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ハイブリッドロケットについてCOREに聞いてみた。~前編~

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3種類のロケット

ロケットエンジンには、3つの種類があります。液体燃料ロケット、固体燃料ロケット、そしてハイブリッドロケットです。ロケットを打上げるには酸化剤と燃料が必要となります。酸化剤と燃料が共に液体である液体燃料ロケット、また共に固体である固体燃料ロケットに対し、液体酸化剤と固体燃料の2つを組み合わせているので、ハイブリッドロケットと言います。


そもそもロケットはどうやって推力を生む?

ハイブリッドロケットの話を詳しくする前に、ロケットが飛ぶ根本的な原理を確認します。

みなさん、作用・反作用の法則は知ってますか?力を加えたら、加えた分だけ反対側に力が加わるというものです。壁を殴れば拳が痛む、といったように、皆さん馴染みのある法則だと思います。

実は、ロケットが飛ぶ原理も作用・反作用の法則に基づいているのです。ロケットの場合は、燃料を燃焼し、勢いよく噴出した時の反作用が推力となっています。

もっと詳しく知りたい人は「ロケット方程式」で検索!



ハイブリッドロケットの構造

液体と固体の両方を扱うハイブリッドロケットはどんな構造をしているのでしょうか?

上の図はハイブリッドロケットの構造を簡易的に表しています。液体酸化剤がタンクから管を通り燃焼室に注入されることで、燃料を激しく燃やし、ノズルから燃焼ガスが噴出されます。


推進剤

さて、推進剤の話に進みましょう。

炎が燃え続けるには酸化剤である酸素が必要であるように、エンジンが燃焼し続けるにも何かしらの酸化剤が必要です。

 

液体酸化剤は、学生団体では亜酸化窒素(N2O)が用いられることが多く、研究機関では液体酸素(O2)が用いられます。

亜酸化窒素の方がロケット全体の重量を軽くできるので、学生団体が好んで使います。

 

固体燃料は、ポリプロピレン(PP)、アクリル(PMMA)、ポリエチレン(PE)、ポリ乳酸(PLA)、蝋燭のろうであるパラフィンなどが使われています。

 

蝋燭のろうが燃料になるなんて、意外ですよね!このように、材料が入手しやすいところがハイブリッドロケットの良いところです。

 

そんなハイブリッドロケットですが、どんなメリットデメリットがあるのでしょうか?


メリット

まず、作りやすいというメリットがあります。

固体ロケットは燃料と酸化剤を混ぜて作るので、作るのが難しいのです。また、液体ロケットは高圧かつ低温な推進剤を使用し、複雑な機構をしているので難易度が高いです。

 

また、比較的に扱いやすく危険性が低い、というのもメリットです。

構造的に酸化剤と燃料が分かれているので、固体ロケットのように思わぬ火で着火することや、排出ガスの有毒性が低いことが理由に挙げられます。液体ロケットは、前述したとおり推進剤が高圧かつ低温なので扱いにくいです。

 

他にも、管理がしやすい分安全管理が楽なので、製造コストが低いなど点などもメリットです。


デメリット

液体燃料ロケットに比べて推力が出にくく、比推力(ロケットの燃費)が低いというデメリットがあります。したがって、H-ⅡAロケットやH-ⅡBロケットなどの主要なロケットのメインエンジンは液体燃料となっています。

 

では、ハイブリッドロケットはどのような用途で使われているのでしょうか?

ひとつの例として、観測用ロケットがあります。観測用ロケットは、弾道飛行をしている間にデータを測定するためのロケットです。

燃費は悪いですが、作りやすさや管理のしやすさから観測ロケットのエンジンとして選ばれているんですね。



さあ、ここまではハイブリッドロケットの概要について説明してきました。だんだん自分でも作りたくなってきた頃じゃないですか?次回、「ハイブリッドロケットについてCOREに聞いてみた。~後編~」では製作の流れをざっくりと説明します。乞うご期待ください!

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