高速二点間輸送にも使えるものになりそうなのだそうです。宇宙開発にブレイクスルーを与えような研究になっているんですね!!坂本さんいわく、実験などが成功するとグッとくるものがあるそうです!




そして最後は

GITAI Japan 株式会社 HAPTICS ENGINEERの長坂 信吾さんです。


長坂さんはhaptics(日本語で言うと触覚)の分野を研究されていた方です。

実はGITAI Japan、元々宇宙系のロボットベンチャーではなかったんです!この会社はロボット開発系の会社なのですが、どのようなロボットを開発しているかというと、こちら!


人が動いた通りにロボットが動く、といった遠隔操作型のロボットなどを作っています。

遠隔で操作できれば、人が移動する必要がなくなるのです。そこで、逆に考えて移動コストが非常にかかっているのが宇宙だったということで「宇宙しかない…!」と宇宙方面に進んで行ったんです。地上で培ってきた技術を使って宇宙に向かっている会社なんですね。


社内に、国際宇宙ステーションの中にあるきぼうモジュール内を模擬した実験設備で、作ったロボットが実際に宇宙飛行士のやっている作業をできるのかということを日々実験しています。GITAI JapanはJAXAと共同研究をしていて、現在JAXAから宇宙飛行士の主要作業18個が提示されているのですが、なんと先月の時点で全部できているんです!!


スケジュールとしては宇宙ステーション内の船内作業から始まり、船外へ、そして最終的には月面基地の建設作業や探査などに行こうとしているそうです。


ここで第1部が終了し、次の第2部、パネルディスカッションに入ります!



パネルディスカッションのテーマは5つ!

①今の職場を選んだ理由は?

②日本の宇宙開発に必要なことは?

③若手としての宇宙開発の役割は?

④学生の時にやっておけばよかったことは?

⑤50年後に実現したい未来は?


という内容についてでした!

どの内容も熱い話で非常に面白すぎてここには書ききれません…!それぞれの個性溢れるお話を聞くことができました。

特に、中高生の皆様に伝えたいところでいうと、④あたりですね。

登壇者揃っておっしゃっていたのは、学生時代はたくさん失敗して、たくさん学ぶこと!

色々な人との繋がりを増やすこと!

この2つが大切です!


また、どうやって大学を選べば良いか、という質問が途中で出たのですが、

「その大学で何ができるのか」であったり「この大学は面白そうなことやってるな!自分としては興味があるな!」というところに行くと良いとみなさんおっしゃられてました。そして行ったその大学で、色々なつながりを増やせそうなところに行ける方が良いそうです。


などなど学生のみなさんにもためになる内容となっていました!!


その後は、懇談会ということで受験を控えた高校生や第一線で働く社会人まで、様々な宇宙好きな人と交流することができました。

また、YspaceのVRコンテンツである「やり投げムーン」の体験会も行われていました。

VRで宇宙空間でのやり投げする体験は非常に面白かったです!


これにて、TELSTAR潜入レポートはおしまいです!


なお、今回のNEXTSPACEの内容は8/28にNHKのおはよう日本でも放送予定なのでチェックしてみてください!


さらに!!第4回 宇宙開発の若手ワークショップ「NEXT SPACE」が2019年11月23日(土)に開催される予定です!

沢山の宇宙好きの人と交流できる非常に良い機会なので是非参加してみてください!


お申込みはこちらから

https://peatix.com/event/1306415?utm_campaign=search&utm_medium=web&utm_source=results&utm_content=NEXTSPACE%3A35.6987619116449%2C139.731104686011%3A%3A0%3A1306415

 

(写真提供:Yspace)

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