原子はどこから来たのか?ー 私たちは星屑で出来ている ー
(画像左:©NASA)
身の回りにある全てのものは、原子の組み合わせで出来ています。では、その原子は一体どこから来たのでしょうか?また、天文学者のカールセーガンは「私たちは星屑で出来ている」と言います。これは一体どういう意味なのでしょうか?
世界で最初の原子は?
138億年前、宇宙はビッグバンによって誕生しました。それとほぼ同時に、世界で最初の原子(※1)となる「水素」が誕生したのです。その後、水素の原子核がいくつかの段階を経て、ヘリウムの原子核となりました。
(©TELSTAR)
私たちの体をつくる原子は、恒星から来た
恒星の一生は、質量によって決まります。具体的には、太陽の8倍以下かそれ以上かで大きく2つに分けることができます。ちなみに、太陽の質量は、2×1030kgで、地球の33万倍です。
そんな太陽では現在、核融合反応(※2)により、水素がヘリウムに変わっています。そして一生を終える時、水素やヘリウムを外部へ緩やかに放出します。最終的には、惑星状星雲の中心に白色矮星として残ります。
(©TELSTAR)
一方、太陽の8倍以上の質量の恒星では、さらに核融合がおこり、炭素や酸素から鉄までが次々と生成されます。このような恒星は、しばらくすると、星自身の重さを支えきれず、中心に押し潰されてしまいます。その反動で、星全体が爆発して一生を終えます。この際に放出されたガスが宇宙にばらまかれ、次の世代の星の材料となります。
ちなみに、金やウランなどの鉄より重い元素の生成は、鉄の原子核がとても安定なため、恒星内部では起こりません。これらの重元素は、中性子星の合体で作られた可能性が高いといわれています。
(©TELSTAR)
そして私たちの体ができた
こうして、生まれたガスや塵が、原始太陽を中心として集まり地球などの惑星が誕生しました。そして、炭素から有機物が生まれ生命が誕生し、やがて人類へと進化していきました。
つまり、138億年前のビッグバンから、気が遠くなるような時間を経て、恒星が生まれては死に、いまの私たちの身体が作られました。そのため、「私たちは星屑で出来ている」といえるのです。
註釈
- 原子…物質を構成する粒子。陽子と中性子からなる原子核と、その周りに存在する電子からなる。
- 核融合反応...原子核どうしが衝突して、より質量数(※3)の大きな原子核が生まれる現象
- 質量数…陽子の数+中性子の数