第20回「月面X」とは??
皆さんこんばんは。今月も、満月の夜がやってきました。徐々に春めいてきて、暖かく快適になってきましたね。しかし夜はまだまだ冷えるので、観測時は油断大敵ですよ。しっかり防寒して下さいね。
さて、今夜は「月面X」についてお話しましょう…。
【「月面X」とは?】
月面には、無数のクレーターが存在します。また、13夜でお話したように(http://spacemgz-telstar.com/3445)、吹き出たマグマ(地球の海の岩盤と同じ玄武岩質)が巨大クレーターを満たして形成された「月の海」もあります。
そんな凹凸たちの中に、「X」に見えるものがあります。下の写真の白い丸で囲った中にあります。探してみてください!
これが「月面X」です。これは、ブランキヌス、プールバッハ、ラカイユという3つのクレーターの外壁によって作られた地形です。
月の欠けていく部分、つまり明るい部分と暗い部分の境界線は、光の加減により凹凸がよく分かりますよね。「月面X」を形作るクレーターたちも、実は満月のときなど太った月の時も姿を現しているのですが、上の写真状態、月面南緯25.5度東経1.1度の地点が光の境界になった時、およそ上弦の月の頃に最もはっきり姿を見せてくれるのです。
【月面Xの楽しみ方】
残念ながら、「月面X」は肉眼では確認することができません。ただ、小さな望遠鏡や望遠レンズのカメラであれば見ることができます。場所さえ知っていれば、倍率が大きい双眼鏡でもなんとか見ることができます。
最近は、「X」の北に少しいたところにある「V」のような地形「月面V」も注目されています。
【月面Xの見頃】
さて、そんな「月面X」ですが、つい最近の3月5日20時45分頃に見頃を迎えました。次の見頃は5月3日の19時半頃です。
…と、ここで何か不思議な点に気づきませんか?そう、月は約1ヶ月(29.27~29.84日)に1回満ち欠けをしているから、「月面X」はその度に見られるのではないのか…?
実際はそうではないのです。「月面X」が綺麗に見られるのは1.2時間程度であるのに加え、上弦の月であったとしても月が日本から見えやすい位置になかったり、昼間であったりすると「月面X」は姿を現してくれません。それゆえ「月面X」が綺麗に見えるのは、年に数回ほどに限られてしまうのです。また、その時の天気、雲量も「月面X」が見えるかどうかの重要な一因になります。
2017年のこれからの見頃は、先ほどご紹介した5月3日(19時半前後)、7月1日(18時半前後)8月29日(18時前後)、10月27日(20時半前後)です。
ぜひ、この日時を目安に「月面X」を発見してみてください!この満月記事を読んだ皆さんはもう「月面X」のありか・時間を知っているので、きっとすぐに見つけることができるはずですよ!
ではまた、満月の夜に…。
【what’s 満月記事】
TELSTARは日本で皆既月食が2度見れる2018年を“W皆既月食year”と名付けました。
私たちは日本中の皆さんが、月に様々な思いを巡らせて見上げられるように満月記事をお届けしてまいります!!