ガンマ線バーストの在処(ありか)を探る!
(©ARICAプロジェクト)
青山学院大学の坂本研究室では、ガンマ線バーストを観測するための速報システム実証に向けて、「ARICAプロジェクト」が進められています!先日11月9日に、衛星「ARICA」が打ち上げられました。このARICAプロジェクトとは一体何なのでしょうか?
ガンマ線バーストとは?
ガンマ線は、高いエネルギーを持つ光の一種です。ガンマ線バーストは、このガンマ線が天体から爆発的に放出される現象で、短時間かつ突発的に起こるという特徴があります。具体的には、ブラックホールが誕生する時と、2つの中性子星が合体する時に起こると考えられています。
ガンマ線バーストの研究により、宇宙誕生についての謎が明らかになります。ガンマ線バーストを起こす天体は地球からとても遠く、今までに観測されたうち、最も近い天体でも1億1000万光年離れています。つまり地球に光が届くまでに1億1000万年かかるほど遠くにあるのです。このように現在見えている遠くの天体は、地球の今よりずっと昔の姿を私たちに見せています。そのため、ガンマ線バーストの観測は、宇宙初期のブラックホール生成や宇宙の誕生・進化に関する研究に貢献できます。
他にも、ブラックホールなど高エネルギー天体の誕生の瞬間や、ガンマ線バーストが起こる仕組み、重力波との関連、また金や白金などの重元素の起源に迫ることができると考えられています。
日本の現状と課題は?
日本におけるガンマ線バーストの研究は、どれほど進んでいるのでしょうか。
まず前提として、天文学の研究は理論と実験の2つの面から成り立っています。理論は数式を用いて理論的に、実験は天体を観測することによって体系的に、現象を読み解く分野です。世界と比べて日本は、理論におけるガンマ線バーストの研究が進んでいます。しかし実験の分野には研究者が少なく、あまり進んでいないのが現状です。原因の1つとして、日本独自のガンマ線バースト観測衛星がないことがあげられます。なので、観測手段が得られれば、実験における研究が進むと考えられます。
しかし、衛星があるだけではガンマ線バーストの正体には迫れません。なぜなら、ガンマ線バーストとは突発的かつ短期的な現象で、見逃したり、観測し損ねることが多いからです。そして、ガンマ線バーストを見つけた!という情報をいち早く地上に速報し、様々な望遠鏡による詳細な観測に繋げていくことが必要です。つまり、ガンマ線バーストが起こったことを速報できれば、観測できる可能性がグッと広がるのです。
ARICAプロジェクトでできること
ARICAプロジェクトは、その観測衛星を作るための1歩目として速報システムの検証を行います。具体的には、1辺が10 cmの立方体の形をした超小型人工衛星ARICAを運用します。JAXAのプロジェクトである革新的衛星技術実証2号機の公募に選定され、11月9日にイプシロン5号機で打ち上げられました!
ARICAの画期的な点は、民間の衛星通信を利用するという所です。つまり、得られたデータの送受信は携帯電話と同じような民間衛星通信を利用しています。そのため、携帯電話を利用する際に通信料金がかかるのと同様に、民間の通信網を利用してARICAからデータを受け取るのにもお金がかかってしまうのです。衛星を長く運用すればするほど得られるデータが多くなるため、より高い精度で検証が行えます。しかし、現在の計画ではその経費が足りていないのが現状です。そこでクラウドファンディングを利用して、資金を募ることになりました。
ARICAプロジェクトは、これから日本が独自のガンマ線バースト観測衛星を作り上げていく上で大切な実証実験です。このARICAを皮切りに、ガンマ線バーストの在処(ありか)を探る研究が進んでいくことでしょう!
詳細はこちら↓
青山学院大学 坂本研究室 HP
http://sakamoto-agu.wikidot.com/arica
クラウドファウンディング HP
https://academist-cf.com/projects/234?lang=ja#project_detail
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