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補給船「こうのとり」ミッション完遂!

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「こうのとり」9号機(HTV9)のミッション成功を祝して記念撮影を行うHTV関係者

credit:JAXA



2020年8月21日に、宇宙航空研究開発機構(JAXA)のオンライン記者会見が開かれました。内容は、会見の前日、地球に再突入(リエントリ)をして11年間の活躍に幕を下ろした「こうのとり」のミッション、およびこうのとり9号機についてでした。

その様子をレポートします!



宇宙ステーション補給機「こうのとり」(HTV)とは




次世代ハイビジョンカメラで撮影された「こうのとり」9号機(HTV9) ISSへの接近の様子

credit:JAXA


「こうのとり」は、“国境のない場所”とも呼ばれる国際宇宙ステーション(ISS)に物資を運ぶ補給船です。

その中身は、宇宙飛行士が暮らしていくために必要な水、食料、衣料などの生活用品から、ISSに必要なバッテリなどの機械や研究資材、生鮮食品まで様々です。他国の補給船ではロシアのプログレス補給船やSpaceX社のドラゴン宇宙船などがあります。

また、無事に物資を届けた後は、ISSで不要となった物を積み込み、大気圏に再突入して廃棄することも重要な役割です。7号機では小型の回収カプセルを地球に再突入させて、物資を地球に届けるミッションも行いました。


「こうのとり」の初飛行は、2009年。それから11年間で9回フライトを行いました。「フライトはすべて失敗なく終わり、日本のロケットの必要性をアピールすることもできた」と有人宇宙技術部門長の佐々木さんは仰っていました。




こうのとりの開発が始まった当初、有人宇宙開発の実績があまりなかったJAXAにとっては大変厳しいスタートでした。人間が載っているISSにドッキングするという操作は絶対に失敗してはいけないため、こうのとりでは安全性を第一に考えた保守的な設計がされたそうです。


中でも、ISSに近づいてからロボットアームで一度補給船を捕まえてからドッキングを行う「ランデブーキャッチャー方式」は、当時かなり斬新な技術だったといいます。

そのランデブーキャッチャー方式も、今では他国の宇宙船に採用されるほど、有人宇宙開発ではなじみのある技術となっています。


こうのとりの登場は、有人宇宙開発に大きく貢献したのはもちろん、こうのとりの開発・運用を通してJAXAの成長にも大きなメリットを残しました。



「こうのとり」9号機(HTV9) 再突入時のHTV運用管制室の様子

credit:JAXA


こうのとり9号機のミッション

今回のミッションは、JAXAの荷物はもちろん、NASAやESAなど、外国の荷物も含む6.2トンの物資を運ぶこと、そして技術実証として、ドッキング時の映像を無線LANを使って送信するWLD(ワイルド)と呼ばれるミッションを行うことでした。


WLAN伝送軌道上実証ミッション(WLD)の目的は、HTVの後継機で自動ドッキングの様子をリアルタイムに見ることができるようにするためです。

無線LANは、家で使っているという方も多いのではないでしょうか。ISSを家に例えると、ルーター(アクセスポイント)がISS側にあり、家の中からスマホでルーターにデータを送るイメージです。

飛行する宇宙機同士の無線LANによる通信の確立は、世界初のことでした!


このミッションで撮られた映像がとても美しいので、ぜひご覧になってみてください。

ISSと「こうのとり」がさらに近づく1:11~の映像が特に迫力があります!



こうのとりのこれから

こうのとりとしてのHTVの運用は今回が最後となりますが、後継機(HTV-X)の開発が現在進められています。


HTV-Xは、アメリカを主導に国際的に構想が進んでいるGateway計画に大きく貢献する予定です。Gateway計画では、月の周回軌道に設置される有人拠点に、補給船で物資を運びます。

こうのとりの後継機「HTV-X」は、ISSが運用される間はISSへの物資の補給も行う可能性があり、そのほかのミッションでも「宇宙に打ち上げ、ランデブー・ドッキングをして物資を運ぶ」という機能を活かして活躍していくことでしょう!

夢がぎっしりつまった補給船、こうのとりの活躍。

日本の宇宙開発にも、ISSに滞在する飛行士たちにも、きっとたくさんの幸せを運んだはずです。

退役は少し寂しいですが、後継機の活躍が楽しみですね!



(種田恭子・出口隼詩)
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