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[うちゅうけん!+]世界最強の望遠鏡とセンサーを作る -首都大学東京 江副研究室

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皆さん、暑い中いかがお過ごしでしょうか。
さて、前回に引き続きオープンキャンパスに行こうと迷っているアナタに、大学の紹介をしたいと思います。
第3回は首都大学東京です!

首都大学東京 江副研究室では、人工衛星に搭載する装置の研究・開発から、打ち上げ後の人工衛星の運用、さらには観測したデータを基に宇宙物理の研究まで行い、日々宇宙の謎の解明に挑んでいます。

TELSTAR vol.7でX線という光(電磁波)をだす天体があることを紹介しました。(詳しくはTELSTAR vol.7をご覧ください)
この研究室では、X線をだす天体を観測するX線天文衛星の望遠鏡やセンサーの開発に携わってきました。
この研究室で開発している次世代に向けた望遠鏡やセンサーは世界最高級の性能を発揮しています。例えば、MEMSという小さなものを加工する技術を応用して作られた世界で最も薄くて軽いX線望遠鏡や、超伝導を利用してX線のエネルギーを測るセンサーを開発しています。


画像:真ん中に写る円盤が世界最軽量のX線望遠鏡。その下に写っているのが、超電導を利用してX線のエネルギーを測るセンサー(提供:江副研究室)

上で紹介したような装置を開発して、人工衛星に搭載し、得られたデータを基に、日々研究を行っています。

自分たちの手で

1962年、アメリカの大学生たちが自分たちの手で作ったX線望遠鏡で、太陽以外の天体がX線を発していることを発見しました。それまでは、太陽からしか観測可能なX線が受けられないと思われていたのが、ほかの天体も非常に強いX線を発していることがわかったので、天文学業界は大騒ぎです。これが、X線天文学の始まりです。今でも、当時と変わらず自分たちの手で装置を開発し観測するという文化が根付いています。
そこで江副研究室でも、自分たちの手で装置を開発することを大事にしています。

現場で学ぶ

装置を開発するためには、ものづくりの知識が必要です。しかし、この研究室の学生は、ものづくりの授業は受けていません。全て現場で学んでいます。衛星開発は自転車や自動車などのものづくりと違い、宇宙に打ち上げてしまうと修理ができないので、失敗が許されません。

打ち上げる前にテストを何度も行い、万全の状態で打ち上げます。その経験は授業では学べません。やはり、現場での経験が最も大事だと考え、江副先生は現場で学ぶことを大切にしています。また、自分たちで開発することで、お金や時間を節約することもできます。

世界最高の装置を開発する意義

江副先生は、世界最高にこだわっています。新しい成果を出すためには、今まで以上に高性能な観測装置の開発が必要です。高性能な観測装置の開発競争は世界中で起きています。その中で、江副研究室では超伝導や小さなものを加工する技術を駆使して、世界でトップレベルの性能の装置を開発しています。開発に成功した今でも、さらなる性能の向上をもとめて、日々研究を行っています。

今後やっていきたいこと

これまで江副研究室は、すざくやASTRO-Hなどの大型衛星の装置の開発に携わってきました。しかし、大型衛星を開発するには長い時間と多額の資金が必要です。あまりにも長い時間がかかってしまうと、学生は一つの衛星の「開発」、「打ち上げ」、「観測したデータの研究」、のすべての現場を体験することはできません。その解決策として最も江副先生が注目しているのが、小型衛星の開発です。開発期間が短く費用も安い小型衛星ならば、学生は卒業までにすべての現場を経験できるようになります。

まとめ

宇宙の謎は毎日少しずつ解明されています。
そしてまた、謎の解明とともに、新しい謎も生まれています。
そんな新しい謎を解明するためには、今までにないような高性能の観測装置の開発が必要となることを江副先生に教えていただきました。
しかもそんな世界最高の観測装置を大学で学生が開発していることにとても驚きました。
ぜひみなさんも世界最高を目指して、大学で研究してみてはどうですか?

アクセス

首都大学東京 南大沢キャンパス 8号館229号室
〒192-0397 東京都八王子市南大沢1-1
Tel 042-677-2493

オープンキャンパス

平成27年8月16日(日)
開催時間は10時00分~16時30分(受付は15時まで)
予約は不要です。(予定)
詳しくはHPで!
http://www.tmu.ac.jp/entrance/faculty/open_campus.html

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