自己紹介

はじめまして、萩原湧人と申します。僕は小さい頃から、父の影響で宇宙をテーマにした海外ドラマをよく見ていて、ずっと宇宙に憧れていました。現在は医学部に通っているのですが、今でもずっと宇宙への想いを忘れられず、今では医学者として宇宙開発に携わろうと考えています。そこで少しでも宇宙への夢に近づくため、TELSTARに入ることにしました。今後は医学の視点から多くの人に宇宙の魅力を伝えていきたいです。

「宇宙医学」で宇宙を目指す

 

宇宙で生きていくためには何が必要?

みなさんは「宇宙医学」という学問を聞いたことはありますか?
「宇宙医学」とは簡単に言うと、宇宙で人が生き延びるために必要な学問です。
地上でも、健康を維持して元気に生活するためには医者が必要なように、宇宙でも医者は必要です。ここでは、あまり聞き慣れない「宇宙医学」について紹介したいと思います。

(医者が宇宙飛行士になって宇宙へ行くこともあります。©NASA)

「宇宙医学」っていったいなに?

「宇宙医学」には大きく分けて2つの分野があります。
1つ目は、宇宙飛行士の健康管理です。
宇宙空間は、無重力環境、宇宙放射線環境、閉鎖環境(スペースシャトルや国際宇宙ステーションなどの閉鎖空間)という人間にはあまりに過酷な環境です。宇宙は人間が生きていくには不都合が多いのです。「宇宙医学」はこういった課題に対応するための研究を行っています。

無重力環境では何が起こる?

  1. 骨の成分であるカルシウムが尿に過剰に溶け出し、骨粗鬆症患者の約10倍の速さで骨がスカスカになってしまいます。
  2. さらに、その溶けだしたカルシウムのせいで尿路が詰まってしまいます。
  3. 重力がなくなると地面に立つための筋肉を使う必要がなくなるので、寝たきりの人の約2倍の速さでそれらの筋肉が衰えます。
  4. 人は重力のおかげで位置感覚をつかんでいますが、それができなくなると脳が混乱するので、 気分が悪くなったり、激しい吐き気や頭痛に悩まされる「宇宙酔い」という症状が出ます。
  5. 重力で下半身側に引っ張られていた体液が上半身に移動します。この体液の移動によって顔がパンパンに膨れてしまいます。

 

(画像は宇宙空間におけるトレーニングの様子©NASA)

宇宙放射線ってなに?

宇宙には大量の放射線が降り注いでおり、それを宇宙放射線といいます。宇宙では放射線を吸収してくれる大気がないので、地上で普通に生活していて浴びる放射線の半年分の量をわずか一日で浴びてしまいます。

閉鎖環境は想像以上にキツい

宇宙では地上のように自由に出かけることはできません。ISSでは異なる文化をもつ外国人と最大半年間も生活しなければならず、逃げ場もありません。そのため精神的な負担が非常に大きくなります。JAXAによる過去の宇宙飛行士選抜試験では、こういった環境に適応できるかどうかを判断するため、密室で2週間生活をするという試験が実際に行われました。


(宇宙ステーションにも個室がありますが、電話ボックスくらいの大きさしかありません©NASA)

宇宙飛行士が被験者??

2つ目は、宇宙環境を利用した医学研究です。
宇宙医学の研究では、なんと宇宙飛行士自身を被験者として実験が行われています。
先に述べましたが、宇宙では骨が骨粗鬆症患者の約10倍の速さでスカスカになります。これを予防するために、骨粗鬆症用の薬を飲んで、骨の量を維持するためのトレーニングを行う実験を若田宇宙飛行士が行いました。その結果、若田さんは4か月半のミッションの後でも、ミッション前の骨の量をほぼ維持することができました。
また、宇宙では筋肉も寝たきりの人の約2倍の速さで衰えるので、国際宇宙ステーションでは週6日、二時間の筋トレを行って、筋肉の衰えを予防しています。
このように骨や筋肉が衰えるのは、老化による現象にとてもよく似ています。なので、「宇宙医学」はアンチエイジングに応用されており、「宇宙医学は究極の予防医学」と言われています。


(若田宇宙飛行士がトレーニングをする様子©NASA)

「宇宙医学」で宇宙を目指す!

「宇宙医学」は地上で暮らしている私たちにとっても現実的に必要とされる分野であり、これからより広く認知されていく学問です。そして人類が宇宙へ進出していくためにも、より多くの研究者が「宇宙医学」を研究し、発展させていくことが必要となるでしょう。宇宙開発といえばロケットや人工衛星といった工学の分野と思われがちですが、僕は医学という分野から宇宙開発に貢献し、多くの人のためになる仕事がしたいと思っています!みなさんも一緒に宇宙開発を目指しませんか?


(画像は打ち上げ前の調整をする宇宙飛行士の様子©NASA)