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ハイブリッドロケットについてCOREに聞いてみた。~後編&番外編~

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ハイブリッドロケットの製作を行っている学生団体、「CORE」。TELSTARメンバーともつながりがあり、「CORE×TELSTAR」コラボ企画が始動しています。全8回にわたり、COREの持つハイブリッドロケット技術を分かりやすく中高生の皆さんにご紹介します。

第2回は「ハイブリッドロケットについてCOREに聞いてみた。~後編&番外編~」
前編はそもそもハイブリッドロケットとは?についてお伝えしました。後編ではCOREのハイブリッドロケット、エンジンの製作を紹介します。また番外編として他のハイブリッドロケットを制作している団体のご紹介、ハイブリッドロケット大会会場付近の名物、おすすめスポットもご紹介していますよ!

「COREで活動したい!」など連絡したい方は、ホームページのお問い合わせや、TwitterのDMでお待ちしております。

ロケットエンジンの製作

前編ではロケットのエンジンの仕組みについてお伝えしました。では一体どのようにエンジンは製作するのでしょうか?エンジンは主に2つの観点から作業していきます。

【燃焼設計】
燃焼設計はエンジンの性能を決定づける重要な作業です。燃料、酸化剤の量の調節により燃焼時間、燃費を決めます。またガスが噴出するノズルの設計も行い、目標にあったエンジンを設計していきます。

【構造設計】
構造設計では燃焼時の高温高圧環境に耐えられる機体や、より軽量になる構造を考えていきます。ロケットが高温高圧環境で壊れないようにするために、計算やシミュレーションソフトを用いて解析を行っていきます。

ここまでロケットエンジンについてお話してきました。ではロケット全体の制作はどのような流れで進めていくのでしょうか?

ロケットの制作過程

ロケット制作プロジェクトは次の流れで進んでいきます。

COREロケット制作の過程

COREではロケットの大会(プロジェクト計画)に向けて、予算を組んだ後ロケット制作に移ります。ロケットは設計・製作・テストを繰り返しながら設計を改良し、大会本番(打ち上げ実験)に向け準備をしていきます。約4~6か月を周期に製造プロジェクトは進んでいきます。

システムズエンジニアリング

ただがむしゃらに製作を進めても、ミッションは達成できません。ものづくりにおいてシステム(複数の構成要素から成り立つもののこと)を実現するためには、システムズエンジニアリングという考えが方が必要です。システムズエンジニアリングとは、システム(ここではロケット)を製作するという目標を達成するためにとる手段、やり方という意味です。限られた時間、予算、人員の中で効率よく作業を進めていくために、この考え方は重要です。

システムズエンジニアリングは、大きく分けて次の4段階を通して設計を進めていきます。

1. 概念設計
形状、材料、寸法を大まかに決めます。
2. 基本設計
形状、材料、寸法を大まかに決めます。
3. 詳細設計
図面がかける状態まで設計します。
4. 生産設計
(大量生産用)

COREでは1~3の過程を経て制作された試験機を用いて実験し、結果をもとに改良をしています。詳細設計を繰り返したものが最終的に本番機として大会で打ち上げられます。

ロケット製作を効率よく行うために、COREでは3つの班に分かれ活動しています。

・構造班
ロケットの構造を考えます。

・電装班
ロケットに搭載する基板の作成やプログラムを書きます。

・推進班
推進班はさらに3つの班に分かれます。

・エンジン班
エンジン(ノズル・モーターケース・タンク)の開発を行います。

・燃焼班
ロケット外部の配管や制御装置といった地上支援設備(Ground Support Equipment : GSE)の運用を行います。

・バルブ班※
タンクとモーターケースの間にあり、酸化剤の量の調節をする役割であるバルブの設計を行います。

※STEM式とバルブ式
モーターケースに酸化剤を入れる方式にはSTEM式とバルブ式があります。STEM式は酸化剤を入れるために使われる「ステム」という筒をロケット内に搭載します。一方バルブ式はロケットの横から配管をつなげて酸化剤を供給し、打ち上げ直前に配管を切り離します。現在COREでは、ロケットの設計に幅があり、より安全であると考えられるバルブ式の開発を進めています。

今までのミッション紹介

COREは毎年能代、伊豆大島で行われる大会に出場しています。ここでは2019年に打ち上げられたロケットをご紹介したいと思います。

2019年8月能代宇宙イベント
COREは毎年秋田県能代市で開催される能代宇宙イベントに参加しています。昨年の大会では2機のロケット打ち上げました。

【1機目】
チーム名:ASAHI
ロケット:Citrus
Citrusはリーフィングを試すための機体でした。点火した瞬間に爆発を防ぐ破壊制御が働いたため打ち上げることができませんでした。

【2機目】
チーム名:Gemini Quest
ロケット:Ptarmigan
Ptarmiganは水中を泳ぐCanSat(Little Mermaid)を搭載したロケットでした。パラシュートが開かず、弾道落下という結果になりました。

2019年11月伊豆大島共同打上実験
伊豆大島共同打上実験ハイブリッドロケットの打ち上げ大会です。こちらにもCOREは毎年参加しています。昨年の大会では1機のロケット打ち上げ実験を行いました。

チーム:Stream Conductor
ロケット:あまつかぜ
パラシュートが開かず、弾道落下という結果になりました。原因は電装でトラブルが発生したためと考えられています。

ユニークなロケットを打ち上げることが多いCORE。過去打ち上げたロケットの中で面白い機体を紹介します。
2016年に能代市で開催された大会に出場しました。この大会でCOREは「ロケットを電信柱に見立て、着陸時に地面に刺す」というミッションを掲げました。なぜ?と思う方が多いのではないのでしょうか?これは「災害などで電波が届かない際、電信柱ロケットを打ち上げ地面に刺すことで、電信柱の役割を果たすことができないだろうか」という発想のもと製作されたロケットだったのです。

 
©CORE
中央にある灰色のものがロケット。完全に電信柱ですね!

