日本初の人工衛星!
現在、気象・通信など様々な目的のために人工衛星が打ち上げられています。私たちの暮らしに不可欠な人工衛星ですが、皆さんは日本初の人工衛星を知っているでしょうか?今回は、そんな日本初の人工衛星について紹介します。
日本初の人工衛星「おおすみ」
日本初の人工衛星は「おおすみ」といい、1970年に打ち上げられました。おおすみの目的は2つあります。1つ目は、人工衛星打上げ用に開発された「M(ミュー)ロケット」を使って人工衛星を打ち上げる技術を得ること。2つ目は、人工衛星を工学的に試験することです。おおすみの写真を見ると、銀色の部分と黒色の部分に分かれています。黒色の部分はロケットの一部です。銀色の部分には、観測機器や通信機器、そして乾電池が搭載されています。現在の人工衛星に不可欠な太陽電池は、おおすみなどの初期の人工衛星には搭載されていませんでした。
人工衛星 おおすみ
Image Credit : ISAS/JAXA
打上げ成功までの苦難の道のり
おおすみは「L(ラムダ)-4S」という、Mロケットによる人工衛星打ち上げを試験するためのロケットで打ち上げられました。なんとこのL-4Sロケットには、ロケットを決められた飛行経路に従わせるための、誘導装置が搭載されていません!これは当時でも珍しいことであり、今では考えられません。理由としては、当時の野党が「誘導装置はミサイル開発につながり、憲法違反だ」と批判したためだと言われています。誘導装置が使えないこと、そして人工衛星を打ち上げるという経験がなかったこともあり、L-4Sロケットの打ち上げに4回失敗しました。苦しい日々が続き、「日本のロケットの父」と呼ばれる糸川英夫教授が引退する一因ともなりました。しかし、ロケット打上げ実験場がある内之浦の人々の支えと励ましがあり、ついに5号機の打上げに成功しました。「おおすみ」という名前は、内之浦がある鹿児島県の大隅半島が由来であり、内之浦の人々への感謝が込められているのです。