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空をご覧ください KAGAYAさんに映る宇宙【冊子28号スピンオフ記事】

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プラネタリウム映像クリエイター、星空写真家、CG作家として活躍されているKAGAYAさん。KAGAYAさんが描く、美しく神秘的な宇宙はどのように生み出されているのでしょうか。この記事ではフリーマガジンTELSTARには掲載しきれなかった、KAGAYAさんの作品作りの裏側に迫ります!

作品・仕事の中でのこだわりを教えてください。

作品作りや仕事に対しては様々な信念があります。特にプラネタリウム映像や書籍を作る際には、とにかく分かりやすく、できるだけ多くの人に伝わるような作品」を心がけています。

また、「夢中になった時に自分の能力を最大限発揮できる」という経験から「自分が夢中になれる環境づくり」を意識しています。

《ネオワイズ彗星撮影風景秋田県》


作品のアイデアはどこからやってくるのでしょうか。

基本的には「自分が見たいものを作品にする」「自分が見たいものを見に行く」ことから始まります。しかし、「自分が見たいもの」がどのように湧き出てくるのかはよく分かりません。

「次にどこへ行きたい」といった思いはじわじわと広がっていくんです。 例えば、ある場所へ撮影に行くと「もう少し先に行けばこういう景色が見れそうだ」とか「別の季節に来てみよう」と思うことがあります。あちこちを回っていると様々な情報が手に入り、次の撮影場所や作品のアイデアが次々と広がっていくのです。

旅をしていると常々、行く前に抱いていた印象と現地の様子は大きく異なっているように感じます。道中にもっといい景色を見つけることもあれば、 天気や季節によって景色が一変することもあるので、撮影に行った先で行き先を変更することもよくあります。


日々のお仕事の楽しさと大変さを教えてください。

ー楽しさー

新しく買った道具を使いこなす練習をしているとき、どこで撮影するかシミュレーションしているとき、また計画通りいけば撮れる写真、出来上がった作品を想像するときが一番楽しいです。

ー大変さー

自然相手なので、入念に準備をしていても天候だけはどうにもなりません。チャンスを逃した時、特に一生に一度の機会を逃すと本当にがっかりします。しかし、会心の作品を生み出すには何度も挑戦するしかありません。何度も撮影地に通い、撮影するのは体力勝負になります。

また、期限に合わせて作品を作り上げる場合、「やることはやる、諦めることは諦める」と冷静に優先順位を決めています。しかし、最後はどこかで諦める必要があるという点が辛いです。

星空撮影風景
《星空撮影風景》

                  

撮影に持っていく機材について教えてください。

とても機材の量が多いので、いつも「何を置いていくか、何をもっていくか」を選びながら持ち歩けるぎりぎりの量を持って行きます。撮影に持っていく機材にはカメラだけではなく、赤道儀という星を追いかける装置や、レンズを温めて夜露を防止するためのヒーター、そのためのバッテリーなど色々なものがあります。海外へ行く飛行機に乗る時には、こういった機材は預け荷物に入れられないものもあるので、機内持ち込みをしないといけません。持ち込みできる重量も決まっているので、どのくらい持っていくかがいつも悩みの種ですね。

《撮影機材》

好きな天文現象は何ですか。

ものすごくありきたりですが、細い月が好きです。三日月と、新月前の明け方の細い月が本当に好きでそのタイミングには晴れていれば必ず空を見上げています。夜空に細い月が見えると、「とってもいいものを見たぞ」という気分になるんです 。 タイミングさえ知っていれば誰でもチャレンジできるので、 ぜひ皆さんにも見ていただきたいです。私はこの細い月などを「天空の贈り物」と表現しています。空からもらえる幸せの一つですね。

あとは景色の一部から月が上るところも好きです。街中であれ、自然の中であれ、とてもドラマティックで綺麗です。皆さんにもあらかじめ「月の出時刻」を調べてぜひ見ていただきたいです。

《かぎろいの二十七夜月》


なかなか見られないものとしては、やはりオーロラが好きです。 オーロラは見えた、見えないというだけのものではなく、様々な種類があるんです。「大人しく静かなオーロラ」はかなりの頻度で見られるのですが、「激しいオーロラ」は滅多に見られません。 激しいオーロラを見られたら本当にラッキーで、もっともっと見たいのですが、なかなかそのチャンスには恵まれません。

《天と地の交響楽》

あとは火球も大好きです。流れ星の中でも特に明るく、金星より明るいものを火球といいます。 流れていく時に輝く色も様々です。たまに分裂したり、尾を引いたりするものもあり、中には何秒もかけてゆっくり流れていくものもあるんです。色々な種類があって見るたびにものすごく驚きます。

火球にしてもオーロラにしても、見に行く機会をできるだけ増やすこと、特に火球についてはできるだけ星空を長く眺めていることが目撃する秘訣です。

《秒間の軌跡》

取材を終えて

取材の際にはKAGAYAさんの言葉ひとつひとつに宇宙への強い想いを感じました。この地球にはまだ行ったことがない場所がたくさんあります。その全てを見ることは不可能に近いのかもしれませんが、KAGAYAさんのお話しを聞き、KAGAYAさんの語った景色をいつかこの目で見てみたいと感じました。

宇宙というとどこか遠い存在に感じてしまいますが、顔を上げればすぐそこに広大な空が広がっています。

みなさんも日々のふとした瞬間に、KAGAYAさんのこの言葉を思い出してみてはいかがでしょうか。


「空をご覧ください」





KAGAYA
1968年埼玉県生まれ。プラネタリウム映像クリエイター、星空写真家、CG作家。代表作に「銀河鉄道の夜」(映像作品)、「星月夜への招待」(写真集)、「星空の楽しみ方」(実用書)などがある。SNSでも美しい星空、自然を切り取った作品を多数公開している。優しく、素敵な言葉で宇宙を紡ぐその姿は、取材中も何度も見られ、我々を虜にした。



取材:岡実代子、池田桜、熊代沙也佳、千葉俊彦、西野真悠  文:熊代沙也佳

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