宇宙での医療
近い将来、宇宙飛行士しか行けなかった宇宙という世界に、誰もが行くことができるようになるでしょう。多くの人が宇宙に行くことになれば、宇宙での医療というものが必要になってきます。そこで最近注目されているのが「宇宙医学」と呼ばれる分野です。
宇宙医学とは何か
宇宙医学とは、名前の通り「宇宙空間で、安全・健康に過ごせるようにするための医学」です。宇宙空間と地上とでは環境が大きく異なります。その環境の違いによって、人間の体は様々な影響を受けます。そうした影響を研究し、治療法を考える学問が宇宙医学なのです。
(Credit:NASA)
宇宙空間と地上との違い
宇宙空間と地上との違いを考えたときに何を思い浮かべるでしょうか。多くの方が思いつくのは、無重力状態と真空状態ではないかと思います。確かにこの2つが地上との最も大きな違いですが、他にも様々な点で異なっています。
例えば、宇宙放射線が挙げられます。宇宙放射線は宇宙に飛び交っている放射線のことです。宇宙放射線の被曝線量が一定水準を超えると、癌や白内障などの体への悪影響を及ぼす可能性があります。
また、宇宙空間に生身で生存はできないので、ISSなどの限られたスペースで生活しなければなりません。狭いスペースで死と隣り合わせの生活を長期間行うと、必ずストレスがかかります。ストレス耐性の強い宇宙飛行士でさえ、精神的に病んでしまうことがあります。
このように宇宙と地上は様々な点で異なっています。これらの問題を克服していかなければ、有人による月や火星といった惑星探査は成し遂げられないでしょう。
(Credit:NASA)
宇宙医学の必要性
それにもかかわらず、宇宙医学に対しての認知度は、医学界でさえ高いとは言えません。今後、人類が宇宙空間に進出していくにつれて宇宙医学はますます重要な学問となっていきます。また、宇宙医学は地上における医療にも応用することができるのです。したがって、これから宇宙医学を多くの人に知ってもらい、発展させていくことが必要不可欠なのです。
(中夷黎)
こちらの記事は2020年より新しくTELSTARに入ったメンバーたちによる記事です。
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