宇宙食について その1:どんな種類があるの?
宇宙飛行士にとって、宇宙での食事は大切な栄養補給の時間であり、お楽しみの時間でもあります。ただし、私たちが普段この地上で食べている食事をそのまま持っていくわけにはいかないので、宇宙船や国際宇宙ステーションに持っていくことのできる宇宙食は独自の形態をしています。
1960年代の宇宙食はアルミのチューブに入ったペースト状のものでしたが、それから半世紀以上が経過した現在、宇宙食は地上の食事により近く、バラエティ豊かに味も美味しく進化しました。NASAの宇宙食には宇宙船内の短期ミッション用と国際宇宙ステーション内の長期ミッション用でそれぞれ180種類以上の食品がメニューとして開発されています。
宇宙食の形態はその食材に合わせて、主に下記の6形態に分類することができます。
(1)自然形態食品
(ナッツ、クッキー、キャンディー等)
(2)補給船が着いた直後に食べられる新鮮食品
(果物、野菜スティック、パン、トルティーヤ等)
(3)水やお湯で戻して食べる加水食品/凍結乾燥食品
(ソーセージパテ、スクランブルエッグ、シリアル、シュリンプカクテル、スープ、飲料等)
(4)そのまま温めて食べる温度安定化食品
(スモークターキー、ツナ、ハム、ソーセージ、フルーツ、プリン等のレトルト/缶詰)
(5)長期保存を可能にした放射線照射食品
(ビーフステーキ等)
(6)調味料
(ケチャップ、マヨネーズ、チリソース、タバスコ、液体塩、液体コショウ等)
基本的には長期間の保存が効く(4)(5)、且つ軽量である(3)が推奨されます。食材や調理法に合わせて保存方法や梱包方法が異なるのは地上と同じですね。
合計360種類以上のメニューが用意されているのは、骨粗鬆症など栄養の偏りで起こる深刻な健康上の問題に対応するためと、単調な宇宙生活中の数少ない楽しみにしてもらうためです。デザート等の娯楽要素も含めて、宇宙飛行士に極力地上に近い食生活をしてもらうことが非常に重要な気分転換となり、狭い船内でのストレス対策となります。
多様な形態を持つ宇宙食
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