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高校生記者が「宇宙飛行士訓練インストラクター」に取材してみた#1

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1. 初めに

私には宇宙飛行士になるという夢があります。私と同じく宇宙飛行士に憧れを持っている人は多いのではないでしょうか?宇宙飛行士は多様な職種の方々からの支援を受けて仕事をしています。

さて、今回はその中でも宇宙飛行士訓練インストラクターという職業に就かれている、有人宇宙システム株式会社(JAMSS)の相澤義高さんに取材をしました。




2.宇宙飛行士訓練インストラクターとは?

宇宙飛行士訓練インストラクターと聞くと『宇宙飛行士の先生』という印象を受けますが、相澤さんによると実際は別の職業に例えるとするなら『スポーツチームのコーチ』のような立ち位置だそうです。

それは、宇宙飛行士訓練インストラクターには宇宙に行った経験はありませんが、そのために必要な知識を教える立場であり、『スポーツチームのコーチ』も同様にそのスポーツの選手歴がなくても、指導者である人もいるからです。そういう意味では『先生』より『スポーツチームのコーチ』の方が近いかも知れません。

宇宙飛行士訓練インストラクターの大まかなイメージは掴めましたか?


次は宇宙飛行士訓練インストラクターの業務内容を紹介します。




3.宇宙飛行士訓練インストラクターの業務内容とは?

宇宙飛行士はISS滞在中、様々な実験やメンテナンス作業等を行います。限られた時間の中で、作業を滞りなく進められるよう、また、万が一の不測の事態にも速やかに対応できるよう、打上げ前に地上で訓練を受けます。その際、地上での訓練業務を担うのが宇宙飛行士訓練インストラクターです。

また、宇宙飛行士訓練インストラクターは1人で全ての座学や訓練を担当するのではなく、様々なバックグラウンドを持ったメンバーが、それぞれの科目を専門インストラクターとして担当します。

相澤さんは熱、環境制御(「きぼう」内機器の冷却システム、空気の循環の仕組みなど)や物質科学(無重力下でものを燃やす実験装置など)の分野を担当されています。


宇宙飛行士訓練インストラクターの相澤 義高さん
credit:有人宇宙システム株式会社



4.高校生記者から見た日本の有人宇宙開発の課題は?

有人宇宙開発について考えるといっても色々なことが考えられます。

日本の有人宇宙開発の課題として、日本が自国の有人宇宙船を所有していないということが挙げられます。

アメリカやロシアなど諸外国が大部分を占めるISS内に、日本は実験モジュールの『きぼう』を持っていますが、飛行士の輸送手段は持っていません。

さらに今後、ISSは2030年頃に運用終了となるため、日本の実験モジュール『きぼう』は無くなり、日本は無重力下での実験ができなくなります。

そのためISSの運用終了までに日本は次の国際的な枠組みに参加するはずですが、将来的に独自の有人宇宙船があると、もっと国際的に存在感を示せるのではないかと思います。

今後、ISSは2030年頃に運用終了となるため、日本の実験モジュール『きぼう』は無くなり、日本は無重力下での実験ができなくなります。

そのためISSの運用終了までに日本は次の国際的な取り組みに参加するはずですが、将来的に独自の有人宇宙船があると、もっと国際的に存在感を示せるのではないかと思います。

他方で、JAXAでは民間企業の研究開発・商業利用など、民間企業の参画を拡大する計画を進めています。そちらに重点を置き、成果を挙げて存在感を示すという方向もあると思います。




5.最後に

近頃、世界情勢の変化によって地球上では様々な問題が生じており、心が痛むニュースや情報が多く報道されています。しかし、宇宙空間で、特にISSの中では国同士の問題などは関係なく、宇宙飛行士たちはお互いに信頼し合い、協力してミッションを遂行しています。宇宙飛行士は宇宙という場所で国籍を超えた繋がりを持っているのです。また、地上でも宇宙飛行士訓練インストラクターなどの多様な職業の人達が協力しあっていると、今回の取材を通して学びました。私は宇宙がそのような人と人を繋ぐ架け橋であり続けてほしいと願っています。



文責:高校生記者 伊藤太一

(カバー画像credit:JAXA)

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