世界の宇宙食を比べてみた!~食を通して学ぶ宇宙の魅力~
宇宙探査とは人類にとって大いなる探検です。探険といえば食事が必要不可欠ですが、探険における食事の捉え方は、国ごとに異なるようです。日本人の感覚では、探検での食事の味は二の次にしがちですが、アメリカ人の感覚では、「探検でこそグルメに!」という心情があるようです。そのため、宇宙食にも様々な種類を用意し、その実現のために技術が集約されています。この記事では、知られざる宇宙食の世界を紹介します。
〇世界の多種多様な宇宙食
宇宙食と聞くとチューブ状の味気ない物を思い浮かべるでしょうか?実は、宇宙飛行士の出身16ケ国が種類豊富な宇宙食を開発中です。その一部を紹介します。
ライスプディング 果物の砂糖煮添え(ヨーロッパ宇宙機関(ESA))
フランスのシェフの協力のもと開発。食事が宇宙飛行士にとって大切な憩いの時間であるという認識のもと誕生したものです。
モロッコ風クスクス添え クスクスのモロッコ風添え(カナダ宇宙庁(CSA))
クスクスはアフリカや中東発祥のパスタの仲間で、多民族国家であるカナダの食文化が反映されています。
日清スペースカップヌードル(JAXA)
JAXAでは、あえて寿司などを採用せずに家庭の味をコンセプトにしています。これも日本人宇宙飛行士の心のケアが目的です。
宇宙での食事は、基本的にNASAとロシアの物です。その他の食品はボーナス食として供給され、量こそ制限されますが基準を満たせば様々な食品を持ち込むことが可能です。そのため、紹介した様な食事を地上と変わらず味わえるのです。
〇日常生活に生きる宇宙食技術
宇宙食の技術は様々な食品に応用されています。
まずは、災害食です。多様な人々が限られた資源で暮らすことを前提に作られたからこその強みを生かせます。次に、介護食です。宇宙食は無重力下での喫食が前提のため、寝たきりで喫食可能です。最後に機能性食品としての利用です。宇宙食の開発にあたり、より適した栄養素などの研究が進められており、栄養が枯渇している途上国や医療現場での導入が期待されます。