宇宙を切り拓く管理栄養士(後編)
「宇宙を切り拓く管理栄養士」の後編です。
私からは「管理栄養士×宇宙の今」「災害食との関わり」「管理栄養士×宇宙の未来」についてお聞きしました。
高校生の頃に知って以来憧れていた港屋さんに貴重なお話を伺うことができました。
管理栄養士×宇宙の今
現在、大学や給食会社などとも連携して業務を行っているものの、宇宙と関わる栄養士の多くはスポーツ栄養士だそうです。
スポーツ選手は時と場合により、一般的に健康な食事から少し外れた食事をする必要があるそうです。そういった中、勇気を持って指導できる栄養士たちが集まっている感覚があると言います。特殊環境下で摂取できない栄養素もある中、ミッションを無事終わらせるために考えられるのがスポーツ栄養士だったと語ります。
今後日本人宇宙飛行士の増加により、管理栄養士の宇宙への関わりがさらに増える可能性もありますが、大学院のような宇宙の栄養に関して学べる場は少ない状況です。そのため宇宙に関わる栄養士を育てる道もあると言います。
災害食との関わり
災害食と宇宙食には共通点が多くあります。港屋さん自身、JDA-DAT(日本栄養士会災害支援チーム)の研修を受けたそうです。研修を通し、宇宙食と災害食の共通点や違い、災害時のフェーズについて知ったと言います。
災害時の食事というとゼリーやハイカロリーな災害食を想像しますが、長期の避難生活となると健康に悪影響が出てきます。そういった面からも港屋さんは宇宙食と比較し勉強されたそうです。
宇宙食というと特別な印象を受けますが、実は私たちが普段から食べるものも宇宙食として存在します。港屋さん自身、宇宙食が身近な存在だと知ってほしいと話します。
日本宇宙食が日本災害食として認証された例 [JAXA]
管理栄養士×宇宙の未来
近年、宇宙開発の加速により多様な職種の人が宇宙と関わるようになりましたが、宇宙分野ではどんな管理栄養士が必要なのでしょうか。
まだ日本の有人宇宙飛行に管理栄養士が関わり始めたばかりで、はっきりとは言えないそうですが「人の優先順位を大事にできること」は大切だと話します。
ISS滞在中、宇宙飛行士は数多くミッションをこなす必要がある中、栄養のことばかり言ってしまうとストレスになります。本人が気にならない程度のサポートが重要だと言います。
さらに今後ISSを民間で運用する商業的な宇宙開発となった際にはビジネスセンスが必要になる可能性もあると話します。
また、近い将来人類が月に移住する時代が来ると言われていますが、港屋さん自身、月面で起こり得る宇宙放射線や粉塵、水といった様々な課題について勉強されているそうです。
まとめ
今回の取材を通し管理栄養士の宇宙への関わり方は未開拓な点が多いと感じました。しかし未開拓な部分が多いからこそ可能性に満ち溢れた分野だと思います。港屋さんの熱意を知り、私自身将来どういった形で宇宙と関わるのか広い視野を持って考えたいと思いました!
文責:熊代沙也佳
TELSTAR取材班のメンバ―と港屋ますみさん