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月食観測の備忘録~2021年5月の反省~

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今年の5月、3年ぶりに日本で月食が観測されました。今回はテレビを始め多くのメディアで取り上げられ、全国的に大きな注目を集めました。普段はあまり空を見ないけれども、この夜ばかりは夜空を見上げた、という方も多かったのではないでしょうか。しかし、いくつかのニュースやSNSでは、正確でない説明も見られました。そこで今回は、よく見られた間違いについて説明しようと思います。

月食とは

月は地球の周りを、地球は太陽の周りを回っており、これら3つの天体が一直線に並んだ時、月食が起きます。今回最もよく見られた間違いは、月食と日食を混同するものでした。地球と月の並ぶ順番で、日食が起きるのか月食が起きるのかは変わります(図1)。


図1 日食・月食のしくみ(©国立天文台)

月食は月が地球の影に隠れる現象ですから、太陽地球月の順番に並ばなければいけません。また一口に月食と言っても、月が完全に本影(濃い地球の影)に入るものを皆既食、部分的に隠れるものを部分食と言います。

〇写真を撮る際には

皆既の赤色とその縁に見えるターコイズフリンジは、写真を撮る際に目立たせたいポイントです(図2)。


図2 皆既月食の赤銅色とターコイズフリンジ(©ビクセン)

この色の変化は、夕焼けと同じく、太陽光の中の青い光が地球大気で散乱されることで起こります。これに関しては、色を目立たせようとするあまり、加工しすぎてしまった写真の投稿が多く見られました。特にターコイズフリンジは、彩度やコントラストを上げる事で、本来は無いはずの位置に偽のフリンジが現れることがあります。デジタル処理は便利な反面、どんなものでも作り出せてしまう危険をはらんでいます。学術的にはもちろんのこと、SNSなどで共有する際にも気をつけたいところです。

〇おわりに

次に日本で月食が見られるのは今年の11月19日です。この日は部分月食ですが、月のほとんどが地球の影に隠れます。5月は曇った場所も多かったですから、正しい知識を身につけた上で、話題や写真を共有して楽しみましょう! 


こちらの記事は(⻄暦)年より新しくTELSTARに入ったメンバーたちによる記事です。
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