宇宙食について その5:どうやって宇宙食は食べるの?
半年近くも宇宙の閉鎖空間で生活する宇宙飛行士にとって、宇宙食を楽しむ時間は、仕事の合間のとても大切な一息です。食事は仲間のクルーと一緒にとり、食事を通じて同僚とも会話が弾み、良い一体感が生まれます。
食べ方についてですが、フリーズドライ食品は、付属のアダプターから水を加え、手で揉んで調理してからハサミで上面を開封し、上からスプーンですくって食べます。加水の量や待ち時間は食品ごとに異なりますが、ラベルに記載されている通りに作れば良い様になっています。
野口宇宙飛行士の宇宙食の食事風景
© NASA / JAXA
ドリンクは軽量化を図るために専用容器に密閉された粉末の状態で宇宙に持っていき、水を加えて作ります。飲むときにはクリップ付きのストローを装着します。クリップを閉じれば中のドリンクが飛び出さない仕組みとなっています。水そのものを飲むときは、「ギャレー」と呼ばれる貯水槽まで空のボトルを持っていき、そこから給水して飲みます。
国際宇宙ステーションに補給船が来れば、野菜やフルーツやパンなどの生鮮食品を食べることができます。これらはそのまま食べることができ、加工もしていないので味も地上のままのため、補給船の到着は宇宙飛行士にとっては嬉しい瞬間となっています。
調味料は地上と同様のものが揃っていますが、塩や胡椒などの粉末状のものは飛び散らないように液体にしてあります。マヨネーズやマスタードはそのままですが、液化した塩や胡椒は地上では中々お目にかかれない珍しい調味料です。
国際宇宙ステーションに持ち込まれる際、ドリンクは粉末、調味料は液体・半固体状・ペースト状で持ち込まれ、ドリンクの粉末は食事の際に水に溶かされて液体に変わります。
食事に使うトレーは、無重力で食事がふわふわ漂わないように、マジックテープで宇宙食を固定できるようになっています。缶詰などの食品は加熱用の調理台としての機能を備えたトレーにセットして食べます。
宇宙でドリンクを飲む時のストロー付きパッケージ
© JAXA/NASA