機体はその名も「電信柱」。ノズル部分にボートテールという地面に突き刺さる部分を搭載しました。機体を安定させるスタビライザーが搭載させた本機体は、打ち上げ後パラシュートを開傘し目的地に向け着陸、地面に突き刺さります。
COREでは「やりたいことの実現」を大事にしてロケット制作をしています。そのため今後もユニークで面白い、COREならではのロケットを作りたいそうです。さらに技術面はもちろん、確実に本体が戻り、出来るだけ高い高度を目指せるロケットに挑戦していくそうですよ!「人生で大切なのは失敗の歴史である」ロケット開発の父、糸川英夫さんの言葉にあるように、失敗を恐れず挑戦し続ける、COREのご活躍を応援しています!

CORE×TELSTAR 取材記事 ~番外編~

ハイブリッドロケットを製作している学生団体ってCOREのほかにもあるの?と思った方もいるかもしれません。以下は私たちが2020年現在把握している、学生主体のハイブリットロケット制作団体です。是非リンクより各団体のホームページをのぞいてみてください。あなたのお住まいの地域でも、ハイブリッドロケットを製作しているかもしれません!


【北海道・東北地方】

秋田大学ASSP
https://asspkoho.wixsite.com/asspofficial

北見工業大学Nociws
https://nociws.jp/

東北大学F.T.E.
https://www.fte-tohoku.org/

室蘭工業大学SARD
http://sard.website/


【北陸地方】

新潟大学NiCs
https://twitter.com/cansatnics


【関東地方】

神奈川大学 高野(航空宇宙構造)研究室
http://www.mech.kanagawa-u.ac.jp/lab/takano_lab/index.html

工学院大学KASA
http://kasa-modelrocket.mystrikingly.com/

芝浦工業大学SHARXS
http://sharxs.blogspot.com/

千葉工業大学SPARK
https://www.it-chiba.ac.jp/rocket/spark.html

筑波大学STEP
https://tsukuba-step.jimdofree.com/

東海大学TSRP
http://deka.challe.u-tokai.ac.jp/srp/index.html

東京工業大学CREATE
https://createrocket.wixsite.com/create-tokyotech

東京農工大学Lightus
https://lightus.site/

早稲田大学WASA
http://wasa.geo.jp/


【東海地方】

愛知工業大学ASTRON
https://twitter.com/ait_rocket_

名古屋大学NAFT
https://naft.space/


【近畿地方】

和歌山大学WSP
http://wsphp.web.fc2.com/activity/index.html


【四国地方】

高知工科大学RaSK
https://kutraskhp.wixsite.com/cfproject

徳島大学TRP
https://tokushimarocket.wordpress.com/


【九州地方】

鹿児島大学 片野田研究室 鹿児島ハイブリッドロケット研究会(Team KROX)
http://www.mech.kagoshima-u.ac.jp/~katanoda/hybridrocket.html
TELSTAR取材記事はコチラ
http://spacemgz-telstar.com/article/spinoff/kagoshima-rocket1
http://spacemgz-telstar.com/article/spinoff/kagoshima-rocket2

九州工業大学 反応流体力学研究室
http://www.mech.kyutech.ac.jp/rfd/hybridrocket.html

九州大学PLANET-Q
https://planet-q.jimdofree.com/

おまけ

COREのみなさんへの取材中に盛り上がった、ロケットの打ち上げ場所近辺でおすすめの観光地を紹介したいと思います。

【能代市(秋田)】

・エベレスト
インド・ネパール料理を提供するお店。本格なカレーがおいしそうです。COREのみなさんは大会へ出場する際、いつも行くそうですよ。

・ババヘラアイス
おばあさん(ババ)がヘラでアイスを盛り付けるババヘラアイス。イチゴ風味とバナナ風味でピンクと黄色の二色アイス。大会会場に出店しており、食べることができるそうです。


©CORE

・サイエンスパーク・能代市子ども館
過去に秋田大学の学生が作ったハイブリッドロケットが展示してあります。
他にも、能代ロケット実験場(JAXA)見学や温泉など、楽しいところがいっぱいありますよ!

【伊豆大島(東京)】


©CORE

・裏砂漠
伊豆大島のほぼ中央、三原山東側に広がる日本唯一の砂漠です。
画像はCOREのロケット搭載カメラからの映像です。「ここは地球なのか...?」まるで火星にでも降り立ったのか、と想像させる礫砂漠が広がっています。

・大島牛乳アイス
大島で育った牛からとれる牛乳を使用したアイス。

・明日葉ジェラート
「抜いても明日には生えてくる」そんな由来から名付けられた明日葉を使用したジェラート。明日葉は伊豆諸島、御蔵島で収穫されたものを扱っています。

・さるびあ丸
東京ー伊豆大島を結ぶ大型客船。映画、「天気の子」にもでてくるそうですよ。

COREメンバーおすすめスポットをまとめてみました。観光ができるのも打ち上げの醍醐味なのかもしれませんね。皆さんもぜひ訪れてみてください!

ハイブリッドロケットの構造、COREがどのようにプロジェクトを進めていくのかをざっくりと説明してきた「ハイブリッドロケットについてCOREに聞いてみた。」いかがだったでしょうか。さらに詳しくハイブリッドロケットについて知りたいと思った方!第3回からはより詳しい内容に踏み込んでいきます。お楽しみに!

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