第7回 CORE×TELSTAR「解析~次のプロジェクトにつなげる~」
ハイブリッドロケットの製作を行っている学生団体、「CORE」。TELSTARメンバーともつながりがあり、「CORE×TELSTAR」コラボ企画が始動しています!
全8回にわたり、COREの持つハイブリッドロケット技術を分かりやすく中高生の皆さんにご紹介します。
第7回は「解析~次のプロジェクトにつなげる~」
ロケットは打ち上げて終わりではありません。打ち上げが成功したかの有無にかかわらず、次の打ち上げに向けた準備をすることが重要です。そこで必要なのが「解析」。今回はロケット制作における解析とは何を指し、どのように行うのかについてご紹介します。
目次
解析っていったい何をするの?
「解析」とは物事を細かく分け、組織的、理論的に調査することです。ではロケット打上げ後どんな調査をしていくのでしょうか。
1つ目:サクセスクライテリアの評価
プロジェクト初期に設定したロケットの打上げ成功判断基準であるサクセスクライテリアをもとに、大まかに「成功したこと」と「失敗したこと」を分けます。機体を目視で確認したり、搭載計器の制御履歴を確認したりして行います。
※サクセスクライテリア
詳しくは、こちらをチェック!
http://spacemgz-telstar.com/article/feature/a299#a02
2つ目:「成功したこと」と「失敗したこと」の解析
失敗した要因を追求することは、次のプロジェクトで同じことを繰り返さないようにするために重要です。そして今回の打ち上げで「成功したこと」が偶然ではないか確認するための解析も行います。どちらも理論立てて定量的に解析することが求められます。
3つ目:マネジメント面の解析
設計・製作のスケジュール管理、チームメンバーのタスク管理、打ち上げ当日の運用に関して、適切だったかを振り返ります。
4つ目:プロジェクトのまとめ
次のプロジェクト、次世代に継承できるよう報告書を書きます。報告会等を開いて成果や原因究明、次のプロジェクトへの改善点などを発表します。
※地上試験報告書
詳しくは、こちらをチェック!
http://spacemgz-telstar.com/article/feature/a302#a05
「失敗したこと」の解析方法
ここで失敗したことを解析する2つの手法についてご紹介します。
①故障の影響解析:Failure Mode and Effects Analysis(FMEA)
将来起こりうる不具合を予測して、事故を未然に対策するために行う手法です。主に設計時にFMEAの手法を使います。例えば「導線が断線した」という不具合が発生したらどんなエラーが起こるのかを考えると、
・「導線が断線」→「サーボモーターが正常に動かない」→「開放機構が作動しない」
・「導線が断線」→「発熱」→「火災」
といった流れを想定して解析します。解析結果をもとに、機体のさらなる改良を行っていきます。
②故障の木解析:Fault Tree Analysis(FTA)
何か問題が発生した場合、その問題を引き起こした可能性のある要因を抜け漏れないように洗い出した中から、真の原因を探し出す手法です。まるで木の枝のような図を描くことから故障の木解析と呼ばれています。
図1の例を見てみましょう。例えばロケットの開放機構が作動しなかったというエラーに対して、まず最初の段階で「電装」「構造」の2つに分けています。次の段階で個々の部品ごとに分類していきます。最後に、考えられる要因を部品ごとに当てはめていくという流れです。図の分岐点には「AND」と「OR」が存在します。「AND」はすべての要因が発生した時にエラーが起きることを示します。一方で「OR」は要因のうち少なくとも1つ発生するとエラーが起きることを示します。
FMEAは「要因→エラー」という方向で解析するのに対して、FTAは「エラー→要因」という方向で解析していきす。そのため主に運用後にFTAの手法を使います。現在COREでは先日行われた燃焼試験に関するFTAの真っ最中です。
今回はロケットを打ち上げた後のお話をしていきました。ロケットの打ち上げは一度で終了ではないからこそ、次のプロジェクトにつなげるための「解析」の重要性について知っていただけたでしょうか?
より詳細に「解析」について記載してあるCOREの皆さんが作成した資料がありますので、ぜひ活用してください!