映画『ガガーリン 世界を変えた108分』公開記念連載 第二回「ソ連宇宙時代の立役者、コロリョフ」
(c)2013. Kremlin Films. All Rights Reserved
TELSTARの土谷です。
この映画で私が最も惹かれた人物はソ連の宇宙開発計画の中心人物である、設計主任セルゲイ・コロリョフです。
コロリョフは1950、60年代のソ連宇宙開発の中心人物として世界初のロケット、衛星、有人宇宙機の設計開発の指揮を取りました。具体的にはR-7ロケット、スプートニクシリーズ、ガガーリンが乗ったボストーク宇宙船、月面に到達したルナ2号などがあります。
数々の業績を挙げているコロリョフですが、彼が生きている間に彼の名が表舞台に出ることはありませんでした。彼が他国から狙われることを恐れたソ連は、彼の存在を秘密にしていたのです。
コロリョフ (c)2013. Kremlin Films. All Rights Reserved
まず、ガガーリンが宇宙へ飛び立つ4年前に打ち上げられた、世界初の人工衛星「スプートニク1号」の舞台裏を説明していきます。
コロリョフは世界初の人工衛星として「シンプルなもの」を打上げよう、と提案しました。センサーなどの観測機器は積まずに電波を地上に送る通信機だけを積んだ衛星です。
また、コロリョフは衛星の表面を鏡のように光を反射するアルミ素材にすることと、球形であることにこだわりました。地上からでも人工衛星の姿をよく見えるようにするためです。アメリカ大陸の上空を通るように打ち上げ、宇宙から送る電波で音を聞かせることで人工衛星を、アメリカに対するソ連の勝利の象徴にしようとしたのです。
コロリョフは開発当初、周りから「科学機器を載せるべきだ」と反対を受けます。しかし、「強情な王様」とも呼ばれたコロリョフはあきらめずに自分の意見を主張しました。今から科学機器を開発すれば打上げが遅れてしまうからです。結局、アメリカに先を越されることを恐れた上層部は満場一致で承認し、打上げを決行することになりました。
そして1957年10月4日、世界初の人工衛星「スプートニク1号」を乗せたR-7ロケットがバイコヌール宇宙基地から打ち上げられました。
コロリョフの思惑通り、ソ連が世界初の人工衛星の打ち上げに成功したという事実は、先を越されたアメリカ、そして世界に衝撃を与えます。これは「スプートニクショック」と呼ばれました。その影響は当時のソ連最高指導者であったフルシチョフも予想していなかったほど、大きなものだったのです、、、
映画の公開は12月20日からです!
第三回の記事ではスプートニクショックによって揺れるアメリカ、そしてガガーリンの宇宙飛行を取り上げます。次回の更新は12月26日です。お楽しみに!
『ガガーリン 世界を変えた108分』
http://gagarin.jp/
監督:パヴェル・パルホメンコ 製作:オレグ・カペネツ 脚本:オレグ・カペネツ、アンドレイ・ドミトリエフ
撮影:アントン・アントノフ 音楽:ジョージ・カリス
出演:ヤロスラフ・ジャルニン、ミハイル・フィリポフ、オルガ・イワノワ、ウラジミール・ステクロフ、ヴィクトル・プロスクリン
2013年/ロシア/ロシア語/113分/カラー/ビスタ
原題:Гагарин. Первый в космос 英題:GAGARIN: FIRST IN SPACE
提供:ミッドシップ、シンカ 配給:ミッドシップ
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