今年最初の新月です。いまさらですが、あけましておめでとうございます。
寒い日が続きますね。撮影地は氷点下10℃以下になっていることでしょう。。。
初日の出
さて、今夜は望遠撮影をしてわかる難しさについてご紹介します。
高価な機材が多い
望遠撮影となると、口径が大きく明るいレンズや望遠鏡、赤道儀など高価な機材が多くなってきます。安い機材で撮影していると、あまり星雲が浮かび上がってこない。迫力があるものが撮れないなどの理由で「高価な機材しか天体写真は撮れない。」という人もいますが、果たしてそうでしょうか?確かに、高価で性能のいいレンズや望遠鏡であるほど良いものが撮りやすく、より暗い天体まで撮影することができるようになります。しかし、一眼レフのレンズキットについてくるようなレンズであっても十分撮ることは可能です。以下の写真(左)はeos70dとレンズキットの55-250mmレンズで撮影したオリオン大星雲です。1年前に撮影したものですが、時間をかけて撮ればそれなりに十分な写真となるのではないでしょうか?とはいっても、やはり高価な望遠鏡などには敵いません。カメラレンズで撮影したとき(左)は1枚当り最大5分撮影にかかっているのに対し、右の望遠鏡で撮影したもの(右)は1分です。左が時間をかけ過ぎているというのもあるのですが、それだけ口径が大きく集光力(どれだけ光を集められるか)に優れた望遠鏡は短時間で良い写真が撮れると言えます。
オリオン大星雲 (左:キットレンズ、右:望遠鏡) ※色の違いはカメラのフィルター改造によるものです。
ノイズが気になる
望遠撮影の場合、星雲や星団を対象とすることも多いでしょう。星雲や星団は淡いものが多く、露光時間を長くするか、感度(ISO)をあげなければなりません。そうなると、撮影された写真にノイズが多くなり星雲の淡い部分がノイズに埋もれてしまうことも多くあります。
記事の中で作例のデータに総露光時間とあるのに気付きましたか?「総」とあるように露光時間の合計を表しています。ただ、写真を足し合わせるのではなく加算平均合成と呼ばれる処理を用いてノイズを減らしています。
天体写真に写るノイズには通称「ランダムノイズ」と「定常ノイズ」の大きく分けて2種類のものがあり、加算平均ではランダムノイズを軽減することができます。仕組みは簡単、名前通りランダムに出てくるノイズを同じ露光時間で何枚も撮って平均化してしまおう!というものです。
以下の写真を見ての通り、左の写真ではざらざらしているのに対し、右ではざらざら感が抑えられ、星の周りのガスがよりはっきりとみられるようになっています。
第3夜のインターバル撮影(図)と同じ要領で同じ対象を10枚以上撮影するとより見栄えのいい写真となります。
新月記事第3夜 http://spacemgz-telstar.com/3347
その他にも望遠撮影は様々な難しいところ、うまくいかないところなどがあります。
それは機材が重いことであったり、視野が狭く精度が求められるなど様々な要因があります。
特に、最初は追尾できていたのに途中から星像が伸びてしまった、そもそも最初からうまく追尾できないなどということはよくあります。そうなると、一つ一つどこがまずいのか確認していくしかありません。そのためにも、ただインターバル撮影を延々とするのではなく、30分や1時間に一度しっかりとれているかチェックしましょう。
次回は記念すべき?第10夜です。
来週は天体写真からちょっと外れて、星々に魅せられた人とその思いをご紹介したいと思います。
お楽しみに!
written by 打海将平