スペースデブリについて考えてみよう
スペースデブリとは?
皆さんは”スペースデブリ”という言葉を聞いたことがありますか。
スペースデブリとは地球軌道上にある不要な人工物のことです。
使われなくなった人工衛星やロケットの上部、また、それらが衝突することによって生じた破片等がスペースデブリと呼ばれています。
ESA※1によると、2021年5月20日時点で、10cm以上のスペースデブリが約3万4000個、1cm~10cmのスペースデブリが約90万個、1mm~1cmのスペースデブリが約1億2800万個あると言われています。
スペースデブリ(地球近傍の黄色い点がスペースデブリです)(©JAXA)
スペースデブリによって生じる問題
それでは、スペースデブリがあることで何が問題になるのでしょうか。
スペースデブリが他の物体と衝突する際、相対速度は秒速約10~15kmという超高速になります。つまり、衝突するスペースデブリが微小であっても巨大なエネルギーを生じるため、運用中の宇宙機にスペースデブリが衝突すると莫大な被害を及ぼします。
実際に、2013年にはエクアドルの小型衛星に旧ソ連のロケット破片が衝突する事故も起きました。
さらに、もし大きなスペースデブリ同士が衝突すると、それらが分裂し、微小なスペースデブリが大量に生じてしまいます。
スペースデブリへの取り組み
では、実際に取られている対策を紹介します。
スペースデブリ対策として、運用中の宇宙機をスペースデブリにしないことや、今あるスペースデブリを除去することがあげられます。
例えば、Astroscaleは2021年3月に実証衛星ELSA-dを打ち上げました。
実証実験では、スペースデブリ模擬衛星と捕獲衛星の切り離しと捕獲を繰り返し行うことで、実際にスペースデブリの探索・除去が可能であることを実証する予定です。
打ち上げられる人工衛星は増える一方で、まだまだスペースデブリ対策は万全ではありません。
宇宙業界全体でスペースデブリへの問題意識を深める必要があると思います。
※1 ESA : European Space Agency 欧州宇宙機関のこと。
参考文献
文部科学省,”よく聞かれる質問:スペースデブリ”
https://www.mext.go.jp/a_menu/kaihatu/satellite/detail/1311417.htm
JAXA,”スペースデブリに関してよくある質問”
https://www.kenkai.jaxa.jp/research/debris/deb-faq.html
JAXA,”地球と宇宙の安心安全な環境を目指して”
https://www.jaxa.jp/projects/debris/index_j.html
ESA,”Space debris by the numbers”
https://www.esa.int/Safety_Security/Space_Debris/Space_debris_by_the_numbers
Astroscale,”ELSA-d”
https://astroscale.com/ja/elsa-d/
WIRED,”エクアドル初の衛星、旧ソ連の宇宙デブリと衝突”
https://wired.jp/2013/05/28/ecuador-satellite-crash/