ロケットで見る宇宙開発の歴史(1) ーロケットを作り出したのは誰?ー
現在、人類が宇宙へ進出するための手段はロケットしかありません。人類が初めて人工衛星を打ち上げてから約60年が経ち、様々な国で宇宙開発が進められてきました。私の連載「ロケットで見る宇宙開発の歴史」では、全6回にわたってロシアやアメリカ、中国、日本などのロケットを通して各国の宇宙開発の歴史を紹介していきます。今回は宇宙開発の「はじめ」を説明します。1. 宇宙開発を進めるための理論や技術を発見
19世紀の終わりになると、ロケットで宇宙へ行こうと考える研究者が現れました。最初に登場したのが、ロシアのコンスタンチン・ツィオルコフスキーです。彼は、宇宙飛行の手段にはロケットしかないことや現在世界中で広く使用されている液体燃料ロケットの原案を示しました。また、宇宙ステーションや宇宙遊泳など現代の宇宙開発につながるアイデアを考案しました。
アメリカでは、1926年に「近代ロケットの父」と呼ばれることになるロバート・ゴダードが、世界で初めての液体燃料ロケットの打ち上げに成功します。最もその当時彼の技術はなかなか認められませんでした。しかし、死後に取得した約200件にも及ぶ特許は、アポロ計画のさなかアメリカ政府が買収しました。アポロ計画により、ゴダードの技術は、ようやく認められたのです。
2. フォン・ブラウンの活躍
アメリカでゴダードが活躍していた頃、ドイツではロケットブームが起こっていました。ヘルマン・オーベルトという科学者が『惑星間空間へのロケット』という書籍を出版し、ベストセラーになったのです。内容は非常に専門的でしたが、この本に影響を受けた人が多くいました。そのうちの1人がフォン・ブラウンです。当時中学生だった彼には、オーベルトの著作中にある数式が理解できませんでした。しかし、苦手だった数学と物理を猛勉強し、ロケット開発の道に進みました。その後、ドイツ陸軍において世界で初めてのミサイル「V-2」を開発。戦後はアメリカへ亡命し、宇宙開発を先導しました。最終的には、アポロ計画で使用された史上最大のロケット「サターンV型ロケット」の開発を主導し、宇宙開発史に大きな足跡を残したのです。
今回は、ロケットを作り出した科学者を中心に説明しました。
次回は、世界で初めて宇宙への進出を果たしたロシア(ソ連)のロケットと宇宙開発を説明していきます!!
こちらの記事は2020年より新しくTELSTARに入ったメンバーによる記事です。
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