メタプラネタジャパンとは?
9/29に開催された「月面都市デザインハッカソン」を取材してきました。
このイベントを主催したのは、メタプラネタ・ジャパン。
アメリカの大学で勉強をしている代表の森さんが、同級生たちと立ち上げた宇宙団体。
「いかに宇宙を人類がいどむ未知の領域としてではなく、人類のさらなる可能性を探求できるツールとして捉えるか?」という問いを軸に、若い世代を対象とした宇宙ニュースサイトの運営やワークショップの開催を行っている。
画像:METAPLANETA(メタプラネタ)のコンセプトについて話すMETAPLANETA共同代表 森さん
プロフェッショナルに学ぶ
このイベントでは「月面基地デザインハッカソン」という名前の通り、1チーム6人で月面基地をデザインしていく。
(*ハッカソンとは、与えられた時間に複数のチームが課題に没頭し、作りあげたアイディアや作品を競い合うイベントのこと)
しかし、参加者は必ずしも宇宙や建築に詳しいわけではない。
そこで、「宇宙建築」という課題を考えるために必要な知識を、各界の専門家から学びました。
月面基地を考えるために必要な基本情報をJAXA(ISAS)の研究者、春山純一先生からレクチャー。
月には磁場や大気がないために、過酷な放射線環境や、アップダウンの激しい温度環境、隕石衝突などの危険があることを学びました。
そのために月の縦穴の先に続く地下空間に基地を建設することを提案してくださいました。
画像:月の環境についてレクチャーする春山先生
建築について学ぶために、設計事務所TSUBAME ARCHITECTSの山道拓人さんよりレクチャー。
チリのスラム街に住む方々向けに作った拡張可能な住居のお話がありました。
画像:自ら設計された建物を紹介しながら、月面建築に必要な知識をレクチャーする山道さん
また月に似た極地で暮らすための建築について、TELSTAR vol.8で取材させていただいた村上祐資さんのレクチャーもありました。
「厳しい環境のなかにこそ、美しい生活がある」
南極に1年、火星を模擬したアメリカの砂漠で2週間暮らした経験から、極地で暮らす人々の気分に寄り添った建築計画を呼びかけました。
画像:極地の写真とともにレクチャーする村上さん
多彩な参加者たち
参加者は20人以上!建築を学んでいる学生はもちろん、工学や化学、法律を学ぶ学生。高校生の参加者もいました。
多彩な参加者が一堂に会し、月面基地をデザインして行くのです。
画像:いろいろなバックグラウンドを持った参加者たちが月面基地のアイディアを出しあう
話し合いはまず、春山先生のレクチャーを基に、「月面でしたいこと」「月面であったらいいもの」「月面でできそうなこと」をテーマに話し始める。
大きな紙に大きな字で書き出していく班、パソコンにメモをとっていく班、紙にデザインの絵をどんどん書いて行く班。
班によって、様々な話し合いの進め方をしていたのが印象的でした。
そのアイディアにレクチャーを担当した専門家の方々のアドバイスもありました。
画像:話し合っている内容を絵にしていきます
画像:レクチャーを担当した建築の専門家、山道さんや村上さんから直々のアドバイスも!
ゲームの世界で実際に建設
話し合ってデザインした月面基地は、マインクラフトというゲームの世界の中で実際に建設されます。
マインクラフトの世界での建設を担当するのは、マインクラフトエキスパートと呼ばれる小中学生!彼らの手によって、月がどんどん開拓されていきます!
画像:話し合った内容を伝えて、マインクラフトというソフトで形にしていきます。
画像:縦穴の中に居住スペースを建設中
そうして完成したのがこれだ!
マインクラフトで形になったものを、参加者の前で発表します。
どんな考えでこんなデザインの基地を建設することのなったのか、どんな設備があるのか、基地の中をツアーしながら解説していきます。
各班の発表後には、レクチャーを担当した先生方からご講評いただきました。
ただただ褒めるだけではなく、「ここはもっとこうするべきだ」というようなプロ視点の改善案もありました。
画像:左に立っている二本の塔がロケットの発着台。真ん中に見えるドームが月基地の入り口
画像:月の小さな重力を利用して、ハリーポッターの世界にでてくる「クィディッチ」というゲームをすることができるのではないかと考えた班は、月の地下にクィディッチのスタジアムを作ってしまいました!
画像:長屋のように長く連なる基地がいいのではないかと考えた班もいました。この仕組にすると、火災の危険性が増すので、きちんと避難経路が確保されていました。
画像:月に老人ホームを建てようと考えた班は、月面に墓地を作っていました。
画像:マインクラフトで作った基地と一緒に、色々な資料を使って、自ら作った月基地を案内します。
画像:各班の発表後には先生方から講評いただきました。
まとめ
どの班も全く違う月基地を建てていました。こんなにも色々なアイディアがでたのは、いろいろな経験をして、いろいろな勉強をしている人たちが集まったからこそではないでしょうか。
宇宙開発は「ロケットを作る人」「人工衛星を作る人」だけで成り立っているのではありません。今回のイベントのように「建築」や「法律」など、いろいろな勉強をしてきた人たちが集まることで、ようやく形になっていくのです。
多彩な人を集め、宇宙のさらなる可能性を探求していくメタプラネタさんの活動に、これからも注目していきましょう!
METAPLANETA(メタプラネタ)公式サイト
http://www.metaplaneta-japan.com/
画像:「集合写真撮るよーー」