研究体験!もし天!
私が参加した、「もし天」という研究体験プログラムについて紹介します。
もし天とは
「もしも君が杜の都で天文学者になったら」通称「もし天」は東北大学が主催する研究体験プログラムです。全国から宇宙・天文に興味を持つ高校生が集まり、4人チームで活動します。チームでは、自主的にテーマを設定します。計画書は、プロの天文学者によって審査され、この審査を突破しなければ観測に進めません。決定したテーマに基づいて観測、解析を行なっていきます。やりたい研究のビジョンをすでに持っている人には嬉しい仕組みです。研究結果は、成果発表会やジュニアセッションで多くの学生や教授の前で発表します。特にジュニアセッションは、全国の中高生の宇宙研究に触れることができる激アツな機会です(画像1)。
研究環境がすごい!!
天体観測は、仙台天文台の「ひとみ望遠鏡」を使用します。ひとみ望遠鏡は公開天文台としては国内4位という1.3mの口径(レンズの大きさ)を誇る”神”望遠鏡です(画像2)!17等(北極星の百万倍暗い)の星まで観測、撮像ができます。撮影対象、撮影時間、フィルター(どの波長の光を取り込むか)の決定から、望遠鏡の操作までを全て自分で行います。巨大な望遠鏡が回転する音と振動は鳥肌ものです!
画像2:仙台市天文台のひとみ望遠鏡
研究では、班ごとにSLA(Student Learning Advisor)と呼ばれる知識豊富な運営スタッフ7,8人がつきます。その多くが元「もし天」受講生で、受講生の気持ちを理解しながら知識、発想面でサポートをしてくださいます。私の班にはジェームズウェッブ宇宙望遠鏡を使って研究をしている方もいました(羨ましい)。私自身、「遠くの天体を見れば過去が知れる」という意味がよくわからないままの挑戦でしたが、SLAの方のおかげで問題なく研究を進められました。
私の研究を紹介!!
私の班ではクエーサーについて研究しました。銀河中心のブラックホールで、特に大質量で活動的なものを活動銀河核といいます。クエーサーは、活動銀河核の中でも特に明るく、銀河全体の明るさを超えるほどの光を放っている天体です。クエーサーは太陽系近傍(=誕生から100億年以上たった宇宙が見える)にはほとんど存在していないことがわかっていますが、その理由はわかっていません。私の班はクエーサーが主に銀河同士の衝突で天体の材料(星間ガス)が混ざり合ってできることに着目し、”老いた銀河は星間ガスが減っていてクエーサーを形成するほどの量がない”という仮説を立てました。検証として、星間ガスの量を近傍(=老いた銀河)と遠方(=若い銀河)で比較しました。比較には色指数という天体の色味を示す値(小さいほど青い)を用いました。青い銀河ほど新しい星が多く、十分な星間ガスが残っているとみなせます。観測とデータ解析の結果、遠方銀河の方が青い銀河の割合が顕著に高いことがわかり、仮説を立証することができました(画像3)。十分な知識ゼロからのスタートだったのですが最終的に想像以上に良い結果が得られ、満足のいく研究になりました!
最後に
「もし天」は、将来宇宙の研究をしたいけれど具体的なイメージはできてないという人に最適のプログラムです。知識がなくても手厚いサポートのもとで、宇宙漬けの一週間を送ることができます。高校生の皆さん、募集が現在始まっています。ぜひチャレンジしてみてください!!
もし天ドキュメンタリー:もし天「もしも君が杜の都で天文学者になったら。。。
もし天公式サイト:もし天こちらの記事は2024年より新しくTELSTARに入ったメンバーによる 記事です。 TELSTARでは一緒に活動してくれる大学生の方を随時募集しております。 興味のある方は、TELSTARホームページの「お問い合わせフォーム」または、XとInstagramのDMなどから ご連絡ください。